AIと人間が自然な形で対話ができるチャットサービス、ChatGPT。
今、行政から学生、そしてコピーライターに至るまで、様々なシーンで注目されています。
それもそのはず、ChatGPTの文章は非常に精巧で、レポートの執筆、挨拶文章の考案など、幅広い場面で活用ができるのです。
ChatGPTと同じく、文章を書くことを生業とするコピーライター。ChatGPTの登場によってコピーライターの仕事はなくなってしまうのでしょうか!?
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ChatGPTとは?
アメリカのOpen AI社が開発したサービスですが、日本語にも対応しており使用料も無料ということで利用者急増中のサービスです。
AIによる対話型文章生成に特化しており、類似のサービスだと「Bing」や「Google Bard」「Notion AI」などのサービスがありますが、ChatGPTはいわゆる総合型のサービスです。
翻訳特化型や要約特化型のサービスとは異なり、対話形式で質問に自動で文章を生成します。
これまでのチャットボットでは予めプログラムされた形式的な返答が主流で、機械的かつ定型的なやりとりでした。
しかし、ChatGPTは非常に自然で精巧な文章生成ができると話題になっているのです。
ChatGPTはコピーライターの仕事を奪う?
これからコピーライターを目指す人にとっても、今コピーライターとして活動している人にとっても、はたまた既に活躍している有名なコピーライターにとってもChatGPTは脅威の存在と言えるでしょう。
理由は、無料で誰でも使え、私たち人間と対等に渡り合える文章能力を持ち、更に、アウトプットの速度も非常に速いことです。
要するにコピーライターが持っておきたい要素を全て携えているように見えるのです。
しかし、ChatGPTのみでコピーライティングを行うことは不可能だと筆者は考えます。
但し、付き合い方、使い方によってはあなたのライティング技術や記事の精度が向上する可能性はあるかもしれません。
「百聞は一見にしかず」
ChatGPTと正しく付き合うために、まずはChatGPTを実際に使ってみて、その精度を確かめてみましょう!
ChatGPTを使ってみた!
コピーライターである私にとって、まさに脅威の存在であるChatGPT。
しかし、脅威を感じているだけでは何も分かりません。
一体何に優れ、今後どの様な場面で活用できうるのか…。
そして、私たちライターの活躍の舞台を席巻することになるのか…。
ChatGPTの特徴を使ってみた感想や所感をまとめていくことにします。
セットアップはとっても簡単!
ChatGPTはWEBもしくはAPIで利用することが可能です。
筆者はWEB版で利用してみたところ、最低限の個人情報の入力と認証番号を入力するだけであっという間に起動ができました。
決してITリテラシーが高くない私でも簡単にセットアップすることができ、正直「この手軽さでしかも無料で使えるのか!」と感動しました。
インターネットやITに抵抗がある方でも違和感なく使うことができるので、今後、老若男女幅広い世代に利用者が拡大するのではないでしょうか。
会話力の高いChatGPT
ChatGPTは、非常に会話力が高いことが特徴です。
質問を投げかけると、とても丁寧に会話をしてくれるので使っていてストレスがないどころか、だんだんと楽しくなってきます。
例えば、下記の様な抽象的なやりとりにも軽快に応えてくれるのです。
(もはや、SH((=筆者))の質問の方が機械的に見えてきます)
ふんだんにビックリマークを用いてくれるので、活きの良い新入社員の様な、元気いっぱいの運動部員の様な、爽やかで優しい学校の先生の様な…活発な印象を受けました。
また、あくまで“お手伝い”という控え目な姿勢も好感度が持てます。
(もしかしたら、好感度を狙っているのかもしれません!)
恐らくこれはOpenAI社の戦略のひとつなのではと筆者は考えます。
人は自分に好意的な対応をしてくれたり、心を開いてくれる人を信頼します。
「いつでも何でも言ってくださいね!」と相手のペースに寄り添う姿勢をプログラミングすることで、より具体的な問いかけを引き出そうとしているのではないでしょうか。
実際、心理学では、相手のペースに合わせ、安心感や信頼を醸成していくペーシングという理論もあるのです。
ChatGPTの強みとは?
高い会話力を持つChatGPT。では実際、どの程度の情報をどのレベルで扱うことができるのでしょうか。
ChatGPTに「スイカの美味しい食べ方を教えて下さい」とお願いしてみたところ、このような回答が返ってきました。
いかがでしょうか。
まるで長年スイカ料理を研究しているスイカ界の第一人者の様に紹介してくれました。
また、説明文が乱れることもありませんし、1~5と綺麗に章立てして文章化してくれるので、このままブログに貼ったり、提出物としてクライアントに出してしまいそうになるくらいの品質です。
この質問で私が感じたChatGPTの強みは2点あります!
①豊富な情報量
まず、シンプルに驚いたのが情報量の多さです。
スイカの一般的な食べ方として、冷やしてそのまま楽しむ方法から、サラダ、スムージー、スティック、かき氷に至るまで、バリエーションに富んだ内容をなんと5つも紹介してくれました!
たった一行の大雑把な質問に対して瞬時にこの回答量を導き出すことは簡単ではありません。
もし、私たちがスイカの食べ方について5つのレシピをリサーチしようとする場合、あらゆるスイカレシピの中から人気やオススメする理由について、くまなく調べ、それを文章化しようとするとリサーチに慣れていても数十分はかかるはずです。
それを質問を投げかけるだけで、豊富な情報を整理してアウトプットしてくれるのですから、コピーライターとしては羨ましくなる能力と言えるでしょう。
②予備情報の細かさ
そして、2点目は予備情報のきめ細やかさです。
レシピや味わい・風合い・オススメのシーンなどを懇切丁寧に、また長くなり過ぎず端的に紹介してくれています。
①の内容に少し重複するかもしれませんが、情報量が非常に豊富であり、本来食べた人にしか知りえることのない体験談を添えてくれているという点は読者の納得度や説得力の面でも、高い効果を発揮することでしょう。
商品紹介やサービスの利用方法、観光地の情報紹介など、普遍性の高い物事の紹介や検索
にはうってつけかもしれません。
ChatGPTの弱みは?
一方で、ChatGPTの弱みはどうでしょうか。
実際にChatGPTとやりとりをしていて、また、この記事を執筆する中でリサーチする中でChatGPTの2つの弱点が分かってきました!
①マニアックな質問には答えることができない
ChatGPTは過去の情報の繋ぎ合わせで回答を生成しています。
あらゆる分野の出来事や知見を事前に学習し、人工知能にインプットしているわけですが、学習が不十分な分野においては適切な回答を出すことができません。
例えば、私が個人的に応援していた、元西武ライオンズのプロ野球選手。
プロ野球の世界では目立った活躍はできませんでしたが、Wikipediaにもページが存在しますし、ニッチなプロ野球ファンなら普通に知っているレベルの選手です。
こちらの選手について教えてほしいとお願いすると。
という回答が返ってきました。
(とても正直に言ってくれるので、どこか可愛げを感じますね!)
マニアックな質問に答えることができない…ということは、深い追及やリサーチには向いていないのかもしれません。
情報社会の現代において、誰しもがあらゆることに対して一定の知見を有しています。
スイカの食べ方、筋トレの方法、美味しいハンバーグの焼き方などなど、検索すれば誰もが必ず解決策を手にすることができる世の中です。
そんな中、貴重となるのはあまり知られていない情報ではないでしょうか。
希少性の高い情報の抽出、という面においてChatGPTはやや弱いのかもしれません。
②情報が古い場合がある
ChatGPTに「なぜそんなに親切なのですか?」と問うとこんな答えが返ってきました。
「できる限り正確な情報提供を目指しているが、正確さや質には限界がある」
「私の知識は2021年時点まで」
と告白してくれました。
現代人が一日浴びる情報量は江戸時代の人の1年分に相当すると言われています。
それほど、情報速度や流行の移り変わりが早い中で、最新の情報をキャッチすることはChatGPTにとっても至難の技なのでしょう。
勿論、これだけ注目されているChatGPTですから、今後もアップデートは行われ続けることでしょう。
今は2021年時点までの知識ですが、将来的に、世の中の情報を瞬時にアップデートできるような仕様に変貌を遂げるかもしれません。
しかしながら、今の時点では全ての情報が最新化されているわけでなない為、ChatGPTの情報を全て鵜呑みにして信用するにはリスクがありそうです。
情報が最新でないことはつまり、信ぴょう性に欠けるという意味にも繋がります。
情報は正確であればあるほど、価値があります。
ChatGPTで生成された情報を用いる場合、本当に正しいのか、という目線でチェックすることは必要不可欠な作業になりそうです。
ChatGPTをコピーライティングに活用する方法【3選】
ChatGPTの強みは…
- 使いやすさ(無料で簡単に利用可能)
- 豊富な情報量
- 予備情報の細かさ
はんたいにChatGPTの弱みは…
- マニアックな質問には答えることができない
- 情報が古い場合がある
- 情報の信ぴょう性に課題がある
という点でした。
では、ChatGPTの特徴が分かったところで、ChatGPTをコピーライティングに活用する方法を整理していきましょう!
方法① ネーミング
ChatGPTはアイデア出しに長けています。
情報の更新速度にあまり影響されない、ネーミングは非常に参考になります。
例えば、スポーツチームやプロジェクト名の命名などです。
筆者が「野球チームの名前を考えて」とお願いしただけで、瞬時に10個の案を出してくれ、どれも的を得たものが返ってきました。
ChatGPTも「あくまで参考なので、他にも補足情報があれば更に考えます」と言ってくれるので、イメージをより詳細に伝えれば、更に絞り込んでくれるのです。
ChatGPTが出してくれたアイデアを正しく活用できれば、自分1人で黙々と頭をひねるよりも、バリエーションが増えるのではないでしょうか。
方法② 情報収集
マニアックなテーマに弱いChatGPTですが、世の中で一般的に普及している商品やサービス、人物や場所については豊富な知識をもって情報提供してくれます。
また、会話形式で条件を絞り込むこともできるので、知りたい情報を精度高く瞬時に収集できる為、記事執筆のヒントにするには持ってこいの存在と言えるでしょう。
例えば、前出のスイカの食べ方においても、ChatGPTの回答を参考に自分自身でリサーチを進めたり、自身の体験談を付け加えることができれば、主観と客観の両面からスイカの食べ方を考察したオリジナリティーのある記事に仕上げることができそうです。
方法③ 文章力の強化
ChatGPTは文章生成ツールです。
情景やシーンに合わせて文章を生成してくれるので、挨拶文や時候の言葉など、TPOを弁えた文章を作成してくれます。
ライターによって文章にはクセや特徴がありますが、ChatGPTは条件に見合った文章をルールに沿って生成するため、良い意味でも悪い意味でもあまりクセがありません。
主語・述語の序列や表記ゆれなどのチェックも兼ねて、自分で書いた文章と比較し、条件に相応しい表現を参考にすることで文章力の向上が見込めるでしょう。
ChatGPTを使う上での注意点
では、次はChatGPTを使う場合の注意点を説明します。
注意点① ChatGPTはあくまで補助ツール
ChatGPT自身は自分のことを「人々の役に立つ情報をできる限り正確に提供する存在」と自覚しているようです。
また、お手伝いという言葉があるように、あくまで補助ツールであることを認識しておかねばなりません。
2023年4月21日に、西村経済産業相もChatGPTについてこの様なコメントを残しています。
「プロセスを効率的にするにあたり、将来AIは有力な補助ツールになりうる」
新技術にもたれ掛かるだけではなく、業務や作業の効率化に役立てることが、コピーライターにおけるChatGPTとの正しい付き合い方なのではないでしょうか。
注意点② ChatGPTで生成した文章での納品はNG?
「精密な文章を生成するChatGPTが生み出した文章をそのまま納品すれば、ライター業なんて楽勝じゃない?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、多くの企業やクライアントはChatGPTで生成した文章をそのまま納品することを禁じています。
理由は様々ですが、コピーライティングの目的に背く可能性が高いというのが大きな理由ではないかと考えます。というのも、コピーライティングとは本来、読者の心を動かし、狙った行動を引き出す為にあるからです。
感情を持たないChatGPTの文章を納品したところで、読者である人間の心は簡単に動かない、要はコピーライターとして期待された結果を生み出せないのではないでしょうか。
仮に、ChatGPTで生成した文章でクライアントが受け取ってくれたとしても、結果が出なければ継続契約や単価のアップは実現しません。
独自性があり、そのクライアントのレギュレーションや期待に沿った納品物に仕上げる為には、ChatGPTの文章だけでは不十分なのかもしれません。
【ちなみに、、】ChatGPTで心を動かすことはできないの!?
ChatGPTと感情についてひとつ、印象的な出来事をご紹介しましょう。
名古屋大学の2022年度卒業証書授与式での出来事です。
名古屋大学と言えば、旧帝大に数えられる名門大学。各学部の偏差値の平均は65以上と、日本の中でもトップクラスの秀才が集まる大学です。
そんな名古屋大学の卒業式で、学長の杉山直学長は下記の様に祝辞を述べます。
「今後の道のりが険しい場合でも、この大学で培った知識や技能、そして仲間たちの出会いや絆を思い出して、自信を持って進んでください」
いかがでしょうか。確かにもっともらしくは聞こえますが、どこか定型的で機械的、名古屋大学ならではの風合いや、コロナ禍での学生生活をやり遂げた学生への労いも感じない無難な祝辞という印象です。
実は、この祝辞は、今後のAIとの付き合い方を危惧した杉山学長がChatGPTに生成させた祝辞だったのです。杉山学長はこの祝辞を「空虚」と述べるとともに「人間らしい知識人であれ」と述べられたそうです。
やはり、人の心を動かすのは人の想いが込められた文章である、というのはChatGPTという素晴らしい技術を持ってしても変えることのできない不変の事実なのです。
注意点③ChatGPTは平気で嘘をつく?
『ChatGPT』とネットで検索すると、予測で「嘘をつく」というキーワードが散見されます。
実在しない理論についてのデタラメな解説をしたり、実在するキャラクターに全く見当違いの説明を施すことがあるそうなのですが…
面白そうなので試してみました。
なかなか面白い答えが返ってきました。
コロ助とは藤子・F・不二夫先生の、キテレツ大百科という有名な漫画作品に登場するコロッケが大好きな侍型のロボットです。
登場人物の類似性、作者が同じという共通点はありますが、まさか、コロ助の本名が野比であり、のび太君の親友だったとは。(ドラえもんにコロ助が出てきたらもはやカオスです)
正しくは『キテレツ大百科』の主人公、木手英一くんの相棒です。
本名なんてありません。いうなれば本名はコロ助です。
でも、コロ助を詳しく知らない人からすると、思わず納得してしまいそうですよね。
ChatGPTは時に、自分の知識の組み合わせで架空の概念を生み出すことがあるようです。
ChatGPTを使う際は、情報の信ぴょう性に十分注意せねばなりません。
ChatGPTにコピーライティングはできるのか
ChatGPTは、物事に対して必要な情報を補足する存在、いわばお手伝いさんです。
前出の様に、精度の高い文章を書くことはできますが、ChatGPT自体が、感情を持っておらず「あくまで参考」といったスタンスなので、どこか目新しさに欠ける文章になってしまうのです。
そして、質問の内容によほどの差がない限り、生成される文章や情報にも差異がないので、どこにでもある一般的な記事になってしまうかもしれません。
コピーライティングは「人の心を動かして、読者に取ってもらいたい行動に導くこと」が目的です。
ChatGPTの情報量や精度は、もちろん驚愕ですが、成果を上げるコピーライティング、という観点で言うと人間の方が優位なのではないでしょうか。
理由は「文章に感情を乗せることができるから」です。
同じテーマでライティングするにしても、ライターのキャラクターやターゲットとなる読者の属性によって文章のテイストは異なります。
読者の心理に寄り添い、心に響く文章を書くのはやはり人間でないとできない技術でしょう。またその技術も、人間ならではの感性に基づく努力によって向上していくのです。
ただし、ChatGPTもどんどんアップデートは進むでしょうから、今後より精度の高い文章を生み出す可能性は大いにあり、脅威の存在であることに違いはありません。
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まとめ:ChatGPTと上手く付き合おう!
今回、実際にChatGPTを使ってみて、コピーライティングの脅威になるのかを検証し「ChatGPTはコピーライティングはできない」と結論付けましたが、一方で「上手く付き合えば自分のコピーライティングスキルは更に上達する」とも感じました。
ChatGPTで情報収集や文章力向上を図りながら、読者の心を動かす文章を書くことができれば、あなたのコピーライティングスキルは大きく飛躍することでしょう。
読者の心を動かすスキルは、写経や読書、オンラインスクールなどで学ぶことができます。
(筆者はOnline ApC Academyで学びました!)
注目の新技術、ChatGPTを有効活用して、コピーライティングスキルを高めましょう!