本記事では、SEO記事やWeb記事での引用の書き方について解説いたします。
あなたは、コピーライター・Webライターが用いる引用の正しい書き方を知っていますか?
実は、筆者がライターになりたて頃は、引用への理解が浅く「他のところからの情報を用いて、リンクを貼っておけばいいんでしょ」といった漠然とした知識しかありませんでした。
しかし、プロのライターとして仕事をするためには、引用にはルールがあり正しい書き方を理解することは必要不可欠だと知ったのです。
引用のルールは大学生の論文やレポートとも少し異なるため、これを機会にライターが用いる正しい引用の方法を一緒に学んでいきましょう。
本記事では
・そもそも引用ってナニ? ・『参考、参照、出典』との違いはあるの? ・引用をするうえで押さえておきたい注意点 |
などについて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
引用とは?『参考・参照・出典』との違いは?
引用とは、他の人が作成した著作物(文章・画像・表etc.)の一部を、自分の文章に用いることを言います。
引用をする目的は、自身が書いた文章に対して、内容の客観的な根拠を示すことです。
公的機関やある分野の専門家など、信ぴょう性のある第三者の文章やデータの引用は、自分の書いた文章の内容を証明でき、さらに、信頼性を高めるという効果があります。
引用にはルールがあり、引用元を自分の文章の中に明記することが必要です。(著作権法48条)
「引用の正しい書き方とルール」については、後でご説明します。
ちなみに、引用と似ている言葉に「参考」「参照」「出典」がありますが、文中に引用をする際、「どれが適切なの?」と迷ったことはありませんか?
筆者も、実際に引用する場面になると違いが分からず、使い方を調べて執筆に時間がかかったこともありました。
「参考」「参照」「出典」は、それぞれ全く異なる意味があります。
それぞれの意味と引用との違いについてご紹介しましょう。
参考とは?
参考とは、他の人の著作物や情報、また意見などを基にして、自分の言葉でオリジナルの文章を作成することを言います。
引用との違いはおもに以下の3つです。
- 他の人の著作物を原文のまま使わない
- 他の人の意見や考えも使用できる
- 参考元を記載する義務がない
上記のように、引用と参考の違いの1つ目は、引用が他の人の著作物を一字一句違えずに使用するのに対し、参考は他の人の著作物を原文のまま自分の文中に使うことはない、という点です。
自分の文章を考える際のヒントとして役に立つ、あらゆる情報を使用することを「参考」と言います。
引用との違いの2つ目は、参考は他人の著作物だけではなく、他人の意見や考えといった目に見えないものも取り入れられる点です。
そのため、参考は引用よりも利用の幅が広がることが特徴と言えるでしょう。
引用との違いの3つ目は、参考元を明記する義務がない点です。
「引用とは?」で説明したように、引用をする際はその引用元の明記は必須です。
一方、参考は、参考元の記載は必ず必要というわけではなく、記載されていないケースもあります。
ただ、マナーとして参考元を記載すると、第三者に好印象を与えるでしょう。
参照とは?
参照とは、自分で文章を書く際、内容の正否を確認するために他人の文章や図などの著作物と照らし合わせることを言います。
このように参照は、引用のように他人の文章をそのまま載せるのではなく、あくまでも自身の言葉で独自の文章を執筆する際に、他人の文章・表・図などの資料に照らし合わせる行為を指す言葉です。
参照元の情報は、引用と同じように必ず記載する必要があります。
出典とは?
出典とは、「引用」「参考」「参照」の基になった著作物のことを言います。
自分が文章を書いた際の情報源(出どころ)を、「出典」として明記します。
出典を記載する場所は、一般的に以下の2パターンです。
- 出典箇所が少ない場合…引用部分のすぐ近くに明記
- 出典箇所が複数ある場合…文章の最後にまとめて明記
引用との違いは、引用は他人の著作物の一部を自分の文章内で使うことを指すのに対し、出典は引用した情報源のことを指します。
正しい引用の書き方・ルール【3つの鉄則】
前セクションでは、「引用とは?」「参考・参照・出典とは?」また、引用との違いなどについて解説しました。
このセクションでは、正しい引用の書き方とルールを解説します。
引用には、厳然としたルールが存在しますので、よく理解したうえで、正しい引用を行いましょう。
①引用とオリジナル文章の区別をハッキリつける
まず1つ目は、引用した文章とオリジナルの文章の区別をハッキリつけることです。
他の人が書いた文章をうまくカモフラージュして、あたかも自分の文章のように作成するのはNG行為となります。
引用をする際は、誰が見てもひと目で「引用はこの部分」と分かるようにしなければいけません。
引用部分は、以下の記号などを用いて区別し、読み手に分かりやすくしましょう。
- カギ括弧
- 二重カギ括弧
- 太文字
- 斜体
- 記号
- 背景色の変更
- フォントの変更
以下、Webサイトの文章の一部を「カギ括弧」を用いて引用する際の例をご覧ください。
健康を保つために、厚生労働省では「体の健康には、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要です。」として、腸内環境を整えることの大切さを伝えています。
②引用元の名称やURLを引用した部分には明記する
2つ目は、引用をした際、必ず引用元の名称やURLを明記することです。
引用元の詳細を示すことで、“引用した文章は他人の著作物(引用元)の一部”であることが読み手に分かるようにします。
以下に「Webサイト」と「書籍」から引用する際の、名称・URLの明記方法をご紹介します。
まず、Webサイトから引用する際は、以下の項目を引用文の後に明記しましょう。また、引用元の名称やURLは、項目ごとに記号を用いて区切ります。
先ほどご紹介した引用の例文(腸内細菌と健康)を基に以下をご覧ください。
明記する項目:運営者,引用に用いたWebサイトのページ名,Webサイト名,更新日,アクセス日.(URLを貼る)
(例)引用元: 厚生労働省, 腸内細菌と健康,e-ヘルスネット, 2019年3月4日更新,2024年2月5日最終アクセス.
Webサイトは更新や削除される場合もあるため、上記のように必ず自身が最終的にアクセスした日を明記しましょう。
次に、書籍を引用する際は、引用文の後に以下の項目を明記します。また、項目ごとに記号を用いて区切りましょう。
引用の例文:「結局ディスプレーに掲載されたセット商品を選んでしまったという人も多いのではないでしょうか。」
明記する項目:著者名(出版年),本の章.節.項のタイトル,本のタイトル,出版社名,引用部分の掲載ページ.
(例)引用元:阿部 誠(2019),人は非合理的に行動する生き物.マクドナルドのメニューはなぜ見づらい?,『東大教授が教えるヤバいマーケティング』,株式会社KADOKAWA,16ページ.
書籍名は上記のように二重カギ括弧でくくります。
③引用した文章を書き換えない
正しい引用の書き方とルールの3つ目は、引用した文章を書き換えないことです。
引用した文章は一字も書き換えず原文のまま使用し、漢字やひらがな、また句読点の位置なども正確に書きます。
先ほどご紹介した「 e-ヘルスネット. 腸内細菌」を例にして見てみましょう。
【正しくない書き方】
「体の健康のためには、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要です。」
【正しい書き方(原文)】
「体の健康には、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要です。」
上記の例文「正しくない書き方」では、「のため」の3文字が加筆されていますが、わずか3文字でも原文を書き換えてしまうとルールから外れてしまい、引用とは見なされません。
また、もし引用元に誤字脱字があってもそのまま使い、「ママ」と書いておきましょう。
「ママ」と書くことで「原文の間違いに気づいていますが、引用のルールに基づきそのまま記載します」という意思表示になります。
+α|画像やイラストの引用も文章と同じ
実は、引用できるのは文章だけではなく、画像やイラストも同じように引用できるんです。
画像の引用も、基本的には文章の引用と同じルールを用います。
具体的には、画像やイラストを引用をする必然性がある場合は、加工・修正を加えずそのまま使い、さらに引用元を明記すればOK。
例えば、あるWebサイトについての説明をする場合など、画像のスクリーンショットを撮り自分の記事に使用できます。
その際は、引用元のサイト名やタイトルなどを表記しリンクを貼りましょう。
以下、参考例をご覧ください。
引用をするうえでの5つの注意点
前セクションでは、引用の書き方とルールについてお伝えしました。
本セクションでは、引用をする上での注意点を5つご紹介します。
引用のルールについては、以下のように文化庁による規定を設けられています。
引用元:文化庁,著作者の権利の制限(許諾を得ずに利用できる場合),p69.
プロのライターとして仕事をするにあたって、引用のルールを守らないとトラブルが生じる恐れもあるため、注意点をしっかり抑えておきましょう。
注意点① 引用のしすぎはNG
まず1つ目の注意点として、引用のしすぎはNGです。
「引用の目的上『正当な範囲内』であること」(出典:文化庁,引用・第32条)と明記されているように、自分の記事のほとんどを引用部分が占め、オリジナルの文章が少ない場合、引用とは見なされません。
あくまでも、引用は自身で考えた文章の内容を補足する方法として使うことが大事です。
理想は、引用を用いた部分の割合が記事全体の1割、多くても3割と言われています。
引用部分とオリジナルの文章の割合が逆転しないように気をつけましょう。
いくら規定通りに引用元の名称やURLを明記していても、記事のほとんどを引用部分が占めるのはルールに反しているため要注意です。
注意点② 制作物によって引用の方法は変わる
引用の方法は、制作物によっても変わります。
学生時代に論文やレポートを作成した経験があるなら、引用についても触れたことがあるかもしれませんが、コピーライターやWebライターの引用は、学生の引用とは意図や方法が異なります。
「引用のルールはもう知っている」と、コピーライターになった際に引用のルールを確認しないままでいると、ルールに反してしまうことがあるため注意が必要です。
そもそも学生の論文やレポートで引用を行うのは、過去の研究を踏まえて自身の研究の根拠を提示することを意図しています。
さらにいえば、大学の論文やレポートの提出先は担当の教授で、教授会の審査に合格することが目的です。
一方、コピーライターやWebライターとして活動する際は、文化庁で設けられた規定に従うことが義務づけられています。
このように、ひと口に「引用」と言っても、制作物によって変わることを知っておきましょう。
余談ですが、学術論文・レポートの引用の方法と種類を簡単にご紹介します。
注意点③ 引用元の情報が正確であるとは限らない
3つ目の注意点は、引用元の情報が正確であるとは限らないことです。
誰もがインターネットで情報を発信できる現代では、すべての情報が正確とは言えず、中には間違った内容が含まれていることもあります。
もし、引用元の内容が間違っていた場合、あなたが書いた記事も信ぴょう性の欠ける内容になってしまい、ライターとしての信頼を損ねることにもなりかねません。
さらに、クライアントにも多大な迷惑をかけてしまうため、引用する著作物の情報が正しいかどうかを注意深く見極めることが重要です。
このように、情報の内容についてはしっかりと調べ、正しいと判断した上で引用するよう、十分に注意しましょう。
注意点④必要な引用かどうか意識する
4つ目の注意点として、「引用する文章は本当に必要なものか」を意識することが挙げられます。
引用は、自分が書いた記事の裏付けをするサポート的な役割のために必要な方法です。
しかし、なんの目的もなく他人が書いた文章を自分の文中に長々と書くのは、引用ではなく盗作と見なされます。
引用する文章は自身の記事にとって欠かせない内容かどうか、常に意識しましょう。
注意点⑤引用できる著作物かどうか確認する
最後の注意点として、そもそも引用できる著作物かどうかを確認しましょう。
文化庁の規定には、引用できるのは「すでに公表されている著作物」に限るというルールがあります。(出典:文化庁,引用・第32条)
公表されているものとは、一般に販売されている書籍や誰でも閲覧できるWebサイトなどのことです。
一般に公表されていない論文や個人の詩などの著作物を、自分の文中に引用し公開するのはルール違反に当たります。
さらに、公表されている本やWebサイトであっても、文中の最後に「転載禁止」と表記されているものを見かけるときがありますが、この場合も引用はできません。
「転載禁止」と書かれているものを引用したい場合は、著作者の許可が必要ですので気をつけましょう。
正しく引用が出来ないとどうなる?
ここまで、引用の書き方と注意点についてご紹介しました。
引用はきちんとルールに則って行うことが重要で、ライターにとって必須の知識ですね。
それでは、正しく引用ができないとどうなるのでしょう?
正しい引用ができていない場合、著作権※1という作者の持つ権利を侵害することになり、著作権侵害で摘発される可能性があります。
※1 著作権…著作権者(著作物の作者)が、作品を無断利用されないための権利
引用は、法律で認められている正当な行為であり、自分が書いた文章の信頼性や説得力を高めるために有効な方法で、ルールに則って引用を行うことは認められています。
しかし、気がつかないうちにルールに反し、著作権を侵害してしまう恐れもあるんです。
誰もがインターネット上で情報を発信できる時代となり、著作権侵害に関する問題は年々増える傾向にあるようです。(出典:時代の変化に対応した著作権保護の現状と課題~日本政府の取組~)
プロのライターとして日々、執筆活動をしている私達にとって避けては通れない問題ですね。
著作権で守られている制作物には、文章だけではなく画像やイラスト、また表なども含まれているため、引用する際は十分な注意が必要です。
この機会に、著作権を侵害した際に発生するリスクについても把握しておきましょう。
損害賠償を請求される
自身の文中に引用した部分は他人の著作物に当たるため、ルールに反して著作権を侵害すると、引用元の著作権者から損害賠償を請求されることもあります。
損害賠償とは、著作権者が“被った損害を金銭で請求すること”です。
損害賠償の金額は、著作権者が得ている利益やライセンス料※2などで、一定ではありません。
※2 ライセンス料…著作物の使用料
もし、損害賠償を請求された場合、訴えられた側には支払いの義務が生じます。(出典:著作権法 第114条)
損害賠償の支払いは、知らずに著作権法に触れていた場合であっても義務を負わなければいけません。
そのため、記事を作成する際は著作権を侵害しないよう、十分に気をつけましょう。
罰金、罰則を受ける
著作権法には、著作権を侵害した際に生じる罰則の規定があり、法に触れると、罰金・懲役の処分を受けることがあります。
罰則規定の内容は、「罰金 1,000万円以下・懲役 10年以下」または「罰金・懲役の両方」となっており、決して軽いものではありません。(出典:著作権法 第119条)
さらにいえば、罰則規定は著作権侵害を意識的に行った場合に発生する規定です。
例えば、違法と知りながら、著作者の承諾を得ないまま文章や画像を引用した場合などは、罰則が科されることになります。
逆に、知らずに著作権法に抵触していた場合は、罰則の対象とはなりません。
そうはいっても、著作権侵害のリスクは大きいため、引用する際は十分な注意が必要です。
当該コンテンツの削除を求められるケースも…
著作権を侵害した場合、当該コンテンツ※3の削除を求められるケースもあります。(出典:著作権法 第112条)
※3 コンテンツ…記事・画像・表etc.
著作権者から、引用のルールを逸脱しているとしてコンテンツの削除を求められた場合、要求に従わなければいけません。
大切な財産であるコンテンツの削除は、ライターとしての信頼を失うことにも繋がり、さらに、クライアントに甚大な損失を与えてしまいます。
正しく引用ができていないときの著作権法の処分をきちんと理解した上で、ルールを守った引用を心がけましょう。
ちなみに、著作権法は、以前は、被害を被った著作権者から訴えられた場合にのみ処罰を受けるという法律でしたが、法の改正(2018年12月30日)により、「悪質な場合は著作権者からの訴えがなくても、処罰を科される」という内容に変わっています。
(出典:環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の概要(著作権法関係))
つまり、著作権法の改正によって、著作権を侵害した際に発生する処分が一段と厳しくなったと言えますね。
いかがでしたか?
筆者もそうでしたが、著作権法に初めて触れた方の中には、思った以上に重いペナルティに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、著作権について本記事でお伝えした内容を知っておくだけでも、著作権を侵害するリスクは軽減できます。
著作権を意識しておくと、自身を守り、クライアントから安心して仕事を依頼されるライターとして活躍の場を拡げることもできるでしょう。
引用の正しい書き方をマスターし、信頼されるライターへ!
本記事では、SEO記事やWeb記事での引用の書き方について、基本情報から正しい書き方とルール、注意点、さらに、著作権侵害の内容などについてお伝えしました。
引用の書き方には厳然としたルールがあります。
しかし、ルールを理解し正しい書き方をマスターすれば、引用はあなたの記事の信頼度や説得力をアップできる効果的な方法です。
インターネット上の記事が増える一方の昨今、引用のルール規制も厳しくなっている傾向にあります。
そんな時代だからこそ、引用の正しい書き方をマスターしたあなたは、クライアントから信頼されるライター・Webライターになれるでしょう。
今回お伝えした内容が、引用の正しい書き方を知り、ライターとしてワンランクUPを目指すあなたのお役に立てれば幸いです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。