
会議の議事録や社内外とのメールやチャットのやり取り・・・
ビジネスシーンにおいて、文章で相手になにかを伝えるという場面はとても多いものです。
ですので、多くのビジネスパーソンが
「簡潔で分かりやすい文章を書かなければ・・・」
「この文章で言いたいことがきちんと伝わるだろうか・・・」
と、日々頭を悩ませていることだと思います。
そこで当記事では、分かりやすくまとまった文章を作成するための『ロジカルライティング』というスキルについて解説していきます。
- ロジカルライティングとは一体なにか
- どうすれば身につけられるのか
- 文章作成においてどのように役立つのか
といったことに触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

文章力が劇的に向上するロジカルライティングとは?

ロジカルライティングとは、文章を論理的に(筋道立てて)分かりやすく書くスキルのことを指します。
つまり、読み手にとって理解しやすい文章を書くための方法ということです。
これは、相手に伝えたいことを間違いなく伝えるという、文章作成において重要な目的を果たすための必須スキルとも言えるのです。
その性質上、特にビジネスシーンにおいては欠かすことができません。
〈例文あり〉ロジカルライティングの具体例

実際に、ロジカルライティングを使用して文章を書くとどのような違いが生まれるのか、例文で確認してみましょう。
以下は、社内で取り扱う商品の売上状況を報告する場面です。
○○商品の売上状況は、半年前から放映を開始したCMの影響で知名度が上がったこと、パッケージを変更したことでSNSを頻繁に利用する層に支持されたこと、これらの影響で、ここ三ヶ月ほど好調が続いています。
いかがでしょうか?
最も伝えたいことが最後まで伝わらず、読みづらい印象を与えてしまいます。
この文章をロジカルライティングを用いて作成すると、次のように変わります。
ここ三ヶ月、○○商品の売上は好調を続けています。理由としては次のようなものがあげられます。
半年前から放映を開始したCMによって知名度が向上したパッケージの変更によってSNSを利用する層に支持された
冒頭で最も伝えたいことを示し、後にその理由が続きます。
こうすることで、相手に伝えたいことをすぐに読み取ってもらうことができます。
ロジカルライティングがもたらすメリット3選

文章作成において、ロジカルライティングがとても重要なものであるということはお分かりいただけたかと思います。
ここからは、ロジカルライティングを取り入れることでどのようなメリットがあるのかを3つご紹介していきます。
スムーズに業務が進められる

文章でのコミュニケーションにおいては、こちらの伝えたいことを読み手に正確に受け取ってもらう必要があります。
ビジネスシーンにおいては、相手にとってほしい行動を文章で示す場面が多いものです。
もし、こちらの意図をしっかり伝えることができなかった場合、
- 必要な作業のうち1つを漏らしたまま作業を進めてしまった
- Aのやり方で進めていたが、本来はBのやり方でやらなければならなかった
等のトラブルになる可能性があります。
結果としてリカバリーに時間がかかったり、他の作業が後回しになってしまうなんてことにもなりかねません。
リモートワークが一般的になり、メールやチャットなどのやり取りが増えた現代。
文章でのコミュニケーションがスムーズにいかなければ、業務がどんどん滞ってしまいます。
そのような事態を防ぐことができるロジカルライティングは、取り入れる価値が大いにあるのではないでしょうか。
提案力を高められる

ロジカルライティングを用いた文章は、商談や説明用の資料を作成する際にもその力を存分に発揮します。
というのも、ロジカルライティングを用いて文章を作成するには、相手が何を求めているかをしっかりと認識しておく必要があるからです。
相手が何を求めているかを認識しているということは、それに応える方法も文章の中にしっかりと盛り込めるということです。
論理的に組み立てられた分かりやすい文章で、なおかつ相手の要求にもしっかりと応えている。
そのような文章が作成できれば、こちらの提案を相手に納得してもらいやすいということなのです。
情報を整理する力がつく

ロジカルライティングでは集めた情報を整理し、それを適切に組み立てることで論理的な文章に仕上げます。
これはなにも文章作成の場面だけで役立つスキルではありません。
口頭で説明したり相談したりする場合にも、伝える内容を順序立てて話す必要があります。
だらだらと思いつくままに話してしまっては、相手から「何を言いたいのか分からない」と言われてしまう可能性がありますよね。
文章作成だけでなく、普段の会話でも“伝える”ということがよりスムーズに行えるようになるのがロジカルライティングのスキルです。
【現役ライター直伝】ロジカルライティングの“魔法の公式”

では、ロジカルライティングを用いて文章を書くにはどうしたら良いのか、気になるところだと思います。
ここからは、ロジカルライティングの手法を順番に解説していきます。
①目的を明確にする

いきなり文章を書き始めてはいけません。
まずは、その文章を書く目的をしっかり考え直しておくことが必要です。
具体的には
- 誰に向けてその文章を書くのか
- その文章を読んだ相手に何をしてほしいのか
ということを、自分でしっかり認識しておきましょう。
文章は読み手の知識量などによって、受け取り方や理解力が異なるものです。
少し想像してみてほしいのですが、会話の中で自分の仕事の話をするとき、誰に対しても同じ言葉で話しているでしょうか?
ほとんどの方が同業者と話すときと異業種の方に向けて話すときで、言い回しなどを変えていると思います。
文章作成においてもこの考え方が非常に重要で、相手に理解してもらえる表現を考えて適宜修正していく必要があるのです。
ですので、文章を書く前段階として目的を明確にするという行程を忘れずに行ってください。
そして、目的が明確に設定できたらその目的を達成するための情報収集を行いましょう。
なお、重要なことは集めた情報はそのままにしておかず、きちんとグルーピングしておきましょう。
そうすると不要な情報が浮かび上がってきますので除外できます。
ロジカルライティングは論理的で分かりやすい文章を作成するためのものです。
不要な情報は入れてはいけません。
②論理構成を考える

もうひとつ文章を書く前の行程として、全体の構成を先に決めておくことも大切です。
一見、手間が増えたように感じるかもしれませんがそんなことはありません。
構成があると全体の流れを常に意識することができるため、結果的に筋道立った文章に仕上げることができるのです。
文章構成には様々な種類があり、内容によって使い分ける必要があります。
ここでは、報告書などで使用される“結論ファースト”の構成をご紹介します。
ポイントは問題を提示したすぐ後に解決策を提示すること。
そして、その解決策が適切であることの理由を示し、最後にもう一度解決策を提示することです。
③文章を作成する

構成が決まれば、いよいよ文章作成のステップです。
完成した構成に沿って、実際に文章を書いていきましょう。
構成によって大まかな流れはすでにできているので、そこに文章を付け加えていくようなイメージです。
文章が苦手な方は、最初から完璧に仕上げようとする必要はありません。
構成に当てはめて、とにかく最後まで書いてみましょう。
完璧に書けていなくても、後から修正すれば大丈夫です。
④文章を推敲する

最後まで書き終えたら、完成した文章を読み返して必要であれば修正を加えます。
その際、次のような点に注意して確認してみてください。
✔ 構成に沿った内容であるか
✔ 誤字脱字がないか
✔ 不要な文章がないか
✔ 筋道立った文章であるか
✔ 誤解される表現がないか
✔ 読みやすい文章になっているか
改めて読み返してみると、書いているときには気付かなかった間違いなどに気付きやすいものです。
相手に伝わりやすく間違いがない文章であるか、何度も確認しておきましょう。
これだけは守るべし!ロジカルライティング3つのルール

ロジカルライティングを使った文章作成の方法についてはご理解いただけたでしょうか?
ここからは、ロジカルライティングをより確実にするための3つのルールをご紹介します。
読みやすく、伝わる文章作成において重要なルールです。
しっかり取り入れていってくださいね。
シンプルに書く

シンプルな文章は読み手の負担を減らし、伝えたいこともスムーズに伝わります。
ですので、文章を書く際にはシンプルであることを意識しましょう。
シンプルな文章にするために、以下のような点に気を配ってみてください。
ワンセンテンス・ワンメッセージ
これは、1つの文章の中に伝えたいことを1つだけ書くということです。
もし、伝えたいことが複数ある場合は、それぞれ文章を分けましょう。
1文は長くても60字程度が理想です。
誤解釈を招く書き方はしない
読点の位置が違うだけで、意味の捉え方が変わってしまう文章があります。
- 明日退職する営業担当が、ご挨拶に伺います。(明日退職する)
- 明日、退職する営業担当がご挨拶に伺います。(明日伺う)
上記の例では一言一句同じ言葉を使用していますが、読点の位置が違うだけで意味が全く異なっています。
読みやすい文章に不可欠な読点ですが、その位置には注意が必要です。
主語と述語を近づける
冗長な文章は読みづらさを誘発します。
特に、主語と述語が離れている文章は理解するのに時間がかかってしまいやすいです。
私は、来月から新たに着手する事業の研修を受けるため本社に向かった。
私は本社に向かった。 来月から新たに着手する事業の研修を受けるためです。
上記の例では、主語が「私」・述語が「向かった」となります。
NG例ではそのことが瞬時に判断できず、読みづらい印象を与えてしまいます。
ですので、主語と述語の位置を近づけるように意識しましょう。
根拠を提示する

どれだけ文章が整っていても、ただ主張を述べただけの文章では相手に納得してもらえません。
その情報が本当かどうか判断ができず、説得力に欠けてしまうからです。
相手に納得してもらう文章を書くためには、必要な情報を集めたうえで理由や根拠をきちんと提示した文章でなければなりません。
読み手側の視点をもつ

文章は、相手に理解してもらって初めてその役割を果たします。
極端に言うと、相手に理解してもらえない文章は、何も書いていないのと同じだということです。
ですので、文章を書くときには常に“読み手目線”を意識することが大切です。
その際、読み手の知識や役職などによっても受け取られ方は変わるということを念頭に置いておきましょう。
伝える力を2倍にする“トレーニング方法”とは…?

ロジカルライティングの基本を知った後は、どうすればその能力を伸ばしていけるのかが気になるところだと思います。
ここからは、ロジカルライティングのトレーニング方法について解説していきます。
ロジカルシンキングを学ぶ

ロジカルライティングを行うためには、ロジカルであるとはどういうことかを自分自身が知っておく必要があります。
そこで有効なのが、ロジカルシンキングを学ぶことです。
ロジカルシンキングとは「論理的思考」のことで、物事を感覚ではなく論理的に捉える思考法のことを指します。
いわば、ロジカルライティングの基礎と言える思考法のことなのです。
ロジカルシンキングが身につくと、日常的に論理的に考えるクセがつき、自然とロジカルライティングスキルも向上していきます。
フレームワーク(型)を学ぶ

ロジカルライティングにはいくつかのフレームワークが存在します。
ここでは、代表的な3つのフレームワークをご紹介します。
型 | 説明 | 例文 |
逆三角形型 | 結論を冒頭で述べる 結論 説明 補足 | 結論:○○県に新たな商業施設がオープンしました。 説明:この商業施設は都市開発の一環として、3年前から計画されていたものです。 補足:オープン初日から大盛況で、今後ますます人気になっていくことでしょう。 |
列挙型 | 情報を列挙する 主題 情報1 情報2 まとめ (情報の数は文章の内容によって異なる) | 主題:災害はいつどこで起こるか分かり ません。日頃の備えが大切です。 情報1:防災リュックの準備避難が必要になった際、気が動転して何を持ち出さなければならないか、咄嗟に判断できないものです。ですので、防災リュックを作って準備しておきましょう。 情報2:避難経路の確認避難経路を事前に確認しておくことで、もしものときもすぐに動くことができます。 まとめ:備えあれば憂いなし。日頃の準備がもしものときに自分を助けてくれます。 |
PREP法 | 最初と最後に結論を述べる P=Point(結論) R=Reason(理由)E=Example(具体例)P=Point(結論) | Point(結論):読書は大切です。 Reason(理由):なぜなら、読解力の向上や思考力の向上に繋がるからです。 Example(具体例):実際に「読書量と子どもの学力には因果関係がある」との研究結果もでています。 Point(結論):そのため、読書の習慣をつけることが大切です。 |
議論や普段の会話からロジックを意識する

口頭でなにかを伝えるとき、話の流れをしっかり決めてから話し始める人はそう多くないのではないでしょうか?
会話の場合、内容だけでなく表情や声のトーンなど、複数の要素を参考にすることができます。
そのため、文章ほどしっかりと構成を決めていなくても伝えることができてしまいます。
しかし、会話でも文章でも“伝えるべきことを伝える”という目的は同じはずです。
すなわち、会話であっても、文章を作成するときと同じような考え方で分かりやすくまとめることができるということです。
これを利用して、議論や普段の会話の際にもロジックを意識して話の流れを組み立ててみましょう。
日常的に伝わりやすい話の流れを意識することで、文章に落とし込むときにもスムーズに文章が組み立てられます。
まとめ

いかがでしたか?ロジカルライティングの良さは伝わったでしょうか?
読み手にとっては、書かれている内容をしっかりと受け取ることができる。
書き手にとっては、情報を整理する力がつき、文章作成以外の場面でも役立つ。
ロジカルライティングは読み手と書き手の双方にメリットのあるスキルです。
ぜひ、今後の文章作成にロジカルライティングを取り入れていただければと思います。
また、ロジカルライティングの他にもっと専門的なライティングの勉強をするなら、以下の記事を参考にしていただければ幸いです!
詳細はこちらの記事からご確認ください!

よくある質問

メリットがたくさんあるロジカルライティング。
実際にやってみると、疑問や悩みがでてくることもあるでしょう。
以下に、ロジカルライティングに関してよくある質問をまとめました。
学習していて気になる点がでてきた際に参考にしてみてください。
よくある質問①おすすめの本や資格はありますか?
ロジカルライティングに関する本は数多く出版されています。
専門的な情報も多く記載されていますので、より深く学びたい方にオススメです。
また、ロジカルライティングに関する本でなくても、ビジネス書や小説などからも学びを得ることが可能です。
どちらも構成を意識して読むことにより、自身のライティングにも活かすことが可能ですので参考にしてみてください。
ロジカルライティングに役立つ資格としては、ロジカルシンキングの資格が有効です。
- 論理的思考士®
- JADP認定ロジカルスピーキングスペシャリスト
上記のような資格がありますので、より実践的に学びたい方にオススメです。
よくある質問②ロジカルライティングとロジカルシンキングの違いはなんですか?
ロジカルシンキングを用いて文章を書くことを、ロジカルライティングと言います。
ロジカルライティング=文章を論理的に(筋道立てて)分かりやすく書くスキル
これは、書く力のことです。
ロジカルシンキング=論理的思考力
こちらは、考える力のことです。
よくある質問③ロジカルライティングを独学で学ぶ場合のオススメはありますか?
ロジカルライティングを独学で学ぶのであれば、
- 本を読む
- 問題集を解く
といった勉強をすることが可能です。
本屋に行けば、ロジカルライティングに関する本や問題集がたくさん売られています。
本を読んで知識を身につけたら、問題集にもチャレンジしてみてください。
与えられたシチュエーションでどのようにフレームワークを使うのか、といったことを考えることができます。
本で得た知識を、問題を解くことで定着させていきましょう。
よくある質問④ロジカルライティングを学べる場所はありますか?
独学では本当にできているか不安だということもありますよね。
そういった方は次の3つの方法を検討してみてください。
- ライティングスクールに通う
スクールに通うことで、ライティングを基礎から学ぶことができます。
現在はオンラインのスクールも数多く存在しています。
ですので、ご自身のペースで学べる場がきっとあるでしょう。
- 研修を受講する
研修を受講すれば、ワークを通じて実践的に学ぶことが可能です。
豊富なカリキュラムに沿って着実にロジカルライティングを身につけることができるでしょう。
様々な研修が存在していますので、ご自身のスケジュールに合うものを探してみてください。
- eラーニングの受講
「学習できる時間が毎日バラバラだ」という方には、eラーニングの受講がオススメです。
eラーニングであれば、用意されたコンテンツをご自身のペースで学習していくことが可能です。
これらの学習方法の一番の利点は、なんといっても書いた文章を添削してもらえること。
やはり、ロジカルライティングは実際に書いてみないことには習得することは不可能です。
ただ、本当にきちんと書けているのかが分からないままでは、そこから先に進むことは難しいですよね。
ですので、研修やスクールも選択肢のひとつとしてぜひ検討してみてください。
ロジカルライティングに関する解説は以上となります。
この記事が、ロジカルライティングを用いた文章作成の一助となれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
