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上田美紀【SEOライター×コピーライター】

他国の言語と比較すると日本語は、「主語・述語」が省略されやすいうえに表現や言い回しもわかりにくいと言われています。

そのため、日本人でも気づかないうちに間違えて使ってしまっている言葉が多々あるのですが、その中でも「〜たり、〜たり…」という文章は特に多く間違えやすい文章表現です。

そこで、この記事では『~たり~たり』の基本的な使い方から言い換え方法など、徹底解説します。

当記事を読むことで『~たり~たり』の正しい使い方をマスターできるようになるでしょう!
ぜひ最後までお読みいただければ幸いです!

「~たり~たり」とは?

~たり~たりとは

『〜たり〜たり』とは、以下2つの役割を持つ並列助詞(並立助詞)のことです。

『~たり~たり』の役割
  • 並列の役割…動作および状態を並べて述べる
  • 例示の役割…ある動作および状態を例として示し、他の状態も推測させる

※参照:現代語に於ける並列助詞「たり」の一用法 九州大学学術情報リポジトリ

たとえば、並立の役割を持つ『~たり~たり』は以下のように使用します。

  • ファミリーレストランでラザニアを食べたり、ワインを飲んだりした
  • 休日にお茶を習ったり作法を勉強したりした

例示の役割を持つ『~たり~たり』は、以下のように使うのが基本です。

  • サッカーの試合に出場してシュートを打ったりした
  • 国語の授業で漢字を習ったりした

何も気にせず『~たり~たり』を使っていたけれど、ビジネスシーンやプライベートなどで使い方を指摘された方もいらっしゃるのではないでしょうか…!

事項より、さらに詳しく『~たり~たり』の使い方を解説していきます!

「~たり~たり」の正しい使い方とポイント

~たり~たりの正しい使い方

『〜たり〜たり』の正しい使い方を知ることで、文章表現のバリエーションが増えます。

ここからは『〜たり〜たり』の使い方とポイントを解説します。

たりの使い方|並べて使用する方法

並べて使用する

『〜たり』は、以下のように並べて使うのがマストです。

例文
  • 洗濯物を干したり掃除機をかけたりする
  • 明かりをつけたり消したりする
  • ご飯を食べたりお茶を飲んだりする

仮に『箱根温泉に行ったり勉強したりする』と表現した場合、違和感の残る文章になるでしょう。

違和感の原因は、意味のかけ離れた動作が無理矢理つながれているからです。

『〜たり』を並べて使用する際は、類似する動詞・名詞などをつなぎます。

たりの使い方|1回のみ使用する方法

1回のみ使用する

『〜たり』は1回のみ使用する表現方法もあります。

以下例文のように、次に続くであろう言葉を予測できる場合です。

例文
  • 車にひかれたりしたら大変なので信号を守ってください
  • 貴重品を無くしたりするリスクがあるので財布を預けてください

上記例文では『〜たり』が1回しか使われていません。

これは間違いではなく、他にも類似するものがあることを暗示する『例示』の用法を使用しています。

『車にひかれたりしたらたいへんだから信号を守ってください』のように、信号を守らないことで起こりうるリスクが予測できる場合の表現方法として役立ちます。

信号無視をすれば、車にひかれる以外にバイクや自転車に衝突する危険もあるでしょう。

例文のように、例示として『〜たり』を1回のみ使うことも可能です。

たりの使い方|3回繰り返して使用する方法

3回繰り返して使用する

以下例文のように『〜たり』は、3回繰り返して使用することも可能です。

例文
  • 大学生は、論文を提出したり講義を受けたりサークル活動をしたりと忙しい
  • 子どもが生まれてからパートナーは、オムツを変えたりミルクをあげたり寝かしつけをしたりと協力してくれている
  • 家族で別荘に行った際は、魚を釣ったりテニスをしたり花火をしたりして楽しむ

文章としてはくどくなりますが、日本語としては間違いではありません。

極端な話、4回・5回・6回使ってもOKです。

「~たり~たり」の間違えた使い方

~たり~たりの間違えた使い方

『〜たり〜たり』の間違えた使い方として、以下のように並列していない言葉をつなげてしまうことがあげられます。

例文
  • 北海道へ行ったり書籍を読んだりする
  • 焼肉を食べたりスケートを滑ったりする

上記例文では、無関係の動作が『〜たり』でつながれています。

北海道へ行くことと、書籍を読むことは、並列とは言いがたいでしょう。
また、焼肉を食べる例文では主語がないこともあって、焼肉を食べることとスケートを滑ることが無関係の動作になっています。

無関係な動作を 『〜たり』でつなげた場合、違和感の残る文章になります。

『〜たり』は、並列する動作をつなげる助詞です。

異なる動作を『〜たり』でつなげないように注意しましょう。

間違いを防ぐためには、書いた文章を読み直すのが有効です。

「~たり~たり」の言い換え方法とは

~たり~たりの言い換え

『〜たり〜たり』を使うと、くどい印象を与える場合もあります。

言い換えを知っておけば、シンプルかつ伝わりやすい文章表現ができるでしょう。

ここからは、言い換え方法をご紹介します。

並列動作を1つにまとめる方法

並列動作を1つにまとめる

『〜たり〜たり』の言い換えとして、以下例文のように並列動作を1つにまとめる方法があります。

例文

言い換え前:公園で飲んだり食べたりしないでしないでください。
言い換え後:公園内は飲食禁止です。

並列動作を1つにまとめることで、シンプルに言い換えられます。

文章が固くなるため、ビジネスシーンでの利用がおすすめです。

名詞に言い換える方法

名詞に言い換える

以下例文のように、動詞を名詞に言い換える方法もあります。

例文

言い換え前:休日は小説を読んだり運動をしたりします。
言い換え後:休日は読書と運動をします。

言い換え前:書籍を読んだり音楽を聴いたりするのが趣味です。
言い換え後:読書と音楽鑑賞が趣味です。

動詞を名詞に言い換えることで『〜たり〜たり』を省き、くどい印象を払拭できます。

文章が長いと感じる時や、簡潔に内容を伝えたい時に使うとよいでしょう。

文章を区切って言い換える方法

文章を区切って言い換える

以下例文のように文章を区切ることで、わかりやすい表現に言い換えられます。

例文

言い換え前:公園内で飲食をしたり夜7時以降に遊んだりするのはやめてください。
言い換え後:公園内では飲食禁止です。夜7時以降の利用も厳禁です。

『〜たり〜たり』を使用すると、どうしても長い文章になります。
そのため、並列する言葉がくもってしまいがちです。

上記例文では、公園における飲食禁止および夜7時以降の利用禁止を2つの文章に分けました。

1つの文章が短いため、何を禁止しているのかわかりやすくなったのではないでしょうか。

クリアな文章を書きたい場合におすすめです。

「~や」「~など」に言い換える方法

「~や」「~など」に言い換える

以下例文のように『〜や』『〜など』に、言い換えるのも有効です。

例文

言い換え前:公園でサッカーをしたりバドミントンをしたりバドミントンをしたりして遊びました。
言い換え後:公園でサッカーやドッジボールなどをして遊びました。

上記例文では『〜たり〜たり』を『〜や』『〜など』と置き換えています。

とくに『〜たり』が3回以上続く場合は、簡潔な文章にするために
『〜や』または『〜など』に置き換えられないか検討しましょう。

そうすることで、簡潔で伝わりやすい文章になります。

「~もあれば」「~もある」で言い換える方法

「~もあれば」「~もある」で言い換える

『〜たり〜たり』は『〜もあれば』や『〜もある』とも言い換えられます。

例文

言い換え前:社会のテストでは、地理の問題が出たり出なかったりする。
言い換え後:社会のテストでは、地理の問題が出る時もあれば出ない時もある。

文章は長くなりますが『〜もあれば』や『〜もある』に、置き換えることも可能です。

『〜たり〜たり』の使い方に自信のない方は、上記例文のように言い換えるのもよいでしょう。

「~たり~たり」を使う時の注意点

「~たり~たり」を使う時の注意点

『〜たり〜たり』を使う時の注意点を解説します。

注意点を把握することで、正しい文章を書けたり相手に正しく意味を伝えられたりします。

「たりなど」の使用を避ける

「たりなど」の使用を避ける

以下例文のように『〜たり』と『など』を、同時に使うのは避けましょう。

例文

修正前:コピーライターは、キャッチコピーを考えたり文章を書いたりなどします。

『〜たり』と『など』を同時に使うと、冗長的1な印象を与える文章になります。
※1 冗長:無駄が多く長いこと▶冗長的な文章(無駄の多い文章)

上記例文では『など』がなくても、十分伝わります。

例文

修正後:コピーライターは、キャッチコピーを考えたり文章を書いたりします。

文章はシンプルなものほど読まれやすい傾向にあるため、冗長的な印象を与えがちな「たり・など」はなるべく避けることをオススメします…!

「たり」の位置に注意する

「たり」の位置に注意する

〜たり』を使用する際は、その位置にも注意しましょう。

例文

修正前:洗い物をしたり洗濯物を干したら手が荒れたりした。

上記例文では、2番目にある『〜たり』の位置が間違っています。

手が荒れたのは、洗い物をしたり洗濯物を干したりしたからです。

つまり、洗い物をしたことと手が荒れたことは非並列になります。

例文

修正後:洗い物をしたり洗濯物を干したりしたら手が荒れた。

上記例文が『〜たり』の正しい位置です。

使う位置を間違えないように、何と何が並列関係にあるのか明確にしたうえで2番目の『〜たり』を書き加えましょう。

まとめ:「~たり~たり」の使い方や注意点をおさえて正しく使おう!

「~たり~たり」の使い方や注意点をおさえて正しく使おう!

『〜たり〜たり』は、間違えた使い方をしているケースも少なくありません。

使い方や注意点をおさえて正しく使うことで、文章表現の幅が広がったり伝わりやすい文章を書けたりします。

正しい日本語を使えれば、ビジネスシーンやプライベートの場などで一目おかれる人材になれるでしょう。

とくに、文章を書く仕事に就きたい方は『~たり~たり』の正しい使い方を把握しておくことで、多くの依頼をいただける可能性があります。

本記事を参考にして、今日から『~たり~たり』を正しく使いましょう。

「~たり~たり」に関するよくある質問

「~たり~たり」に関するよくある質問

『〜たり〜たり』に関するよくある質問を3つご紹介します。

疑問が残っている方は、この章を読むことで解決できるでしょう。

よくある質問①|「〜たり〜たり」は書き言葉?

Answer

『~たり~たり』は、話し言葉です。

よくある質問②|「〜たり〜たり」は履歴書で使ってもよい?

Answer

ビジネスシーンで『〜たり〜たり』を使うのは、避けましょう。

『〜たり〜たり』は、言い切りが困難な際に使用する消極的表現です。

履歴書のように印象を左右する重要な書類においては、使用しないほうが無難です。

複数の趣味や特技を書きたい場合は『・』で区切るもしくは、文章ごとに区切りましょう

よくある質問③|「〜たり〜たり」は何回セットで使う?

Answer

『~たり~たり』は何回セットで使ってもOKですが、基本は2回セットで使うと覚えておきましょう。

他の同類を暗示する場合においては、単独で使用します。

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読者を幸せにするコンテンツを届けるライターです。SEOライティングからコピーライティングまで、幅広い分野で活動中。オールジャンル対応可能のマルチなライターです。
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