テーマパークのアトラクションやスマートフォンの最新機種の発売日、メディアに取り上げられた飲食店など…。
もし街中で大勢の人が集まる”行列”を見かけたら、あなたはどのような気持ちを抱くでしょうか?
「何を目当てに並んでいるのか?」「行列の先には何があるのか?」など、行列ができている理由を知りたいと思ったことが1度や2度はあるのではないでしょうか。
実はこのような心理こそが、バンドワゴン効果なのです。
本記事ではバンドワゴン効果の意味や実例にくわえ、バンドワゴン効果を用いた文章作成方法についても解説します。
バンドワゴン効果を正しく使えるようになると、相手の背中をそっと押しつつ、こちらが望む行動を促しやすくなるため、日常生活からビジネスまで。
心理学を役立てたい方や説得力のある文章が書けるようになりたい方はぜひ参考にしてみてください。
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バンドワゴン効果とは?
まずはバンドワゴン効果とはなにか、特徴から押さえていきましょう。
そもそもバンドワゴン効果とは、他者の支持が増えれば増えるほど、同じ物事を選ぶ人の数がより一層増える現象のことを意味します。
ちなみにバンドワゴンという言葉の由来は楽隊車(がくたいしゃ)、つまり楽器を演奏する集団である楽隊を乗せた車や馬車のことを指しており、
パレードで軽快なメロディーを奏でながら先頭を走るバンドワゴンから、その後ろに人の列が延びていく様子がバンドワゴン効果という名称の由来とされています。
とはいえ…日本で楽隊車を目にする機会はほとんどないため、ここまで読んでもまだピンと来ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで日本の伝統文化、みこしを例にバンドワゴン効果を考えてみましょう。
炎天下のもと、みこしを担いで街を練り歩く担ぎ手たち。
「ソイヤ!ソイヤ!」という掛け声が町中に響き渡る。
沿道では人々がスマートフォンを手に取り、その様子を写真や動画に収めています。
その光景を目にした人がまた1人、2人と沿道に集まり…
あっという間に、大勢の人々で沿道は埋め尽くされました。
実際にこのような場面に遭遇されたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
意外と知られていないことなのですが、人が人を呼ぶ現象にはバンドワゴン効果が作用しているのです。
バンドワゴン効果はなぜ起こるのか?
そもそも、なぜバンドワゴン効果は起こるのでしょうか。
実は、大勢の人が評価しているものを自分も手に入れたいと思う心理には、社会的証明という心理現象が関係していると考えられます。
社会的証明とは周囲が選んでいることを基準に自分の行動を決める心理です。
【 バンドワゴン効果と社会的証明 】 ◆バンドワゴン効果:他者の支持が増えれば増えるほど、同じ物事を選ぶ人の数がより一層増えること ◆社会的証明:周囲が選んでいることを基準に自分の行動を決める心理 |
人が社会的証明の影響を受けやすいのは「不確実性」「類似性」の条件下に置かれている時だとされています。
これがどのようなものなのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
不確実性
不確実性とは「判断材料が少ないため、自分の行動が正しいのかわからないこと」を意味します。
人は自分の行動に自信が持てないとき、他者の行動をもとに自分の行動を決めようとする傾向があるため、多数派の意見には価値があると評価し、多数派がと同じ選択をすることで人は安心感を得やすいのです。
そのため、確かな情報がない中で決断しなければいけない状況の時、人は大勢の人が支持しているものを正しいと判断する傾向があります。
類似性
類似性とは「自分と似ていると思う人の行動に影響されやすいこと」を意味します。
ここでいう自分と似ている人とは自分と共通点がある人を指し、例としては…
- 性別
- 世代
- 趣味
- 出身地
- 職業、職種
- 価値観
- 人生設計
など。昔から人間は集団で生活することで生き抜いてきたため
「乗り遅れたくない」「集団の中に属したい」という欲求を持っています。
そのため、自分と似ている人の行動は正しいと判断し、自分も同じ行動を取ろうとする傾向があります。
さらに、自分と似ている人たちと自分との間に差異があると、不安が生じやすくなるのです。
参考までに、バンドワゴン効果の影響を受けやすい人の特徴は次のとおりです。
- 流行、有名、王道といわれるものに敏感
- 誰かと話題を共有することが好き
- どちらか太鳳言えば優柔不断
大勢の人と同じものを好まない人は?
ここまでバンドワゴン効果の解説をしてきましたが「別に自分は当てはまらない」と感じている方も中にはいらっしゃることでしょう。
このように、大勢の人と同じ選択を好まない心理は『スノッブ効果』といいます。
このような心理は他人と違うものを手にしたいという欲求の裏には、特別な存在でありたい・独占したい・優越感に浸りたい…といった深層心理が背景にあると考えられます。
また、スノッブ効果の影響を受けやすい人には次のような特徴があります。
- 優待、VIP、特別といわれるものに敏感
- 他人と服装や持ち物などが被るのが嫌だ
- 自分らしく生きることを大事にしている
バンドワゴン効果が作用している実例【5選】
ここまでバンドワゴン効果の特徴についてお伝えしてきましたが…
「バンドワゴン効果の具体例をもっと知りたい」と興味を持ってくださっている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、本セクションではバンドワゴン効果が作用している実例を5つお伝えします。
バンドワゴン効果はいつ、どのように作用しているのかご自身の考え方や行動を振り返りながら、確認してみてください。
実例①飲食店で他者が注文したものを自分も注文したくなる
例えば飲食店での注文において、このようなことはありませんか?
「先に注文している人たちが選んでいるから」という理由で、今まで関心のなかった商品に興味がうまれるケースは、 バンドワゴン効果が作用しているといえます。
なぜなら、多くの来店者と同じメニューを選ぶ心理には「多くの人が評価しているのなら、きっと美味しいのでは?」という心理が働いているからです。
また「悩むくらいなら、ついでに注文しよう」という人々の行動が、後ろに並ぶ人たちの興味を引き、同じ商品を大勢の人が注文する連鎖へとつながりやすくなるのです。
実例②書店でランキング1位の書籍を購入する
例えばあなたが面白い小説を求めて書店に足を運んだ時、このようなことはありませんか?
様々な本が並んでいるにもかかわらず『〇〇ランキング1位』『〇〇大賞受賞!』といったキャッチコピーがついている書籍を手に取ってしまうのにもバンドワゴン効果が作用しているといえます。
ここでは「ランキングで1位になるということは、多くの人に選ばれるほど面白い内容なのでは…」と判断してしまうのです。
ちなみに、書籍のタイトルや帯に次のような言葉が書かれているものもあります。
- 今話題の
- うわさの
- 好評につき
- 行列のできる
- ほとんどの方が〜しています
- 〜が選ぶ〇〇
実例③勝敗予想で有力候補に投票する
選挙やスポーツ観戦など勝敗予想においてもバンドワゴン効果が作用することがあります。
例として、圧倒的優勢、有力候補、エースなどと称される人が所属しているチームを応援、投票をしたくなるのには「大勢の人に高く評価されている人がいるなら、きっと勝つだろう」という心理が働いています。
この状況に近い言葉としては『勝ち馬に乗る』という言葉がありますが、この言葉の意味としては「勝負事において有利な方に付く」というもので、そのチャンスをうまく利用することを指しているのです。
実例④SNSで数字が大きい投稿に反応する
例えば、SNS(Instagtram、X、TikTokなど)を見ていて、このようなことはありませんか?
近年ではインターネット上での交流が、身近になりました。
自分と面識がある人だけでなく、全くの面識がない人とも簡単につながりやすいSNS。
そのSNSでバンドワゴン効果が作用する要素のひとつが数字です。
- いいね数
- 閲覧数
- 動画の再生回数
- コメント数
- フォロワー数(登録者数)など
SNSを利用している方の多くは、これらの数字を評価の判断材料にしたことがあるのではないでしょうか。
一方でSNSを利用していない方も、数字を見聞きすることで、投稿の注目度の高さがうかがえるでしょう。
このことからわかるように、具体性と客観性を持たせた数字は人が何かを決めるうえで重要な判断材料となるのです。
また、人によってはフォロワー数が多いと知ることで「この人はきっと人気な人だ」「有益な情報を発信してくれる人だ」と判断することがあります。
つまり、フォロワー数が増えれば増えるほど、より一層フォロワー数が集まりやすくなるというわけです。
実例⑤〇〇を見て意識が変わる
例えばスーパーマーケットでこのような経験をされた方はいらっしゃいませんか?
普段スーパーマーケットで買い物をしない方は少しイメージしづらいかもしれませんが、このような場面でもバンドワゴン効果が作用しています。
この実例は「周囲の人たちが正しい行動を取っていること」を想像してしまうバンドワゴン効果の心理効果を利用したものです。
また、張り紙の中でも「協力」「連帯感」の意味が含まれているメッセージの張り紙が有効的で「あなた以外にもこんなに多くの人がすでに行動している」と思わせる言葉をかけることで「皆がしているなら自分もそうしよう」と同じ行動を促すことができるのです。
ここで1つのポイントとして、効果的に人々の行動を狙った方へ誘導するためには、
「~しましょう。」「~しないでください。」という制限する意味合いの言葉よりも
他の人たちは「〇〇してくださっています」という趣旨を伝え、相手にイメージさせることが実は効果的なのです。
ここまでバンドワゴン効果の実例を5つお伝えしましたが、バンドワゴン効果が作用するのは、必ずしも目の前にいる大勢の人たちがいる時だけではありません。
目の前に大勢の人がいなくても「大勢の人たちが同じ選択や行動をしている」想像ができる言葉を伝えることが出来れば、バンドワゴン効果をうまく活用できるようになるのです…!
バンドワゴン効果をコピーライティングに活用する3つの方法
具体例を通じてバンドワゴン効果のイメージは掴めてきたでしょうか。
そして次にお伝えするのは、バンドワゴン効果を文章に盛り込む方法です。
実は、文章を通じて読み手の心にバンドワゴン効果を作用させることができれば、集客数のUPや説得力向上などが期待できます。
そこで本セクションではバンドワゴン効果をコピーライティングに活用する方法を3つ紹介します。
活用方法①具体的な数字で示す
「みんなそうしている」という部分は数字を入れることで、わかりやすく示せます。
例えば書籍の帯、サムネイルなど、最初に目にする箇所にバンドワゴン効果が期待できる単語を入れる具体的な数字を盛り込むのが有効です。
- 満足度〇〇%
- 導入実績〇〇%
- 売上数〇〇
- 発行部数〇〇万部
- 愛されて〇〇年
など、これらの数字は見て明らかになるため、むしろ提示しない手はありません。
例えるならば「本日、○○時の時点で○○個売り上げました」と現場をリポートするように、販売の様子を実況するイメージです。
身近な例としてはグルメサイトや宿泊サイトで「〇〇名が閲覧中」「本日◯◯名がこの宿を予約しました」というポップが出ているのを見たことがある方がいるかもしれません。
このように臨場感やストーリー性を持たせながら相手の視線を可視化することで、また1人、2人と人が集まり出し、やがて10人、20人と増えていくことが期待できます。
活用方法②ターゲットと共通点がある人を比較対象として取り上げる
先にご紹介した『具体例①』を読んで「数字を掲載するほどの実績なんてない…」と高いハードルを感じた方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、安心してください。
数字を記載できない場合は類似性、つまり相手と自分の共通点を文章に盛り込むことも有効な手段だと言えるのです。
例えば、女性の見込み客であれば女性の利用者の声を、子供がいる男性なら子供がいる男性の利用者の声を引き合いに出して提案することが重要で、身近な例としては、商品ページなどで口コミやレビューを掲載しているものが挙げられます。
これはターゲット(ユーザー)に対して、同じような環境で「購入したら〇〇になった」とメリットを紹介する常套句ではあるのですが、これらの共通点を上げることで購入するハードルを下げる効果があるのです。
活用方法③バンドワゴン効果とスノッブ効果を掛け合わせる
バンドワゴン効果にくわえ、先にもお伝えしたスノッブ効果は組み合わせて使うことで、より効果的な力を発揮します。
◆バンドワゴン効果:他者からの支持が増えるほどその物事を選ぶ人の数がより一層増えること
◆スノッブ効果:大勢の人と同じものを好まず、希少性や限定性が高い選択に魅力を感じること
理由としては「集団の中にいるという安心感を得つつ、そのうえで少しだけ優越感に浸りたい」という願望が人にはあるからです。
例えるなら次のようなものがあります。
- 色やデザインが違う商品
- ゲームやアニメなどの復刻商品
- 人気商品やコラボアイテムの再販売
ここでは「需要に対して供給が追いつかないもの」や「集団の中に属していてもなかなか手に入らないもの」を手に入れたいという人の心理をくすぐる手法となっています。
近年ではプレミア価格が付くカードゲームや、ゲーム機器など様々なものがありますが、これらに興味を持ちやすいのは人間の性。
実際に多くの企業が、計画的にバンドワゴン効果とスノッブ効果をうまく組み合わせ、商品やサービスを魅力的に演出しているのです。
バンドワゴン効果を活用する上での注意点
ここまで、バンドワゴン効果の活用方法についてお伝えしてきましたが、実は心理効果をうまく作用させるために押さえておくべき注意点が存在します。
バンドワゴン効果を活用している人なら必ず押さえているポイントですので、間違った使い方をしたくない方は、このまま読み進めていただければと思います…!
注意点①嘘や大げさな表現に気をつける
バンドワゴン効果は、他者から支持を得ている対象に対して活用することを前提としています。
この前提がないにもかかわらず、バンドワゴン効果を活用してはいけません。
また、バンドワゴン効果を広告で活用する際は細心の注意を払う必要があります。というのも、事実と異なる情報や大げさな表現を広告で用いた場合『景品表示法』という法律により処罰される可能性があるからです。
バンドワゴン効果に関連する単語で特に気をつけなければいけないのが「No.1(一番)」という単語です。
人気があることを一言で表せる便利な言葉ではありますが、悪用する人も多いため、公正取引委員会という団体では次のように使用を規制しています。
適正なNo.1表示のための要件
引用:No.1表示に関する実態調査報告書(公正取引委員会事務総局)
No.1表示が不当表示とならないためには,①No.1表示の内容が客観的な調査に基づいていること,②調査結果を正確かつ適正に引用していることの両方を満たす必要がある
バンドワゴン効果を活用する際は、嘘や大げさな表現にならないよう気をつけましょう。
注意点②ブランドイメージが損なわれないようにする
ブランドイメージとは人が企業や商品・サービスに対して抱く印象のことです。
大勢の人に支持されている物事が必ずしも全員のニーズを満たすとは限りませんが、バンドワゴン効果などを用いて実際より大げさに表現してしまうと…
- 聞いていた話と違う
- 裏切られた気分
- こんなはずじゃなかった
など、相手が求める期待と商品・サービスの間にギャップが生まれる可能性があります。
このようなギャップが、口コミなどでの低評価につながってしまうこともありますので、ご注意ください。
注意点③相手の立場に立って考える
ここまでバンドワゴン効果の解説をしてきましたが、バンドワゴン効果はあくまでも相手の決断を後押しするための1つにすぎません。
仮に、その時は狙った行動をしてもらえたとしても、相手の心の中に不満や不安が残った状態では、長い目線で信頼関係を築くことは難しいでしょう。
もしあなたが相手と信頼関係を築いていきたいなら…
- どのようなことに悩んでいるのか
- どうしたら安心感を与えられるか
- どのような提案をすれば良いのか
など、相手に納得してもらうための手段として、バンドワゴン効果を活用していただく必要があるのです。
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- ライターの実情を紐解く『講義動画(全4本)』
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まとめ:バンドワゴン効果を知り、実際に活用してみよう
本記事ではバンドワゴン効果の意味や特徴、実例、文章に盛り込む際のポイントなど幅広くご紹介しました。
中には知らず知らずのうちにバンドワゴン効果の影響を受けていたことに気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際にバンドワゴン効果は適切に使うことで、相手に行動を促しやすくなります。
本記事を読んで、日常生活やビジネスでバンドワゴン効果を有効活用していただければ幸いです。
テレビの生放送番組の字幕制作者からコピーライターの道へ。
【執筆ジャンル】
・エンタメ ・スポーツ ・秘書業務