「買うつもりのなかった商品を思わず衝動買いしてしまった・・・」
「ウィンドウショッピングのつもりだったのにいつの間にか買い物袋を手にしている・・・」
そのような経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか?
買ってしまった理由は値段や販売員さんが信頼できたなどさまざまな理由があるのかもしれませんが、
決心の瞬間は感情が決め手となっています。
本記事ではWebライターやコピーライターとして知っておくべき、感情を揺さぶるテクニックである「GDTの法則」について解説していきます。
GDTの法則とは?
「GDPの法則」は人の世界的に有名なセールスコピーライターのマイケル・フォーティン氏が提唱したもので、人間の3段階欲求の頭文字をとって名づけられました。
3つの欲求段階とは以下のとおりです。
Goal(目標):人間が意識的・理性的に追い求めるもの
Desire(欲望):人間が感情的に求めるもの
Teaser(本性):人間が本能的に求めるもの
Goal(目標)→Desire(欲望)→Teaser(本性)の順で欲求が強くなります。
何故、読み手の感情を揺さぶるのか?
人は感情で決定し、その後理性で行動を正当化すると言われています。
簡単に言うと人は感情でモノを買うということです。
そして、その行動に理屈をつけて(理性で)正当化しようとします。
ふと立ち寄ったブランド品店でちょっと見てみるだけのつもりだったのに衝動買いをしてしまった・・・
買った後、「最近仕事が忙しかったから、自分へのご褒美に」「いい歳だから身につけるものはブランド物にした」といったように理由をつけるのがまさにこの例。
買う瞬間はブランド物を身につけていることで、チヤホヤされている自分の姿しかイメージしていなかったりします。
このように人に行動してもらいたい時は「感情」を揺さぶることが重要になるのです。
逆を言えば、感情を揺さぶることで簡単に行動してもらえるようになるとも言えます。
行動を促すライティングに必要なスキル
ライティングの仕事をしていると、自分の文章は最後まで読んでもらえたのかなと不安になったことは誰しも一度はありませんか?
GDTの法則はセールスライティングの見出しやキャッチコピーをはじめ、ブログやメルマガなどで、とくに文章で強く訴えたい部分に使うと、読者の関心を大きく惹きつける効果があります。
「読み手の感情を揺さぶり、行動を促す」ためには必ず知っておきたい法則です。
しっかりと理解しうまく使えるようになると、人間の深い感情や本能的な部分に訴えかけるライティングを効果的にできるようになるでしょう。
結果、セールスライティングやキャッチコピーなどで大きな反響に繋げることが可能となります。
GDTの法則を構成する9つの要素
Goal(目標)、Desire(欲望)、Teaser(本性)の3つの欲求はそれぞれが3つに細分化され、合計9つの要素になることから「3×3ヘッドラインルール」とも言われます。
では、9つの要素をひとつずつ詳しく見ていきましょう。
Goal(目標)弱
人間が意識して目指すことの多い要素である「目標」で、下記の3つに分類されます。
- Save Time:時間をかけたくない
- Save Effort:努力したくない
- Save Money:お金をかけたくない
理性的に追い求めるものですが、誰しもが時間やお金をかけずに、楽をしてなんとかしたいと考えています。
このなまけたい欲求を満たすことで読み手は興味を示してくれるようになります。
Save Time(時間をかけたくない)
現代人はせっかちで「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉が流行ったのは記憶に新しいところですが、多くの人は何事も時間をかけずに短時間で済ませたいものです。
デジタル化の発展はこの時間や労力を抑えたいというところから発展したと言っても過言ではないでしょう。
短期間で完了、効率が良いといった特徴は効果的なコピーと言えます。
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3か月よりは1か月、1時間よりは30分・・・といったように遠い未来よりも想像ができる近い未来のほうが感情は動きます。
Save Effort(努力をしたくない)
「すぐに痩せます!!」のような極端な広告は規制もあり、少なくなりましたが、似たようなコピーで思わず買ってしまう人が多いのは「努力したくない」という感情が原因。
可能な限り楽して目標を達成したいのが人間という生き物で常に楽な方法を望んでいるものです。
つまり労力や手間を減らせるようなコピーであれば効果的で、逆に努力が必要性を訴えると逆効果になります。
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簡単に言うと「楽して、欲しいものを手に入れたい」というワガママを叶えてあげるようなコピーが刺さります。
Save Money(お金を使いたくない)
誰しも手元にあるお金を減らしたくない、払うとしてもお得に済ませたいと思っているものです。
虫のいい話ですがお金をかけずに目標達成できるものなら大歓迎ということです。
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「初回無料」などのようにそもそもお金がかからない、お金がかかるとしてもお得ですと伝えられると感情を揺さぶることが可能です。
Desire(欲望)中
人間が時間やお金をかけても欲しがるのが「欲望」で、下記の3つに分類されます。
- Greed:富や名誉が欲しい
- Lust:愛されたい、性欲を満たしたい
- Comfort:悩みや苦痛のない快適な状態でいたい
「富や名誉、愛や性欲、快適さ」を得たいと多くの人が論理や理性ではなく、感情的に欲する要素です。
Greed(富や名誉がほしい、強欲)
「偉くなりたい」「お金持ちになりたい」は誰もが思う根源的な欲求です。
成功したい欲求を叶えてあげることが読み手の感情を揺さぶることになります。
高級車に乗ったり、ブランド品を身につけることで周囲から称賛されたい典型例です。
また、最近だとSNSに華やかな生活を載せるのもフォロワーから「いいね!」が欲しいからで、この欲求もそのひとつです。
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承認欲求をいかに満たせるかがポイントで、「感謝された」や「喜ばれた」などの表現もGreed(富・名誉)に含まれます。
Lust(愛がほしい、性欲)
モテたい、キレイでいたい・・・誰しも愛されたいと思うものです。
また、性欲は人間の三大欲求のひとつで、優秀な遺伝子を残すという人間の本能に基づくものでもあります。
つまり「愛されたい」「性欲を満たしたい」という欲望に訴えかけることは自然に本能を強く刺激することになります。
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容姿や印象にこだわるのは、言ってしまえばモテたい気持ちの延長線です。
美容系や健康系の商材によく使われる訴求であるというのも納得ができると思います。
Comfort(快適でいたい、悩みのない状態でいたい)
悩みや苦痛のない生活をしたいと多くの人は思いますよね。
人間は常にいろいろな不安から逃れたい、快適な状態でいたいという欲を持っています。
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世に生まれてくる商品・サービスのほとんどは、この欲求を満たす可能性を潜在的に持っていることが多くなっています。
快適に過ごせるようになる要素は何か?ベネフィットにしっかりと着目すると比較的使いやすい欲求です。
Teaser(焦らし)強
人として生まれた以上は逃れられない、感情を強く動かしたい時に一番有効な欲求です。
- Curiousty:好奇心を掻き立てられるものが気になる
- Scarcity:希少性のあるものに弱い
- Controvesy:反社会性、論争を巻き起こすものが気になる
この要素をアピールすると「衝動的な行動」を促す非常に強いキャッチコピーやタイトルになります。
Scarcity(希少性のあるものが気になる)
珍しいものや限定されているものへ人は関心を持ちます。
希少性があるものを手に入れることで優越感を得られるからです。
そもそも人は希少性や緊急性で焦らされたいという本能レベルの欲求があるとも言われています。
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「時間限定」で行うタイムセールや1日「数量限定」など身近なところでもよく使われており、「世界に一つ」ほどの希少性に限った話ではありません。
Curiousty(好奇心を掻き立てられるものが気になる)
人は意外性があるものや好奇心をそそられると気になるのが性(サガ)です。
「ギャップ」が典型例で、気になる異性や好きな芸能人の印象と違う意外な一面を見せられた時、ドキッとして更にはまってしまったという経験は誰しもあるのではないでしょうか。
価値のあるかどうかは関係なく、行動したくなる衝動を生み出すのがCuriousty(好奇心)です。
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「新発売」や「初登場」というワードは日常に溢れていますが、これらもCuriousty(好奇心)を煽るフレーズのひとつと言えます。
Controvesy(反社会性、論争を巻き起こすものが気になる)
高校生の不良がタバコを吸う・・・これは未成年が吸ってはいけないという法があり、反発するからこそ不良の定番となるのです。
マンガや映画で残虐なシーンや暴力的なシーンにもかかわらず見てしまうというのもこの衝動からと言えます。
人は反社会的なものに惹かれるものであり、自分の常識から離れれば離れるほど強く関心を持ってしまうものです。
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「閲覧注意」と書かれたWeb広告を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?
犯罪を促すような表現はNGですが、思わず手を出してしまうようなドキッとする表現は強いキャッチコピーやタイトルとなるでしょう。
GDTの法則を用いた文章例
実際に9つの欲求を織り交ぜた例を見てみましょう。
例①美肌効果もある最新機器導入!痛くない医療脱毛でモテ肌に!
美容クリニックの脱毛広告のコピー事例です。
Lust(愛・性欲):美肌効果もある、モテ肌 Curiousty(好奇心):最新機器使用 Comfort(快適・不快):痛くない医療脱毛 |
「モテ肌」や「美肌効果」で、キレイでいたい、モテたいというLust(愛・性欲)をアピールし、医療脱毛をした際のベネフィットを訴求しています。
「最新機器」もシンプルなワードですが、美容に関心が高い人のCuriousty(好奇心)を刺激し、脱毛ならどこも一緒と思われないような差別化。
「痛くない医療脱毛」とComfort(快適)をアピールすることで、医療脱毛そのものの「痛い」というイメージを払拭しています。
例②先着10名!自宅でできるダイエットレッスンが今なら初回無料!
自宅でオンラインダイエットレッスンを受けられるサービスの事例。
Scarcity(希少性):限定10個 Save Effort(努力):自宅でできる Save Money(お金):初回無料 |
「先着10名」で早く申し込まなくてはという希少性に訴えかけています。
更に「自宅でできる」の一言でジムやスタジオに通う努力が不要であることを伝え、「初回無料」でお金を払わなくていいことをアピールして、それぞれの欲求を刺激しています。
例③悪用厳禁!TOP1%のできる営業マンがやっている定時に帰る仕事術
ビジネス書のコピーやビジネスセミナーの案内に使われるような事例です。
Controversy(反社会性):悪用厳禁 Greed(富・名誉):TOP1%のできる営業マン Save Time(時間):定時に帰る |
「悪用厳禁」でどのような方法なのかと気を惹き、「TOP1%のできる営業マン」で成功者のノウハウであることを主張。
「定時に帰る」で仕事が一段と早くなるということを訴求し、時間を使わずにトップ営業マンを目指せるという刺激を与えています。
GDTの法則を学ぶメリット・デメリット
GDTの法則がどのようなものか理解できたところで、この法則を使った時のメリットとデメリットをご紹介します。
メリット① リサーチの質が高くなる
コピーライティングやセールスライティングをするに当たってリサーチは重要ですが、GDPの法則を意識することはリサーチの質を高めてくれます。
リサーチは紹介する商品やサービスの理解はもちろん大事ですが、ただどのようなものか知るだけでは良い文章にはなかなか繋がりません。
商品やサービスがGDTの法則を満たせるかどうかをしっかりと見極めながらリサーチすることが重要です。
商品やサービスの紹介だけに留まらず、より読者の求めていることに寄り添ったライティングが可能になります。
メリット② 売上に直結するライティングができる
GDTの法則を理解して効果的に利用できると売上を伸ばすことに直結します。
人の欲求を理解することで、相手の欲求のくすぐり方がわかるようになり、行動を促せるようになります。
集客はできても、売上を生み出すには行動を起こしてもらわないと何も始まりません。
GDTの法則を効果的に使うことで購入や申込という行動を起こしてもらうことが重要なポイントです。
メリット③ 効果的なマーケティングが学べる
マーケティングはライティングの質を高めていくために必須となるスキルです。
ライティングにおいては読んでくれる人がどういった人かをしっかりと考えて書くことが重要になります。
GDTの法則はそのひとつではありますが、ユーザーが求めているものは何かをしっかりと分析するのに有効な手法と言えるでしょう。
分析はまさにマーケティングに必要な要素のひとつです。
ライティングは集客やブランディングなどの一端である以上は、どの欲求に答えられるものであるのかを考える必要があるため、分析力を鍛えられるようになります。
SNSやYouTubeなどWeb広告はもちろん、駅のポスターや街頭ビジョンなど日常に広告はありふれています。
今までは気にしてみていなかったかもしれませんが、広告の商品やサービスがどのような欲求を訴求しているのか、少し考えてみるだけでも十分思考が鍛えられるので、ぜひ見方を変えてみましょう。
デメリット① 極端な表現には十分注意が必要
売上を上げるために効果的なGDTの法則ですが「1日10分の勉強でどんな人でも東大に合格!」のような現実的ではない表現には注意が必要です。
とくに近年は消費者保護が強くなっており、断定しすぎた表現や効果を証明できないような表現は法的に取り締まりを受けてしまうケースすらあります。
「絶対」を約束するような極端な表現になっていないか注意しながら、魅力的な文章を書くように心がけましょう。
デメリット② 使いすぎると胡散臭い
「1日1分!努力不要で理想のスタイルを手に入れてモテるようになるサプリ!」
「1日1分(Save Time)」や「努力不要(Save Effort)」「理想のスタイル(Lust)」「モテる(Lust)」とさまざまな要素が詰まっています。
ここまでくると「1分で大丈夫?」「努力なしで本当にモテる?」と疑いの目も出てしまうもの。
感情を強烈に揺さぶることは重要ですが、いろいろな要素を詰め込みすぎて使いすぎると逆に胡散臭く見えてしまうことがあるため、使い方には注意が必要です。
GDTの法則を使用する際は、胡散臭さを無くすために疑いに対する正当性はしっかりと答えられるようにし、とくに強く訴えたい部分を絞ることが効果的な使い方と言えるでしょう。
デメリット③ 悪用は厳禁
詐欺師はこのGDTの法則をよく理解しています。
「お金が稼げる」という儲け話や「モテたい」という思いを利用される結婚詐欺など、GDTの法則により駆り立てられた結果被害者になってしまうことがほとんどです。
詐欺師は人の根源的な欲求を的確に刺激することで一定数の人は騙せることをよく理解しています。
詐欺師のような悪質な使い方はしないよう注意しましょう。
GDTの法則をうまく使うコツとは?
では、GDTの法則をうまく使うにはどのようにすれば良いでしょうか。
リサーチをしっかりと行う
GDTの法則をうまく使うには紹介したい、販売したい商品やサービスをしっかりと理解して、強みを知ることです。
また、顧客や競合を分析することも重要で、類似の商品やサービスがあった場合はどのような点で優れているのか?どのような顧客をターゲットとするのか?
自社・競合・顧客をしっかりと分析することで最適な要素は変わります。
たとえば「誠実さ」をアピールしたいにもかかわらず、「悪用厳禁!私が100万円稼げたずるい裏技」とControvesy(反社会性)を前面に押し出すと商品やサービスそのものの信頼を失ってしまう可能性があります。
分析をしっかり行った上でどの欲求を満たせるのか、効果的になるのかまで考えて使うことが重要です。
GDTの順序を理解して使う
3つの欲求には強さがあり、その順番は以下のようになっています。
Goal(目標) <Desire(欲望)< Teaser(本性) |
欲求が強くなるにつれ、本能に訴えかけて感情を揺さぶることが可能です。
人は本能(本性)のままに生きたいと思い、お金持ちになりたい、モテたい(欲望)という感情を抱き、できることなら楽して手に入れたい(目標)と考えています。
「Teaser(本性)」が一番強力であり、「Goal(目標)」は一番影響力が少ないとされますので、「Goal(目標)」だけのアプローチは弱くなってしまうことがあります。
しかし、ここで「Goal(目標)」を使う。ここでは「Teaser(本性)」を使おうと考えながら文章をつくるのは大変です。
コピーやタイトルをつくる時は一度自然に書いてみた上で、弱いなと思ったところを改善していくのが良いでしょう。
まとめ:GDTの法則を意識して心揺さぶるコピーをつくろう
GDTの法則の基本からお伝えしてきましたがいかがでしたか?
この記事を読んでいるアナタも実はこれらの欲求を刺激されながら今まで購入や申込を決めていたはずです。
「人は感情で決定し、その後理性で行動を正当化する」
人には欲望という動物的な感情があり、本能が存在しています。
GDTの法則を生かしたタイトルやキャッチコピーはその読み手の感情を動かし、反響を得られるようになる有効な方法です。
何かを買った時に自分は何に心動かされたのか、少し考えてみるだけでもトレーニングができます。
9つの欲求を何個も入れるような必要はありませんが、紹介する商品やサービスがどの欲求に訴えかけられるものなのかをしっかりと理解しましょう。
繰り返し意識して使えるようになるとアナタのライティングスキルは飛躍的に向上するはずです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。