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日本語には同じような音の言葉がいくつもあります。

例えば『せいし(生死)』と『せいし(静止)』、『ぼうし(帽子)』と『ぼうし(防止)』、『かくとう(格闘)』と『かくとう(各党)』などがあります。

声に出して読むと同じ音になりますが、意味はまったく異なることに気づいた方も多いのではないでしょうか。

「似ているのに意味が違う」という点に、日本語の難しさを感じる人も少なくありません。

とはいえ、正しい意味や使い方を一つずつ理解していけば、安心して日常的に使えるようになりますよね。

そこで本記事では、現役コピーライターである筆者が同音異義語である『解放』と『開放』の違いと使い分けるポイント】について解説していきます。

本記事を読んで、同音異義語を使い分けるポイントについてもマスターしていきましょう!

【同音異義語】「解放」と「開放」の意味の違いとは?

『解放』と『開放』の意味の違いを見ていく前に、同音異義語とはどういう意味なのかを確認しておきましょう。

同音異義語とは、発音は同じだが意味が異なる言葉のことです。

例えば『はし(橋)』と『はし(箸)』、『あめ(雨)』と『あめ(飴)』、『せいかく(正確)』と『せいかく(性格)』などです。

本記事のテーマとして設定している『(かいほう)解放』と『(かいほう)開放』も、声に出してみるとそれぞれ同じ読み方になっていることが分かると思います。

同音異義語である『解放』と『開放』、それぞれ2つがもつ言葉の意味を以下で解説していきます。

「解放」の意味

まず、解放の意味を確認しましょう。

解放の意味は、第三者などから束縛 (そくばく) されたり、制限されたりしていたものを、解放して自由にすることです。

  • 仕事が落ち着いたことで、忙しい日常から解放された
  • のしかかっていた責任の重圧から、解放された
  • 今まで抑えていたリミッターを、この瞬間に解放した

「開放」の意味

では次に、開放の意味を確認します。

開放の意味は、大きく分けて2つあります。

門や戸、扉や窓などを開け放ったり、開けたままにしたりすること

  • 換気のため、店内の窓を開放しています
  • 扉を開放中につき、ご注意ください
  • こちらの扉は開放厳禁です

ルールや決まりなどの制限を無くすことで、自由に出入りさせたり出入り出来る場を作ること

  • 本日は催事につき、会場を特別に開放しております
  • 施設を開放中につき、ご自由に出入りいただけます
  • こちらの扉は、フラットに開放することができます

同音異義語である『解放』と『開放』も、それぞれの言葉がもつ意味の違いが理解できれば正しく使うことが可能です。

日常生活で相手と同音異義語を話す時に不安になることは少ないかと思いますが、漢字で書くと当然の如く字が違いますよね

ですが、正しい言葉の意味を理解していれば、安心して使えるようになることでしょう!

「解放」と「開放」使い分けのポイント

「解放」と「開放」使い分けのポイント

このセクションでは『解放』と『開放』を使い分ける3つのポイントについて記載しています。

たとえそれぞれの意味を理解していても、正しく使い分けられないと文章として不自然になってしまいます。

以下の3つのポイントを抑えておけば、他の同音異義語の場合も応用することが可能です。

これら3つのポイントは、覚えておいて損はありません。ぜひ覚えて今後も活用できるようにしましょう!

【ポイント1】訓読みに変更してみる

同音異義語の使い分けに困ったときは、元にある言葉を訓読みに変更してみましょう。

訓読みとは漢字の読み方の一つで、本来日本にあった言葉をあてた読み方のことです。

(ちなみに、訓読みの反対は音読みといいます。音読みは中国由来の読み方のことです。)

この場合『解放』と『開放』の漢字の読み方が訓読みになるように、漢字と送り仮名(ひらがな)に変更することで言葉を使い分けるポイントが見えてきます。

解放の場合
  1. 人や物など、繋がっているものや繋がれているものをほどいて別々にする。
  2. 束縛されていたものを解いて自由にする。解き放つ。
開放の場合

それぞれ元の言葉から訓読みに変更することで、意味がより分かるようになりました。

  • 『解放』→人間の気持ちや心理状態が関係している
  • 『開放』→建物や窓などが関係している

このように、言葉の意味が分からない場合は元の言葉から訓読みに変更することで、漢字のもつ言葉の意味がより分かりやすく明確になります。

同音異義語の使い分けに困った時は、まずはその漢字を訓読みに変更するように意識しましょう!

【ポイント2】対義語を覚える

対義語とは、対になる言葉同士のことです。

言葉の対義語をそれぞれ覚えておくことで、同音異義語だけでなく言葉の使い分けがより分かりやすくなります。

対義語の意味から、使い分けるポイントが見えることもあるでしょう!

解放の対義語

それまでにあった制限や禁止事項を、解き放つこと

↕︎

人に対し、まとめてしばったり、しばりあげたり、しばり捕えること。

開放の対義語

扉や窓、戸や門を開けること。また、制限をなくして出入りすること

↕︎

組織体がその活動や機能を停止すること。

内にこもって他のものの立ち入りを許さないこと。

対義語も同音異義語と同じように、漢字や言葉のもつ意味を考えたとき、その言葉の意味を連想することができます

対義語を覚えておけば、対義語と同音異義語、それぞれ言葉の使い分けがしやすくなるでしょう。

【ポイント3】英語表現を把握する

簡単な英語表現は、日常生活や日常会話の中に溶け込んでいますよね。

『スタート』と『ストップ』、『オープン』と『クローズ』、『イン』と『アウト』など、気に留めずに溢れているような言葉はたくさんあります。

上記以外にも、日常的に使われている英語表現はたくさんあります。

あなたも何気なく使っていたり、耳にしたりすることは多いのではないでしょうか?

このような日常生活に溶け込んでいる英語表現は、対になる言葉として使われていることが多いです。

日常的に使われているような簡単な英語表現を覚えておくことで、言葉のもつ意味の違いで迷わなくなります。

【解放の英語表現】release(リリース)、free(フリー)
【開放の英語表現】open(オープン)

このセクションでは、同音異義語を使い分ける3つのポイントを紹介しました。

  1. 訓読みに変更してみる
  2. 対義語を覚える
  3. 英語表現を把握する

同音異義語の意味の違いが分からない場合は、言葉の意味を調べることが大切ではあります。

ですが、同音異義語を使い分けるポイントを覚えることで、言葉の意味を調べる前に正しい使い方が分かるようになるでしょう!

同音異義語を使い分ける『上記3つのポイント』を押さえることで、言葉の意味も理解することができます。

ぜひ覚えておいてくださいね!

「解放」と「開放」を使った例文

「解放」と「開放」を使った例文

ここまで『解放』と『開放』をテーマに、同音異義語の意味の違い、言葉の意味を考えて使い分けるポイントについて記載してきました。

このセクションでは『解放』と『開放』を使った例文を3つずつ紹介します。

ここまで本記事を読んだあなたは、同音異義語を使い分けるポイントを理解していることでしょう。

本記事で覚えた知識を元に、あなたも以下の例文を読んだ後で『解放』と『開放』を使った文章を作ってみてはいかがでしょうか?

「解放」

『解放』の例文を紹介する前におさらいをしましょう。

解放は縛られていたものや、縛られていた呪縛から解き放たれるという意味です。

それをふまえ『解放』を使った例文を3つ見ていきましょう。

①その政策により、多くの国民が貧困から解放された

もともと貧困にあった国に済む国民が、その国の政策によって『国の傾き』からの解放=自由になったという表現です。

①の例文は『貧困という事実に捕らわれていた状態』から『貧困ではなくなり、国民は自由の身になった』状態なのです。

したがって『解放』が正しい使い方になります。

②借金の返済から解放されました。

借金の返済には、膨大な時間と労力がかかるものですよね。

よく“借金地獄”なんて言葉を耳にしますが、言葉のとおり大変な思いをすることはいうまでもありません。

借金の返済からの解放は『借金の地獄』、つまり『呪縛が無くなる』という意味合いがあります。

(もちろん時と場合によると思いますが、借金はない方がいいですね・・・。)

③日々の忙しさから解放されました。

毎日の仕事や学業、趣味に疲労回復のための休息など、現代人は何かと忙しいですよね。

日々の忙しさに、私たち現代人はある意味囚われているといっても過言ではありません。

そんな忙しさから解き放たれたら、少しホッとできるような場面もあることでしょう。

例③の文章は『忙しさに捕らわれている状態』から『ホッと一息、解き放たれる』という意味合いがあります。

たまには休憩することも大事ですね。

「開放」

では『開放』の例文を紹介する前におさらいをします。

開放は閉鎖的な空間などから開け放つ、という意味です。

それをふまえ『開放』を使った例文を3つ見ていきましょう。

①図書室は毎週土曜日に特別に子ども向けに開放されます。

このような文章は、図書室だけでなく図書館の掲示板などで目にすることがあるでしょう。

例①の文章は、普段は閉まっている図書室が、土曜日という日付限定で開け放っているという意味です。

ですので、この場合は『開放』が正しい使い方です。

②閉鎖している自分の心を、開放してみましょう!

自分の考えを新たにしてみたり『執着していたものを取ってみよう!』というようなニュアンスに聞こえますね。

心の中で閉ざしていたものを『開け放つ』ことができたら、気分も晴れやかになることでしょう。

③無料開放イベントを開催しています。

ショッピングモールや観光地でよく耳にするのではないでしょうか?

普段は入れないような場所を『開け放っている』という意味が伝わります。

無料開放と言われると、気軽に遊びに行けて嬉しいですよね!

ちなみに、筆者は無料という言葉に弱いので、無料開放イベントがあったらすぐに足を運んでしまいます。


「解放」と「開放」の例文を3つずつご紹介しましたがいかがでしたか?

例文をそれぞれ見てみると『解放』は気持ちの面で、『開放』は景色や物が関係しているということがわかります。

同音異義語は、ポイントを抑えることで漢字のもつ『そもそもの意味合い』を考えていけます。

日常会話の中では漢字が持っているそもそもの意味を考え、文章の中でどちらを使うのが最適か考える必要があります。

そして、慣れていけばスムーズに正しい言葉を使うことができるようになります。

どちらが正しいか迷ったときは、漢字のもつ意味を考えると案外分かるようになるかもしれませんね!

「解放」と「開放」の類義語を知ろう!

「解放」と「開放」を使った例文

このセクションでは『解放』と『開放』の類義語をご紹介していきます。

以下のセクションに行く前に、類義語の意味を確認しておきましょう。

そもそも、類義語とは語句そのものは異なっているものの、意味の似かよっている二つ以上の語のことです。

『解放』と『開放』は同音異義語ではあるものの、使い分けるポイントが分かれば正しく使うことができることをお伝えしてきました。

類義語も同じように、使い分けるポイントが分かれば問題なく使うことができます

以下のセクションで例文を読みながら、確認していきましょう!

解放

おさらいになりますが、解放は『解き放つ』という意味です。

解放の類義語である

  • 解除
  • 脱却
  • 釈放

上記の3つの例を紹介します。

解除

解除とは

  1. 今まであった制限・禁止事項、あるいは特別の状態などを無くし、元の状態に戻すこと。
  2. 法律にある契約当事者の一方の意思表示によって、成立している契約を一からなかったものとすること。

という意味です。

意味1の具体例としては『事故によって発生していた交通制限を解除する』『扉の施錠を解除する』『武装の解除をする』などがあります。

意味2の使い方の例は『加入していた保険を解除する』『契約した事項を解除する』『経済支援凍結を解除する』などがあります。

つまり、解除には元から禁止していたもの、ダメとされていたものを元通りにするという意味合いがあります。

脱却

脱却とは

古い考え方や欠点などを捨て去ったり、よくない状態から抜け出したりすること

という意味です。

具体例としては『会社の経営難から脱却することができた』『少子化から世の中から脱却する』

『新たなルールを設けなければ、現在の立ち位置から脱却できない』などがあります。

つまり、脱却には『人の考えや状態』が関係しているということが分かります。

釈放

釈放とは

捕らえられていた人間をゆるして自由にしてやること。

という意味です。

具体例としては『無罪のため、あなたを釈放します』『彼は未成年なため釈放された』『無事釈放されたら家に帰りたい』などがあります。

釈放は収容施設に居る人が開放されるような場合によく耳にします。

つまり、釈放には収容施設からの解放』というような時に使うということが分かります。

開放

改めての確認ですが、開放は『開け放つ』という意味です。

開放の類義語である

  • 開封
  • 開示
  • 開通

これら3つの例を解説します。

開封

開封とは

  1. 郵便物や封書など、閉じられた封を切ること。
  2. 封の上端を切り取り、中が見えるようにした郵便物。主に第三種・第四種郵便物に行う。

という意味です。

意味1の具体例は『開封後はお早めにお召し上がりください』『宛名を確認してから開封してください』などがあります。

意味2の使い方の場合は『郵便物を開封し、中身を確認してください』『こちらが届きましたら、すぐ開封してください』などがあります。

つまり、開封には郵便物だけでなく『封をされているものを開ける』という意味合いがあります。

開示

開示とは

  1. 物事の事柄をはっきり示すこと。
  2. 相手に対し、説き明かし示すこと。また教えること。

という意味です。

意味1の具体例としては『こちらが開示請求書になります』『情報開示をしたら、情報が流れる可能性がある』などがあります。

意味2の使い方は『自己開示したことで事業が円滑になった』『成績を開示した上で話し合いをします』などがあります。

裁判の時などのかっちりとした場や、契約を結ぶような場面で耳にする言葉です。

したがって開示とは、裁判などの場で資料や証拠などを提示して欲しい時に使う意味合いがあります。

開通

開通とは

鉄道・道路・電話など、交通・通信の機関や施設が完成してつうじること

という意味です。

具体例としては『ただいまより、市バスの開通式典を開催します』『工事が未完成につき、この電話線は開通していません』などがあります。

つまり、開通は公共交通機関が新しく作られた時など、公共交通機関に対して使う意味合いがあります。


「解放」と「開放」の類義語の例を、3つずつ紹介しました。

同じような言葉がたくさんあるからこそ、何を使ったら良いか難しく感じることがありますよね。

何を使うか分からなくなった場合は、漢字を訓読みにして読んでみたり、漢字のもつ意味合いを考えたりしましょう。

そうすることで、適切な言葉の使い方が分かるようになっていきます!

まとめ:「開放」と「解放」は似ているようで違う!正しい使い分けを覚えよう

まとめ:「開放」と「解放」は似ているようで違う!正しい使い分けを覚えよう

いかがでしたでしょうか?

本記事では、同じ音の言葉である同音異義語について解説してきました。

本記事のテーマである『開放』と『解放』のように、似ている言葉はたくさんあっても意味は違うということが、お分かりいただけたら何よりです。

正しい言葉の使い方を見分ける時には、漢字のもつ意味を理解しておくことが重要です。

それでも難しい場合は、漢字を訓読みに変更したり、類義語や対になる言葉を覚えておいたりしましょう。

本記事では『開放』と『解放』をテーマにお伝えしてきましたが、他にも同音異義語はたくさんあります。

同音異義語を使い分けるポイントを覚えておくことで、似ている言葉の正しい使い方が分かるようになるでしょう!

「開放 解放」に関するよくある質問

『開放』と『解放』をテーマに、同音異義語を使い分けるポイントをお伝えしました。

ここからは『開放』と『解放』などの同音異義語に対するよくある質問を3つご紹介します。

あなたの悩みも解決できるかもしれません。

ぜひ参考にしてくださいね!

よくある質問①解放感と開放感の違いは何ですか?

『解放感』は囚われていた何かから、自由になる感覚をさしています。

『開放感』は閉鎖的な空間から解き放たれた後の『広がりや自由』という感情をさしています。

『解放感』が自分の気持ちが関係した言葉ということに対し『開放感』は場所や風景や自然に対する言葉といえます。

自分が使う文章がどちらの気持ちや情景なのかを考え、適切な語を選ぶようにしましょう。

よくある質問②ドアを開けるときの「かいほう」はどっちを使いますか?

『ドアを開ける』には『開』の漢字が使われていますよね。

『開放』には『開け放つ』という意味があります。

したがって『開ける』に使われる『開』の字が入った『開放』を使うのが正しいです。

漢字のもつ意味と『何を“あけるのか”』を考え、正しく使えるようにしましょう。

よくある質問③「開放」と「解放」を言い換える言葉は?

『開放』を言い換える言葉は、

  • Open(オープン)
  • 手放す
  • 手離す
  • 公然
  • 開放的

などがあります。

『解放』を言い換える言葉は、

  • Release(リリース)、Free(フリー)
  • 取り離す
  • 取り放す
  • 解き放つ
  • 解消する

などがあります。

英語表現だけでなく、言い換え表現を覚えておくとより漢字の意味を考えて言葉を使うことができるようになります!

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元幼稚園教諭・現保険業と接客業のダブルワーク・更にライターとしても活動している、ちょっと元気すぎる人です。仕事は「元気に・丁寧に・全力で」を心がけております。皆様の元へ、私の想いが届いたら何よりです。
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