あなたはご存知でしたか…?
この点々(…)に『三点リーダー』という名称がついていることを…!
実際に『三点リーダー』は今ご覧いただいているような記事だけでなく、小説や漫画、SNSなどでもよく見かけると思うのですが、この記号を使うことで、より豊かな文章表現が可能になるのです。
しかし、三点リーダーの正しい使い方をマスターしないまま使用してしまうと、かえって読者に誤解やストレスを与える”伝わらない文章”になりかねません…。
そこで本記事では、
- 三点リーダーとは
- 三点リーダーはどうやって使う?
- 三点リーダーを活用した例文
- 三点リーダを使用するうえでの注意点
など、基礎知識から例文まで、詳しくご紹介します!
ぜひ最後までご覧いただければと思います…!
三点リーダーとは
三点リーダーとは、丸い点(…)を横に3つ並べた記号を指す、いわゆる『点々』であり、リーダー罫(リーダーけい)※1の一種です。
※1 リーダー罫:文をまっすぐに書くための点線や線のこと。
そんな三点リーダーを文章上で使うねらいとしては、省略や含みをもたせたい場合が多く、その他にも「間」「沈黙」「心情」など様々な文章表現方法として使用されています。
三点リーダーのルールはある?
読み手の想像を膨らませたり、言葉で言い表せない場面や心の動きを伝える三点リーダー(…)ですが、小説を書くうえでの慣習として偶数で使用するというものがあり……
「……」や「…………」のように、2個、または4個を連続して使用します。
点を横に3つ並べた「…」を、1つと数えます。
とはいえ、偶数での使用はあくまでも必ず守らなければならないルールではありません。
現代の文章やWebライティングでは、その時々のシチュエーションや媒体によって三点リーダーの使い方は違ってきます。
例えば、スマホのように画面が小さめの場合、三点リーダーは「…」を1つにした方が読み手に見やすいこともあるでしょう。
また、場面によっては「………」と、三点リーダーを3個使用することもあります。
そのため、このような奇数での使用も、間違いというわけではありません。
「三点リーダーを2つ並べるのはなぜ?」という質問をいただくことがありますが、出版業界で『2倍リーダー(……)』が多く使われていたためであると言われており、昔からの慣習となっています。
以下の記号も名前は「三点リーダー」です。
- Google Chromeなどウェブブラウザの右上にある、丸がたてに3つ並んだ記号(設定アイコン)
- 四角い点が横に3つ並んだ記号
三点リーダーはどうやって使う?【例文付き】
ここまでは三点リーダーの基本情報についてお伝えしましたが…
本セクションでは『三点リーダーは実際にどうやって使うのか?』例文付きでご紹介します!
先に結論からお伝えすると、以下のような狙いをもって使われています。
- 沈黙を表す
- 余韻を残す
- 省略する
- 引用する
- 項目をつなげる
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
沈黙を表す
三点リーダーを用いると、以下の例文のように沈黙を表すことができます。
例文1)「……」彼は都合が悪そうに黙り込んだ。
例文2)先生:「太郎くんの将来の夢は何?」
太郎:「……」太郎は、答えられなかった。
例文3)広告代理店:「御社の一番の売り、強みは何ですか?」
社長:「……」他社との差別化を計れず、社長は考え込んだ。
三点リーダーを使うと、上記の例文のように文字は使わず、「……」だけでその場の状況や登場人物の心情を表すことが可能です。
そのため、文章だけでは表現できない”感情”や”その場の雰囲気”などを、読者と共有できるでしょう。
余韻を残す
三点リーダーを使うと、文章に余韻を残すこともできます。
例文1)青い鳥が空へ飛び立っていった…
例文2)夏休みの楽しかった出来事が、ふと思い出された…
例文3)彼女は、彼を犯人だと思っていた。しかし…
上記の例文1・2のように、三点リーダーを使うと文章に余韻が生まれ、情景がより頭に浮かびやすくなりますね。
また、例文3のように、三点リーダーの後に続きがあることを読み手に伝えることもできます。
省略する
三点リーダーは、文章を省略する際にも使います。
例文1)彼女はとても可愛い女性だ▶彼女はとても可愛い…
例文2)夏の甲子園は、毎年感動のドラマがある。また今年も感動のドラマがあるだろう▶夏の甲子園は、毎年感動のドラマがある。また今年も…
例文3)果物には、りんご・バナナ・みかん・もも・ぶどう…などたくさんの種類があります。
例文1・2のように、続きを書かなくても三点リーダーの後に続く文章の内容が分かる場合は、三点リーダーを用いて省略することで、文章がスッキリし、さらに深い味わいも生まれます。
また、例文3の場合、果物の種類をぜんぶ書かずに、三点リーダーを使って途中を省略しています。
省略することで、読み手にストレスを感じさせない文章になるでしょう。
くどくならず、ストレスを感じさせない文章を書くために欠かせないのが推敲です。
以下に「文章を推敲する方法」をまとめていますので、ご参照ください。
引用する
三点リーダーは、文中の引用にも使われます。
具体的には、引用の部分が長いとき、以下のように三点リーダー「…」を用いて省略します。
(例文)人は皆それぞれ頭の中にたくさんの地図を持っている。……私たちは、経験することのすべてをこれらの地図を通して解釈している。
上記は、書籍『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)から引用したものですが、三点リーダー「…」を使うことで、長い引用部分の一部を省略しています。
このように、書籍や論文を引用する際に三点リーダーを使うと、長い引用文の省略が可能です。
「正しい引用の方法」は、プロのライターにとって必須の知識です。以下に詳しく解説した記事がありますのでご覧ください。
項目をつなげる
三点リーダーには、関連のある項目をつなげる記号としての役割もあります。
例1)報連相の三原則
- 報…報告
- 連…連絡
- 相…相談
例2)ものの数え方
- 椅子…一脚
- 箸…一膳
- うさぎ… 一羽
例3)海の生き物の種類
- イルカ…哺乳類
- カメ…爬虫類
- ペンギン…鳥類
三点リーダーは、ほかにも「書籍の目次とページ(はじめに…P1)」「料理のレシピ(さとう…10グラム)」のように、身近なところでさまざまに使われていますね。
三点リーダーを活用した例文を5つ紹介!
前セクションでは、三点リーダーの使い方をお伝えしました。
三点リーダーは、文章を表現する際とても使い勝手の良い記号ですね。それでは、具体的にはどのように活用するのでしょう。
本セクションでは、三点リーダーを活用した例文をご紹介します。
例文① 実は…言いたいことがあってね…
「実は…言いたいことがあってね…」
上記の場合、三点リーダーは「沈黙」や「間」を表しています。
相手の様子を伺っている様子や、次の言葉を考えている場面が思い浮かびますよね。
「実は、言いたいことがあってね」と端的に表現するより、読者、興味を持って話の続きに引き込まれるでしょう。
例文②この物語の結末は…?
この物語の結末は…?
上記の例文では、文末に「…」を使うことで、文章に「余韻」を持たせています。
疑問符だけで「この物語の結末は?」と表現するより、上記のように三点リーダーを使う方が、読者に物語の展開への期待感を抱かせることができますね。
このように、三点リーダーを用いることで、文脈により深みを持たせ想像をかきたてることができるでしょう。
例文③「今日、何食べたい?」「そうだな…」
A「今日、何食べたい?」
B「そうだな…」
上記の会話では、三点リーダーを使って「沈黙」を表現しています。
このように「…」を使うことで、今日何を食べたいのか思い浮かばず考えている様子を、伝えることができるでしょう。
ちなみに、三点リーダーは会話文によく用いられ、迷っている様子や心の動きなどを効果的に表すことが可能です。
例文④沈む夕日を見ながら彼はたたずんでいた…。
沈む夕日を見ながら彼はたたずんでいた…。
三点リーダーを使わずに「沈む夕日を見ながら彼はたたずんでいた。」と表現した文と比べた場合、上記の例文の方が「余韻」を感じられます。
このように、三点リーダーを文末に付けることで、情景だけではなく彼の心情までも伝わってくるようです。
文章だけで読み手に効果的に伝わる方法として、「擬人法」は取り入れたいスキルの1つです。以下の記事に詳しくまとめていますので、ご覧ください。
例文⑤猫のタマは、いつも私の心を癒やしてくれる。今日も…。
猫のタマは、いつも私の心を癒やしてくれる。今日も…。
上記の例文では、三点リーダーを使って「省略」を表現しています。
この場合、文章の続きを省いても「今日も、タマは私を癒やしてくれる。」ということが分かりますよね。
このように、書かなくても伝わるときに三点リーダーを使って省略することで、味わい深い文章になります。
三点リーダーは、「間」や「余韻」を表現する記号です。
そのため、明確な表現を求められる公的な文章やビジネスの場面などでの使用は好まれません。
三点リーダーを使用するうえでの注意点
前セクションでは、三点リーダーの例文をご紹介しました。
さまざまな文章表現を可能にする三点リーダーですが、間違った使い方は逆効果です。
本セクションでは、使用するうえでの注意点を5つご紹介します。
- 文章内で多用しない
- 不適切な場面で使わない
- ビジネスメールで使わない
- 他の記号と混在しないようにする
- クライアントのルールに従う
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
注意点① 文章内で多用しない
三点リーダーは、文中で多用しないようにしましょう。
その理由は、三点リーダーを使いすぎると、くどい文章になり読者にストレスを与えてしまうからです。
以下の例文をご覧ください。
例1)「わぁ...!美味しい…この料理…あなたが…作ったの…?」
上記のように三点リーダーを多用すると、文章がくどくなるばかりか、美味しい料理を食べた感動も伝わらなくなってしまいます。
例2)この件については…後日…まとめて…報告いたします。
上記のようなメールが来たらどうでしょう?文章が途切れて読みづらさを感じますよね。
例3)そして…誰もいなくなった…彼女は…。
上記の例文では、彼女が次にどんな行動を取るのかが、分かりません。
このように、話の展開を読み手にゆだねるような文章は、読者にストレスを与えてしまうでしょう。
ほかにも、三点リーダーを使いすぎると、文章が単調に見えたり深みのない印象を与えるなど、逆効果になってしまうことがあります。
そのため、三点リーダーは多用しないよう注意しましょう。
注意点② 伝わりづらい場面が存在する
三点リーダーの使い方の注意点の2つ目は、文章上だけでは伝わらない場面があることがあげられます。
理由は、三点リーダーが用いられている意図が分からず、読み手に違和感を感じさせてしまうからです。
これがどういうことか….?
以下の例文をご覧ください。
例文)あのライブを見て感動してた…。
上記の文には、複数の意味が含まれていることが考えられます。
- ライブを”自分が見て”感動したようすを表す
- ライブを見て感動している”他人のようす”を見たが、自分は共感できない心情を表す
そのため、この文章だけでは意味を測りかねて混乱してしまうでしょう。
もし”自分が見て感動したようす”を表現したい場合は『あのライブを見て感動した… !』と、三点リーダーの後に感嘆符を使ったほうが、より相手に伝わりますね…!
三点リーダーは、読み手に内容がはっきりと分かる場面でのみ使用することが大切です。
不適切な場面での使用は、かえって読者を混乱させることもあるため気をつけましょう。
注意点③ビジネスメールで使わない
三点リーダーは、ビジネスメールで使わないようにしましょう。
理由は、
- 何が言いたいのか分からない
- 結論が何か分からない
といったストレスを相手に感じさせてしまうからです。
以下の例文をご覧ください。
例文)「A案はすてきなアイデアだと思いますが…」
メールを読んだ相手は、「他のアイディアを出してほしいの?」または「今回は見送りたいの?」など、何が言いたいのか分かりません。
このように、ビジネスメールで三点リーダーを使うと相手にこちらの意思が伝わらず負担を与えてしまう可能性があるため、注意が必要です。
取引先はもちろん社内でも、ビジネスメールに三点リーダーは使わないよう意識することで、相手に配慮した気持ちのいいコミュニケーションが取れるようになるでしょう。
注意点④他の記号と混在しないようにする
三点リーダーは、他の記号と混在しないようにしましょう。
三点リーダーの代用によく使われるのが、「なかぐろ※2」の全角(・・・)・半角(・・・)、または句点(。)です。
※2 なかぐろ:「・」のこと。並列を表す記号。
三点リーダーのように使われる「・・・」や「。。。」は、基本的には誤用です。
しかし、場合によっては上記の代用記号を使用するケースもあります。
その際は、「…」と「・・・」「。。。」が1つの文章に混在しないようにしましょう。理由は、表記揺れ※3を起こさないためです。
※3 表記揺れ:文章の中で同じ意味の言葉や表現が統一されていないこと
表記揺れを起こすと読み手の理解を妨げる可能性もあるため、注意しましょう。
注意点⑤クライアントのルールに従う
三点リーダーは、基本的には「……」(「…」×2個)のように、偶数で使うというルールがあります。
しかし、三点リーダーの使い方に明確な決まりはありません。実際には、クライアントやメディアごとにルールが異なるため、指示されたルールに従いましょう。
クライアントからの指示がなければ、こちらから確認し、決まりがなければ三点リーダーを2つ使うのが無難です。
まとめ:三点リーダーを正しく活用して表現力をアップしよう
本記事では、三点リーダーの使い方について以下の内容をご紹介しました。
- 三点リーダーとは
- 三点リーダーはどうやって使う?
- 三点リーダーを活用した例文
- 三点リーダを使用するうえでの注意点
三点リーダーの基本的なことから使い方のルール、また、効果的な使い方など、参考にしていただけたでしょうか。
三点リーダーは、文字だけで情景や心情を伝える文章において、とても重宝する記号です。
三点リーダーの使い方に、はっきりとしたルールはありません。しかし、使い方を間違えると、かえって読者に誤解を与え、また負担を感じさせてしまう場合があります。
三点リーダーを正しく活用できれば、文章に深みが生まれ豊かな表現力を身に付けることが可能です。
その結果、あなたのライターとしての評価を高めることにもつながるでしょう。
本記事が、ライターとしてさらにスキルアップしたい人や小説を書いてみたい人など、文章の表現力を高めたいとお考えの方のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
「三点リーダー」に関するよくある質問
本セクションでは、三点リーダーに関するよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
よくある質問① 三点リーダーの入力方法を教えてください。
三点リーダーの入力は、パソコン・スマホそれぞれ以下の手順で行います。
・Windowsの打ち方:ローマ字キーボードで“さんてん”と入力し変換、または“中黒(なかぐろ)”を3回押し変換し、変換候補に表示された「…」を選ぶ。
・Macの打ち方:「option」+「;」(同時に押す。)
・iPhoneの打ち方:かな変換モードで句点「。」を入力し、変換候補に表示された「…」を選ぶ。
・androidの打ち方:日本語モードの右下、句読点などのキーを下フリックすると「…」が表示される。
よくある質問② 三点リーダーの後に句読点は必要ですか?
三点リーダーの後に句読点を付けるかどうかについて、明確なルールはありません。しかし、句点「。」の場合は、三点リーダーを以下のように使うのが一般的です。
・会話文:「最近良く眠れなくて…」
・会話以外の文章:立ち尽くした……。
句点は、会話文の文末には入れない、文章(会話文以外)の文末には入れる、と覚えておくといいでしょう。
一方、読点「、」を三点リーダーの後に付けることはほとんどありません。
よくある質問③ 小説ではどのように使用されていますか?
小説では会話文に使われることが多くあります。
会話の「間」、また驚いている様子や沈黙を表す際に、三点リーダーを使用するケースが多く、三点リーダーを使用することで文章をより味わい深いものにできるでしょう。
さらに文中に引用を用いた際の、引用文の省略に使用することもあります。
ちなみに、小説の場合、括弧「」の最後には句点を使わないというルールがあるため、括弧内の三点リーダーの後に句点は付けません。
例)◯「……」・✕「……。」
よくある質問④ ダッシュとの使い分けのルールはありますか?
三点リーダー「…」と、ダッシュ「―」。
どちらも「間」の表現や文章に続きがあることを表す際に用います。
このように、2つの使い方は似ていますが、明確な使い分けのルールはありません。
ただ、三点リーダーは、穏やかな表現やゆっくりした時間の経過を表す場合、ダッシュは強めの表現や時間の速さを表す場合、というようにニュアンスで使い分けられるのが一般的です。
よくある質問⑤ 三点リーダーが「…」と下に表示されるのはなぜですか?
三点リーダーが下に表示されるのは、英語フォントを使っているためです。
ちなみに、日本語フォントを使うと三点リーダーは真ん中に表示されます。
このように、三点リーダーが配置される位置はフォントによって変わります。
iPhoneの場合は、日本語入力でも三点リーダーは下「…」に表示される仕様になっています。
よくある質問⑥ 三点リーダーと二点リーダーとの違いは何ですか?
三点リーダーも二点リーダーも、使い方に厳密な違いはありません。
どちらも文章に使用される記号です。
ちなみに、手持ちの本を見てみると、目次とページのつなぎに「‥」を使っているケースがありました。
ただ、現在は多くの媒体で三点リーダーが使われています。
よくある質問⑦ 三点リーダーは英語では何といいますか?
三点リーダーは、英語で「Ellipsis(イリプシス)」といいます。
意味は「省略」です。英文は、半角ピリオドを3つ並べて「…」表記し、文章の「省略」や「間」に使います。