突然ですが、あなたは「占い」や「おみくじ」などに書かれている内容に対して
『とても自分のことを言い得ているように思える…!』
『確かに言われてみるとそうかも…?』
『当たりすぎていて怖い…!』
と感じた経験はありませんか?
筆者も占いの結果に一喜一憂した経験はあるのですが…笑
自分ごとに感じて親近感や納得感を上げる心理学効果の一つとして、バーナム効果というものがあります。
もちろん、全ての「占い・おみくじ」に当てはまるわけではないということを前提においたうえで理解していただきたいのですが、このバーナム効果を意図的に組み込むことで読み手の信頼を勝ち取るという手法も存在するのです。
そこで本記事では、バーナム効果の意味から具体例、文章やコピーライティングに活用する方法から注意点まで解説いたします!
バーナム効果とは?
誰にでも当てはまるような内容であるにも関わらず、自分に当てはまっているかのように感じてしまう心理現象を『バーナム効果』といいます。
例えば「最近、人間関係で悩んでいることがありませんか?」と質問された場合、悩みの度合いは人それぞれであっても”全く悩んでいない”と言える方は多くありません。
そのため、結果的に言い当てられたと感じる人の割合が高くなるのです。
このように「自分の悩みを言い当てた」と錯覚してしまう…この現象こそが『バーナム効果』の真髄。
バーナム効果は人の興味を引き付ける際は非常に効果的な心理学のひとつだと言えるでしょう。
バーナム効果のバーナムとは?
バーナム効果の”バーナム”とは、アメリカの興行師であるフィニアス・テイラー・バーナムの名前が由来です。
彼が残した「We’ve got something for everyone(誰にでも当てはまることがある)」という言葉にちなんで、1956年にアメリカの心理学者ポール・E・ミールによって命名されました。
余談ですが、バーナムは2017年に公開されたミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」の主人公のモデルとなっています。気になる人はぜひチェックしてみてください。
バーナム効果=フォアラー効果
バーナム効果は別名「フォアラー効果」とも呼ばれます。
これはアメリカの心理学者バートラム・フォアにちなんで命名されたものです。
フォアは1948年にとある心理実験を行ないました。
学生たちに性格診断を行うと説明し、回答後にその診断結果として13項目の性格特性が列挙された紙を学生に渡すというものです。
ここでポイントになるのが、診断結果の内容は星座占いの文章を参考にしたもので、学生全員が同じ内容であること。
学生たちは全員同じ診断結果の紙を渡されているとは知らずに、自分の性格に当てはまるかを0(全く当てはまらない)から5(非常に当てはまる)の6段階で回答しました。
結果として…学生のほとんどが、診断結果が自分に当てはまっていると回答(平均値は4.26)。
誰にでも当てはまる記述を、自分に当てはまる記述と思ってしまうことをフォアはこの心理実験で証明したのです。
バーナム効果はなぜ起こるのか?
そもそも、なぜバーナム効果が起こるのか?と気になる方も中にはいらっしゃるかと思います。
もっとも、バーナム効果が起こるのは「確証バイアス」と呼ばれる心理現象が働くからです。
確証バイアスとは、自分に都合の良い情報ばかりを集めて、都合の悪い情報は無視する心理現象をいいます。
学校のテストを例に見てみましょう。
現実のみならず、マンガやアニメでも点数が低かった答案は、親にバレないように隠したり、すぐにゴミ箱に捨てたりというシーンはよく見かけますよね。
そういった行動の裏には”確証バイアス”が心理的に働いており、自分に当てはまる都合の良い行動(内容)を優先的に選んでしまうことから、結果的にバーナム効果が起きているのです…!
バーナム効果が使われている実例【3選】
バーナム効果は気にしていないだけで生活のあらゆるシーンに溶け込んでいます。
あなたも知らないうちにバーナム効果の影響を受けていることがあるかもしれません…。
そこで本セクションでは、バーナム効果の身近な実例を3つご紹介します!
実例① 占い
バーナム効果で特に身近な実例と言えば「占い」です。
例えば…
- 現在、仕事に関する悩みを抱いている
- 他人には言えないような秘密がある
といった占い結果が出たとしても、仕事では誰しもがなにかしらの悩みを抱える問題ですし、人間なら誰しもが他人にはやすやすと言えない悩みや秘密を持っているものです。
他にも、
「あなたは本当はキレイ好きだけど、忙しいとつい身の回りを散らかしたままにしてしまうことありませんか?」
などと言われると、多くの方が「確かに、そうかも…!」と思ってしまいます。
このように冷静に読んでみると誰にでもあてはまるような曖昧な内容であれば、信じてしまうのも至極当然。
しかし、悩んでいる方は「なんでわかったの?すごい!」と錯覚してしまうため、占いは特にバーナム効果の作用が働きやすい傾向にあります。
ただ「全ての占いがバーナム効果によるものだ!」と言いたいわけではないのでご了承ください!
(筆者も「しいたけ占い」や「めざまし占い」などはよく見ています笑)
実例② 血液型性格診断
「○○さんってA型だから几帳面で真面目でしょ?」
「私ってO型だからサバサバしてる性格なの。」
というように、あなたも血液型で性格に関する会話をした経験はありませんか?
これもバーナム効果が働いている実例です。
昨今では、血液型による性格の特徴に科学的根拠はないと言われることもポピュラーとなってきましたが、この会話の裏には「A型は几帳面で真面目」という部分だけが認知される確証バイアスが働いています。
A型の人に当てはまる性格の特徴は、本来であればB型、O型、AB型の誰にでも当てはまるもの。
それにもかかわらず、目の前にいるA型の人が面倒くさがりですごいズボラな性格だった場合「A型なのに珍しい」と感じてしまうのです。
これもバーナム効果の一例だと言えますね!
実例③ テレビCM・通販番組・Web広告
バーナム効果が実践的によく使われるのはテレビCMや通販番組、Web広告といった場面。
例えば…
「とにかく楽して痩せたい!けど、そんなダイエット法は無い…なんて思っていませんか?」
「日々のデスクワークで肩や腰の疲れが溜まっている…そんなあなたにオススメな商品がこちら!」
など、どちらの文もターゲットは『痩せたい人』『仕事がデスクワークの人』と一見絞れているように見えますが、表現としては曖昧で当てはまると感じられる方は少なくはないはずです。
特に”商品を売る”立場にある企業からしてみると、視聴者に自分ごとに思ってもらうような表現をして商品に興味を持ってもらい、さらに購入に至れば『勝ち』なので、バーナム効果は広く使われる手法でもあります。
バーナム効果をコピーライティングに活用する3つの方法
実例を通じてバーナム効果のイメージが掴めてきたところで、本セクションではバーナム効果をコピーライティングに盛り込む方法を紹介します。
というのも、バーナム効果は人の興味を引き付けるのに非常に効果的であることから、うまく活用すれば、読者に「自分のこと」と思わせて文章を”最後まで”読んでもらいやすくなるのです!
バーナム効果を活用することで文章を通じて集客力のアップ・商品購入率のアップも期待できるため、ぜひ本セクションを読んで”ここぞ”という場面でご活用ください!
①自分ごとと感じてもらえる表現を心がける
ここまで何度もお伝えしておりますが…
バーナム効果を働かせるには、その文章が読者に対して「自分のこと」と錯覚させなければなりません。
そのため、誰にでも当てはまるような言い回しや表現方法を押さえることが1つのポイントです。
A | 皆さんは肌の乾燥にもう悩まされたくない…と思うことはありませんか? |
B | あなたは10代のようなうるおい肌に戻れたら…と思うことはありませんか? |
AとBを比較したとき「自分に言われている」と感じやすい文章はどちらでしょう?
・・・
この時、多くの方は「B」の文章を選択する傾向にあります。
というのも「B」の例文には2つのバーナム効果を引き立てるキーワードが隠されています。
それが『あなた』と『10代のようなうるおい肌』の2つの文言。
『あなた』という言葉が入っただけで、人は「皆さん」と問われるよりも文章を身近に感じられます。
また『肌の乾燥』というマイナスな言葉よりも『10代のようなうるおい肌』という言葉の方がプラスの意味で伝わることから、自分ごとと捉えてもらいやすくなるのです。
②抽象的な表現を客観的な目線で選ぶ
コピーライティングを行ううえではあまり抽象的な文章を推奨することはないのですが…。
バーナム効果に限っては具体的に書くよりも抽象度を設けて書いたほうが効果的です。
ただし、書き手が「抽象的かつ誰にでも当てはまる表現ができた!」と考えていても、読み手によっては「別に当てはまらないけど…?」となってしまうことも十分にあり得ます。
何事も文章で伝える際には”客観的な目線で言葉を選ぶ”というのは大前提ではありますが、バーナム効果を活用する時でもしっかり押さえておきましょう!
どちらを選択しても当てはまる言い回しにする
バーナム効果を活用するうえで最も重要なポイントとして『どちらを選択しても誰しもが当てはまる言い回しを設定する』というテクニックが存在します。
この話しを聞いて、
「そんな都合の良い言葉選びなんてできなくない?」と感じる方もいれば…
「確かに!活用するのって意外と簡単じゃん!」と感じる方もいらっしゃることでしょう。
…いかがですか?
少しわざとらしく感じるかもしれませんが、”共感を得る別視点の言葉”をこのように挙げることで、ターゲットを広く囲うことができるのです!
バーナム効果を活用する上での注意点
ここまで、バーナム効果の活用方法について紹介しました。
うまく活用すれば読者の興味を引くバーナム効果ですが、活用するうえで押さえておきたい注意点が3つあるのです…。
これから紹介する注意点を把握しておかないと、バーナム効果がうまく機能せず、かえって逆効果になる可能性もあるため、一度は目に通していただきたい内容となっております!
1つずつ確認していきましょう!
注意点① ターゲットを絞りすぎない
バーナム効果を最大限で発揮するためには、文章の目的に合わせてターゲットを絞る必要性が出てきます。
しかし、ターゲットを限定した表現にすると、そのターゲットに当てはまらない読み手への訴求効果が当然ながら弱まってしまう可能性があります。
例えば「運動してもダイエットできないあなたに」という表現はターゲットが「運動」に限定されていますが、運動をそもそもしていない人はターゲットから外れてしまいますよね…。
そういった場合には「何をやってもダイエットできないあなたに」と曖昧な表現にしたり…
「運動しても食事制限しても痩せられないあなたに」など、ターゲットを絞りすぎず、誰にでも当てはまるような表現にすればバーナム効果がしっかりと作用することでしょう!
注意点② バーナム効果の乱用はNG!
バーナム効果の使いすぎは「誰にでも当てはまることを言っている」と気づかれる危険性があります。
また、抽象的な内容が多いため胡散臭くなり不信感を与えてしまい信用損失の可能性も…
その最たる例は
・あなたはいまの収入で満足していますか?【15万円→100万円に⁉】
・手取りが少なく”いま”困っていませんか?爆速で月収100万円稼ぐ方法を教えます!
といった広告。
稼ぐ方法は上の文章だけでは明かされていない上に、どうして稼ぐノウハウを赤の他人に無料で教えるのか怪しいと思いますよね。
バーナム効果は読み手に当てはまりやすい情報を伝えることに加えて、信ぴょう性があるかどうかが重要なポイントです。
怪しい印象を与えてしまうと効果はまったく期待できないため、注意しましょう!
注意点③ 法令遵守
バーナム効果は確証バイアスにより自分に都合の良い情報を優先的に選んでしまう傾向があることから、誇大表現には特に気をつけなければなりません。
特にバーナム効果を活用するうえで押さえておくべき法令は「景品表示法」です。
少しでも商品やサービスをよく見せたいからというあまり、エビデンス(裏付け)と異なる表示や、そもそも存在しない事実を提示をすることは法律で禁止されています。
景品表示法の違反は罰則などのペナルティを課せられるだけでなく、社会的信用を失いかねないため、必ず逸脱した内容を表示しないよう留意しましょう!
バーナム効果のまとめ:ビジネスシーンや会話としても役立つ
本記事ではバーナム効果の意味・実例・活用方法について解説しました。
最後まで読んでいた方は気づいていると思いますが、バーナム効果はコピーライティングだけでなく、ビジネスシーンやプライベートシーンでも効果を発揮します。
顧客に向けてセールストークを交えながら顧客の悩みを解消する提案営業はまさに代表例です。
顧客の悩みに当てはまるような質問をするので、顧客は「この営業は自分のことを理解してくれる人」と信頼を得ることができます。
また、普段会話が中々続かない人・話し下手という人は質問するときに「〜だったりしませんか?」という表現を意識してみてください。
話し相手も「はい・いいえ」の2択でなくなるので会話としても役立ちますよ!
それでは!最後まで読んでいただきありがとうございました!