「期間限定商品を買ってしまった」
「友人と異なるモデルの商品を買い物カゴに入れてしまった」
「旅行先でお土産を買いすぎてしまった」
このような経験をしたことのある方も、いらっしゃるでしょう。
スノッブ効果は「周りと違うものがほしい」という心理が働き、周囲の所有率が減少するほど商品の価値が高まる効果です。
当記事では、スノッブ効果とは何なのか、コピーライティングに活用するコツなどをプロのコピーライターが解説します。
コピーライティングにスノッブ効果を取り入れて、商品の売上向上を目指している方は、ぜひご覧ください。
スノッブ効果とは
スノッブ効果とは、周囲の所有率が減少するほど商品の価値が高まる効果のことです。
中央大学商学部の研究論文によると、わたしたちが商品を購入するときは「その商品がほしい」という単純な欲求とは別に、周囲の購買行動にも大きな影響を受けるとされています。(※参考:中央大学商学部 同一消費者内で発生するハンドワゴン効果とスノッブ効果)
商品購入時に大きな影響を受ける周囲の購買行動の一つとして、スノッブ効果があげられます。
そんなスノッブ効果について、詳しく見ていきましょう。
周囲の所有が減少するほど商品の価値が高まる効果のこと
スノッブ効果とは「人と違うものがほしい」という心理が働き、周囲の利用や所有が減少するほど商品の価値や需要が高まる効果です。
たとえば、誰でも購入できるスニーカーより、100足限定で販売されている入手困難なスニーカーに価値を感じるのは、スノッブ効果によるものです。
購入するのが難しい限定商品や、そこでしか買えない地域限定品などに魅力を感じたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
バンドワゴン効果・ヴェブレン効果との違い
スノッブ効果はアメリカの理論経済学者である、ハーヴェイ・ライベンシュタインが提示したとされています。
ライベンシュタインはスノッブ効果以外にもバンドドワゴン効果・ヴェブレン効果なども提唱しています。
スノッブ効果・バンドワゴン効果・ヴェブレン効果の違いを、以下の表にまとめました。
スノッブ効果 | 周囲が持っていないものに対して価値を感じる心理効果 |
バンドワゴン効果 | 他人が持っているものに価値を感じる心理効果 |
ヴェブレン効果 | 高級品に対して価値を感じる心理効果 |
スノッブ効果と対象的なのは、他人が持っているから流行に乗り遅れないよう自分も同じものを持ちたいという心理が働き、他人の所有率が高い商品に価値を感じるバンドワゴン効果です。
一方、ヴェブレン効果はスノッブ効果と似ており、他人に自慢したいという心理から高級品や贅沢品に価値を感じる心理効果です。
わたしたちが商品を購入する際は、スノッブ効果・バンドワゴン効果・ヴェブレン効果のいずれかが働いているといえるでしょう。
実際、純粋にほしい商品を探していても、他人の口コミや評価などが気になる方も多いはずです。
あわせて、バンドワゴン効果の詳細を把握したい方は以下の記事も参考にしてください。
スノッブ効果を利用すれば顧客の購買意欲を向上できる
スノッブ効果を利用すれば、顧客の購買意欲を向上させられます。
「人と違うものがほしい」と欲している見込み顧客の場合、少々高額な商品でも他人が持っていなければ購入する可能性が高いからです。
他人と差別化を図りたい心理の中には、商品を人に自慢したい欲求も含まれます。
希少価値の高い商品であれば、少々高額でも購入を後押しできるでしょう。
実際にスノッブ効果を利用して、商品の売上向上を目指す企業も少なくありません。
スノッブ効果が使われている実例【3選】
スノッブ効果を利用して、商品やサービスの売上向上を目指している企業は多く存在します。
このように聞くと、実際どのような場面でスノッブ効果が使われているのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
ここからは、スノッブ効果が使われている実例3選をご紹介します。
実例①期間限定の商品
あのスパイシーチキンマックナゲット黒胡椒ガーリックが期間限定で販売開始!期間限定商品は数に限りがありますので、お早めにご来店ください。 |
スノッブ効果が使われている、日本マクドナルドホールディングスの事例です。
期間限定の「スパイシーチキンマックナゲット黒胡椒ガーリック」が販売開始された2024年度1月における全店の売上高は、前年同月比の6.7%増となりました。
期間限定でしか味わえない「スパイスの利いたチキンマックナゲットを食べたい」と、多くの見込み顧客が店頭へ足を運んだ結果が数字として現れています。
常時販売されているチーズバーガーやマックチキンも人気の高い商品ですが、期間限定販売されている商品のほうに注目が集まるのは、スノッブ効果によるものです。
「期間内に購入しなければ、次にスパイシーチキンマックナゲットを食べられるのは1年後になる」という、希少価値の高さをうまく活用している事例です。
実例②個数限定の商品
88円のたまごを100個限定で販売します。売り切れ次第、販売終了となりますので、お早めに店頭まで足をお運びください。 |
上記は、スノッブ効果を使用しているスーパーの安売り広告の事例です。
88円のたまごを個数限定で安売りするといった内容の広告を、目にしたことのある方もいらっしゃるでしょう。
物価高の続く現代で、たまごが88円で購入できるのであれば、家事の途中でも開店前から店頭に並ぶ主婦は多いはずです。
100個と聞くと多い数字に思えますが、一般社団法人全国スーパーマーケット協会が発表した「スーパーマーケット白書」によると、開店から閉店までにスーパーマーケットへ訪れる顧客の人数は1日平均1,675名です。(※平日の場合)
1,675名のうち100名しか手にできないたまごであれば、希少価値も高く「並んででも購入したい」という心理も働くでしょう。
数個限定の商品も、スノッブ効果を利用して売上向上を測っている事例です。
実例③地域限定の商品
東京ディズニーリゾート40周年を記念して、40周年の衣装を着たミッキーマウスのぬいぐるみバッジを販売します。もちろん、ミニーマウスやプルートなどの仲間たちが40周年の衣装を身にまとっているぬいぐるみも販売しております。 |
上記は、スノッブ効果を使用している東京ディズニーランドの事例です。
東京ディズニーランドに行った帰りに、多くのグッズを購入し予算オーバーしてしまった経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
東京ディズニーランドで販売されているグッズは、そこでしか購入できない限定の商品です。
地域限定の商品を購入する特別感と、スノッブ効果の心理に含まれる他人に自慢できる欲をうまく利用しています。
東京ディズニーランドで購入したお土産をSNS上にアップしたり友人に見せたりすれば、ちょっとした自慢になるでしょう。
地域限定の商品もスノッブ効果を活用して、見込み顧客の興味・関心をうまく引きつけている事例です。
スノッブ効果をコピーライティングに活用する4つの方法
スノッブ効果をコピーライティングに活用すれば、見込み顧客の購買意欲を向上できます。
そのため、広告宣伝のために文章を書くコピーライティングでも、スノッブ効果を活用するのが有効です。
ここからは、スノッブ効果をコピーライティングに活用する4つの方法を例文とあわせて解説します。
具体例①期間限定であることを伝える
2月15日まで限定!洗濯洗剤の詰め替えを10ml増量して販売いたします。期間中はローズの香りも加えて、合計4種類の香りも楽しんでいただけます。 |
コピーライティングにスノッブ効果を活用する際は、期間限定であることを伝えましょう。
「期間限定で〇〇ml増量」「期間中のみ〇〇もプラス」など、期間限定であることを伝えれば見込み顧客の購買意欲を向上できます。
希少性の薄い生活用品でも、期間限定で内容量が増量したり通常と異なる香りのバリエーションが増えたりすれば、希少性が高まり売上アップにつながります。
いつでも購入できると安心する商品より、期間限定でしか買えないと不安を抱く商品のほうが手に取ってもらいやすい傾向です。
スノッブ効果をコピーライティングに活用する場合は、期間限定であることを伝えて見込み顧客に焦りや不安を抱いてもらうのもよいでしょう。
具体例②数個限定であることを強調する
当商品は限定10個のみの販売となっております。再発売の予定はありません。残り8個となっておりますので、お急ぎください。 |
数個限定の商品であることを強調するのも、スノッブ効果をコピーライティングに活用するポイントです。
数個限定の商品であれば「いま、申し込まないと売り切れてしまう」と焦りを覚えると同時に、周囲と被らない可能性も高いため「ほしい」という欲求も高まります。
コピーライティングで数個限定と強調する場合は、短期的な売上向上を目指すケースで有効です。
長期間、数個限定と謳っていれば「いつでも購入できたのに」と、不快感を与えてしまい顧客との信頼関係が壊れてしまう可能性もあるため注意してください。
在庫数の少ない商品や、初回限定のみ割引適用するような商品を売るための武器としてスノッブ効果を活用するとよいでしょう。
スノッブ効果をコピーライティングに取り入れる際は、数個限定であることを強調して見込み顧客に入手困難な商品であると認識してもらうのもおすすめです。
具体例③人数制限があることを武器にする
体が温まると高評価のしょうがエキス入りのサプリメントを、100円で50名様に販売します。定員になり次第、通常価格の6,980円での販売になりますので、早めにご予約ください。 |
人数制限があることを武器にすることも、スノッブ効果をコピーライティングに活用する方法です。
人数制限を設けることで「入手困難な商品である」と認識され、商品価値を高めます。
通常価格も同時に提示することで、割引価格がより引き立つため見込み顧客の購買意欲を刺激できるでしょう。
人数制限があることを武器にする場合は、現実的な人数に設定するのがポイントです。
たとえば、限定3名様では非現実的な数字であるため「定員になっているだろう」と、購入を諦めてしまう見込み顧客も少なくありません。
非現実的な人数設定にすると、売上向上も見込めないため注意が必要です。
コピーライティングにスノッブ効果を活用する場合は、現実的な数字で人数制限があることを強調しましょう。
具体例④ここでしか手に入らないことを伝える
千葉県でしか生産されていない落花生です。取り扱っているのは千葉県勝浦市に本店をかまえる当店だけ!在庫がなくなり次第、販売を終了いたします。 |
ここでしか手に入らないことを伝えるのも、スノッブ効果をコピーライティングに活用するコツです。
他店では取り扱っていない地域限定商品であると伝えることで、商品の需要が高まります。
「地域限定商品」に人気が集まるのは、そこでしか買えないからです。
たとえば、神社の御朱印はそこの神社でしかもらえない地域限定商品に該当します。
遠方へと足を伸ばしてでも神社の御朱印を集める方も、少なくありません。
このように、そこでしか販売されていない商品であれば、希少性も高まり周りに自慢することもできるため購買意欲の向上も見込めるでしょう。
ここでしか手に入らない地域限定商品であると伝えることも、スノッブ効果をコピーライティングに活用するポイントです。
スノッブ効果を活用するうえでの3つの注意点
スノッブ効果をうまく利用すれば、見込み顧客の購買意欲を向上させ、自社商品の売上向上も目指せます。
ただし、間違った使い方をすると、法律違反に問われたり期待する効果を得られない恐れもあるため注意が必要です。
ここからは、スノッブ効果を活用するうえでの注意点を3つ解説します。
注意点①景品表示法違反に注意する
スノッブ効果を活用する際は、景品表示法違反に注意しましょう。
商品やサービスの品質を過大評価したり、消費者に誤解を与えたりする恐れのある表示から顧客を守るための法律です。
たとえば、海外輸入品の豚肉を国内生産の豚肉であると表示したり、予備校の宣伝で大学合格者の人数を偽って表示したりする行為は景品表示法違反に該当します。
景品表示法に違反した場合、消費者庁が違反対象である表示に関する商品の購買・実地調査による資料の収集・事業者に対する報告命令などが実施されます。
命令を受けた際に事業者が従わなかったり調査を妨害したりした場合は、1年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される法律です。(※参考:法令リード|不当景品類及び不当表示防止法|条文)
過大評価や誤解を与えるような表現で、スノッブ効果を活用するのは避けましょう。
顧客との信頼関係が壊れるうえに、低評価な口コミが広がれば自社の信用問題にも関わります。
注意点②人気の高い商品への使用は避ける
スノッブ効果は、周囲が持っていない商品に価値を感じる見込み顧客の心理を利用するマーケティング戦略です。
人気の高い商品にスノッブ効果を起用しても、効果は得られません。
たとえば、年間1億本も売れている酵素ドリンクにスノッブ効果を使用しても、多くの愛用者がいるため商品の希少性は減少します。
年間1億本も売上のある酵素ドリンクの場合は、スノッブ効果よりバンドワゴン効果を利用するのがおすすめです。
期間限定で解禁しているワインのように、手に入りにくい商品にスノッブ効果を使用しましょう。
注意点③販売数をコントロールする
スノッブ効果を利用する場合は、商品の販売数をコントロールしましょう。
販売数が多い場合、スノッブ効果で商品が売れることにより、誰もが持っている希少価値の低い商品になってしまうからです。
希少価値の低い商品、つまりどこでも買えるありふれた商品にスノッブ効果は期待できません。
スノッブ効果を利用する際は、販売数のコントロールを意識しましょう。
まとめ:スノッブ効果をコピーライティングに活かして見込み顧客の心をつかもう
スノッブ効果とは「人と違うものがほしい」という心理が働き、周囲の利用や所有が減少するほど商品の価値や需要が高まる効果です。
スノッブ効果をコピーライティングに活用すれば、見込み顧客の興味・関心を引けるため自社商品やサービスの売上向上も目指せます。
実際、日本マクドナルドホールディングスや東京ディズニーランドなどの大手企業では、スノッブ効果を使用して見込み顧客の購買意欲を向上させることに成功しています。
期間限定や個数限定などの文言をうまく利用することで、商品の希少価値や需要が高まり、少々高額な商品やサービスも売れやすくなるでしょう。
スノッブ効果を活用して、見込み顧客の心をつかみ問い合わせや申し込みにつなげてください。