メリットとベネフィットは同じような意味で使われることが多くあるのですが、実はこの2つの概念にはそれぞれの役割があり、意味にも明確な違いがあります。
実際にあなたも普段過ごしている中でCMや広告を多く目にしていると思いますが、そういったCMや広告の中にはメリットとベネフィットが必ずといっていいほどに活用されているのです。
そこで本記事では、メリットとベネフィットの違いについて簡単にお伝えするとともに、実際にメリットとベネフィットを使い分けたいと考えている方に対して…
- メリットとベネフィットの役割
- メリットの実例
- ベネフィットの実例
などを簡潔に分かりやすく解説してまいります!
メリットとベネフィットの違いとは?
使い分けが曖昧になりがちなメリットとベネフィットですが、この2つの概念の目的には明確な違いがあります。
そこでまずはメリットとベネフィット、それぞれの言葉の意味と特徴を確認しておきましょう。
メリットとは?
メリットとは『対象の商品やサービスの優れているところ・価値・長所』を意味します。
メリットの反対の意味の言葉(対義語)はデメリット。
デメリットの意味は「対象の商品やサービスの不十分なところ・欠点・短所」などです。
反対の意味を考えると、より分かりやすくなりますね。
ベネフィットとは?
ベネフィットは『商品やサービスを購入することによって得られる”利益・恩恵”など』を意味します。
ベネフィットの対義語はロスやダメージ。
『ロスは損失を、ダメージは損害』を意味します。
こちらも反対の意味を考えることで違いを理解しやすくなりますね。
メリット・ベネフィットの異なる点とは?
2つの言葉の意味の違いについては上記のとおりです。
とはいえ「意味だけ説明されても具体的な違いについてはまだよく分からない…」という方もいらっしゃると思います。
そこで、本セクションでは『新商品のカメラのPR』を例に挙げ、メリットとベネフィットの異なる点について解説していきましょう。
- コンパクトで軽量
- 高速連写
- 高画質
- ポートフォーカス
- 思い出を残すことができる
- 一瞬で過ぎ去る運動会の徒競走でも何度でも見返せる
- かわいい笑顔を鮮明に写すことができる
上記を見ていただけると分かるとおり、メリットはカメラの「長所や価値」について言及していますが、一方のベネフィットはカメラを購入したことで将来的に得られる『恩恵』を伝えています。
このようにメリットとベネフィットは、それぞれ異なる内容や目的を持っているのです。
メリットとは「対象の商品やサービスの優れているところ・価値・長所」など。
また「商品(サービス)」の持つ「肯定的な条件」とも言える。
ベネフィットとは「利益・恩恵」など。
また「読み手(あなた)」が求める「目的」とも言える。
メリットとベネフィットの役割
メリットとベネフィットの意味や、それぞれの特徴についてはご理解いただけたかと思います。
しかし、これらの要素を活用するためには、それぞれの役割についても理解を深めておく必要があるため、本セクションでは、メリットとベネフィットの役割についてお伝えしていきます。
メリットの役割
人は商品やサービスを購入、契約する際にいくつもの選択肢の中から決定していますが、その選択の決め手を与えるのがメリットの役割です。
メリットの役割①商品・サービスの優れている部分を伝える
商品やサービスの特徴の中でも優れている点を伝えるということは一般的なメリットの役割です。
例えば
・サプリ:小粒で飲みやすい
・キャリーケース:超軽量
・スポーツジム:24時間営業など…
これはメリットの役割の中でもいちばん想像しやすいかもしれませんね。
メリットの役割②商品・サービスの価値を伝える
メリットを提示することで、代金を支払う対価としてどれほどの価値があるのかを伝えることができます。
・靴:”オーダーメイド”で作られており足の形にぴったり
・タンブラー:”保温効果”に優れている など…
特に高額な商品やサービスの場合には価値付与をさせるために使われることが多くあります!
メリットの役割③商品・サービスの数値やデータを伝える
数値やデータで他商品、サービスと比較できる場合、数値は分かりやすいメリットとして伝えることができます。
・洗濯洗剤:99%除菌
・映画:顧客満足度97.6%
・カメラ:6100万画素など…
ベネフィットの役割
ベネフィットは特定の商品やサービスを購入、契約した際に”自らが受けられる恩恵”を想像させ、メリットとは別の角度で顧客に価値を感じてもらう狙いがあります。
例えばスポーツジムで運動をする場合のメリットとして
・体力がつく
・痩せられる
などが挙げられますが、これらに加えてベネフィットを含めるとどうなるのか…?
ここからはスポーツジムの例をもとに、ベネフィットの役割をお伝えしていきます。
ベネフィットの役割①具体的な機能から得られる恩恵を伝える
具体的な機能を伝えることはもちろん、さらにベネフィットを加えることで顧客に対し「実際に自分が体験するとどうなるのか?」という想像をさせられるのがベネフィットの1つの役割です。
・体力がつく⇒疲れにくくなる
・痩せられる⇒以前着ていた洋服を再び着られるようになる
このように、機能面から得られるベネフィットは『機能的ベネフィット』とも呼ばれています。
ベネフィットの役割②読者の感情や精神面に訴えかけて伝える
一方的に商品の魅力を伝えるだけでは顧客(読者)は押し売りに感じてしまうこともあるかもしれません。
そこで、ベネフィットの2つ目の役割として顧客に対して感情や精神面に訴えかけるという手法があります。
例えば…
・体力がつく⇒免疫が高まり、体調を崩す”心配なく安心して”過ごすことができる
・痩せられる⇒”憧れ”の水着が着られるようになる
これらの、感情や精神面に訴えかけるベネフィットは『情緒的ベネフィット・感情的ベネフィット』なども呼ばれています。
ベネフィットの役割③読者の目標や願望に訴えかけて伝える
先にお伝えした『情緒的ベネフィット・感情的ベネフィット』に似た手法ではあるのですが、読者の目標や願望に訴えかけて伝える『自己表現ベネフィット』と呼ばれるものがあります。
例えば
・体力がつく⇒表情も明るくなり信頼性が高まる
・痩せられる⇒理想の体型に近づき自信がつく
といったものが挙げられます。
より読者の心理に寄り添ったベネフィットの形、役割として押さえておきましょう!
メリットとベネフィットの実例
ここまでのセクションでメリットとベネフィットそれぞれの違いについて明確になってきたのではないでしょうか?
それでは、より理解を深めるため、次に、実際にメリットとベネフィットが活用されている商品ページや広告を見ていきましょう!
メリットとベネフィットの実例① デジタル一眼レフカメラ
引用:Canon Japan
上図は筆者も愛用するCanonのデジタル一眼レフカメラの商品ページです。
そんなカメラの画像の赤枠内の下線部分が本商品のメリットにあたります!
- 小型・軽量×バリアングル
- 瞬間ライブビュー撮影
- 一眼ならではの高画質
- かんたんスマホ送信
これらは商品の購入を検討するうえでの「商品が持っている肯定的な条件」だと言えるでしょう。
引用:Canon Japan
続いても同じ商品の画像ではあるのですが、青枠内の下線部をご覧ください。
こちらがいわゆる本商品のベネフィットにあたります!
- 軽やかなフットワークでシャッターチャンスを逃さない
- ライブビューでも撮りたい一瞬を確実にとらえる
- より高度な撮影表現が可能に
- 撮影しながら自動で送信
そして、これらのベネフィットをさらに深掘って考察すると
動き回る動物やこどもの姿もキレイに撮影でき、思い出の写真をより鮮明に残すことができる
撮影時の情景が鮮やかによみがえるような写真を撮ることができ、いつまでも忘れずにいられる
思い出をすぐに共有でき、友人と仲を深めるきっかけを作ることができて安心する
などの機能的ベネフィットや情緒的(感情的)ベネフィットも隠れていそうです。
このように、商品ページを見た読者の想像をかきたてる役割を果たしていることから「読み手が受けられる恩恵」を意識しているのではないかと考えられますね!
メリットとベネフィットの実例② 低反発まくら
引用:ニトリ
次は低反発クッションの商品ページです。
こちらも上図の赤枠内の下線部分がメリットにあたります。
- 吸い込まれるようなフィット感
- 厳選した低反発ウレタン
本商品の場合は性能に加えて素材にもこだわっている点を強調していることが分かりますね!
引用:ニトリ
上図の青枠内の下線部分が本商品のベネフィットにあたります。
- 上質な眠りを手に入れられる
- からだの重みをゆっくりと受け止める
- 一日の終わりに、ここちよい時間を得られる
どれも商品購入を検討している読み手(あなた)が得られる恩恵を指していることがお分かりいただけるでしょうか?
メリットとベネフィットの実例③ 低反発まくら
引用:chocoZAP(チョコザップ)
最後にご紹介するのはchocoZAP(チョコザップ)という初心者向けのジムのサービスです。
ここでのメリットは以下のとおり。
- 全店舗24h使い放題
- 個室のセルフエステ・セルフ脱毛が使い放題
- 無料で専用キットがもらえる
どれも本サービスを選ぶための利点といえます!
引用:chocoZAP(チョコザップ)
続いて、本サービスのベネフィットにあたる部分は以下のとおり。
- 自分のペースで気軽に通える
- 初めてでも安心して使える
- 健康増進に効果抜群
これらは本サービスを選ぶんだ際の恩恵といえます!
このように、世にある様々な商品・サービスには”メリットとベネフィット”がほぼ必ず設計されているのです。
まとめ:メリットとベネフィットを効果的に使いこなそう
『メリットとベネフィット』違いが曖昧になりがちなこの2つの概念について本記事ではご紹介してきましたが、いかがでしたか?
ここまで読んでくださったあなたなら、これらの違いや使い方をご理解いただけたと思います…!
特にライター業に携わる方にとってはこれら2つの概念についてはしっかり理解を深めて、役割を意識しながら設計・制作することが重要だと言えます。
そして、本記事がそんな方々の参考になれれば幸いです!
最後までお読みくださりありがとうございました!