
レポートを書くとき、文体を「ですます調」にするべきか、それとも「だである調」にするべきか迷ったことはありませんか?
筆者も学生時代、どちらにするべきか…迷った経験があります。
今となっては「ですます調」と「だである調」を用途に合わせて使い分けられるようになりましたが、それはWebライターとして活動を始めてからの話…。
そこで本記事では、2つの文体の違いと使い分け方を詳しく解説します。
さらに、レポートの目的や読み手に応じた適切な文体の選び方もご紹介。
記事を読み終える頃には文体の選択に迷うことなく、自信を持ってレポートを書けるようになりますよ。

レポートを書くなら『ですます調?』『だである調?』

仮に今から「レポートを提出しなければならない!」となったとき…。
あなたは「ですます調」と「だである調」どちらの文体を選択しますか?
実はどちらを選択するかは、レポートの種類によって決まります。
このセクションでは、レポートの種類ごとに相応しい文体を説明していきますので、文体選びの参考にしてみてください。
です・ます調とは?

- 親しみがある表現
- 丁寧な印象を与えられる
- 話し言葉に近い
「ですます調」には丁寧で親しみがあり、ソフトな印象を与えるメリットがあります。
また『ですます調』は話し言葉に近しい文体であるため、読み手は自身に語りかけられているような印象を受けることでしょう。
さらに、柔らかい丁寧な文章であれば受け入れてもらいやすくなるため、感想文の形式では「ですます調」が相応しいといえるでしょう。
だ・である調とは?

- 断定的な表現
- 堅い印象を与えられる
- 専門性を高く感じさせられる
「だである調」は、語気が強めで端的な印象を与えるため、読み手を説得させたい場合に使用されるケースが多いといえるでしょう。
これを踏まえると論証するレポートは、事実を様々な角度から客観的に述べ、読み手に納得してもらうことが目的ですので「だである調」が相応しいのです。
だ・である調を用いているなかで【~だと思う】という語尾は避けましょう。
というのも、論証は客観的な事実に基づいて論じるものであることから、そこに主観的な「~だと思う」という表現は不適切になってしまうのです。
あくまで第三者視点で論じるよう留意しましょう。
また、より詳しく『です・ます調』『だ・である調』を知りたい方はこちらの記事も参考にしていただければと思います。
【結論】『推奨=だ・である調』…とはいえどレポートの種類によって文体を選ぼう

大学や研究の論文では基本的には『だ・である調』で書くことを推奨します。
自らの主張を事実に基づいたうえで客観的に書き記す際は『です・ます調』ではなくても良いというのが一般的です。
ここで一度まとめると
・「ですます調」は、読み手に親しみやすさや分かりやすさを伝えたい場合に適している
・「だである調」は、専門性や客観性を重視するレポートに効果的
特に論文や公式な報告書で『だ・である調』を選んだ場合は、端的で明確な表現が信頼度を高め、読み手に説得力を与えます。
しかし、一番の選択基準となるのは【提出先のルールは何か】であることに他なりません。
提出先のルールを確認のうえ、適切な文体を選ぶようにしましょう。
そのため、ケースバイケースで『です・ます調が適切』とみなされることもあるのです。
レポートを書く際に気をつけるべき5つのポイント

ここまで「ですます調」と「だである調」を適切に選択する必要性を説明しました。
どちらか相応しい文体を選んだあとは、早速執筆を開始するのですがこんなことを感じていませんか?
- 「自分のレポートが読みやすいか不安」
- 「自分の意図した内容が読み手伝わっているだろうか」
筆者はこの不安を抱えながらレポートを作成し、大失敗した苦い経験があります。
実は、読み手に伝わりやすいレポートを作成する際に、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
そこで本セクションでは、初心者でも実践しやすいレポート作成時に気をつけたい5つのポイントをご紹介します。
①表記揺れに気をつける
表記揺れとは一つのレポートの中に、同じ意味を持つ似た言葉が混在していることを指します。
この表記揺れが存在すると、読み手はストレスを感じ文章理解の妨げとなる可能性があるのです。
本記事で言う【表記揺れ】とは『ですます調』と『だである調』が混在することを指します。
・私はコーヒーが大好きです。なので、毎朝コーヒーを飲むのが日課だ。
・北海道は人気の観光地だ。毎年、都道府県魅力度ランキングでは1位です。
このように2つの文体が混在すると、まとまりやリズム感が失われ、稚拙な印象を受けます。
これがレポート全体の質の低さに繋がるのです。
「ですます調」で書き出したなら、最後まで「ですます調」で通し「だである調」で書き出したなら最後まで「だである調」を使用しましょう。
②曖昧な表現をしない
学術的なレポートについては、特に気をつける点です。
例えば「~かもしれない」という断定しない言い回しは、自信のなさが表れており説得力の欠けたレポートとなります。
・しし座流星群が一番良く見られるのは、11月17日頃かもしれない。
・円安の影響で、今後も物価は高騰するかもしれないし、変わらないかもしれない。
角が立たないように断定を避けたい気持ちは理解できますが、あなたがしっかりリサーチをしたうえでの結果なら、そこは自信を持って論じましょう。
もし、断定できない曖昧な情報であるなら、そもそも論じること自体避けた方が良いともいえます。
③受動態は控えめに
受動態とは、他から動作を受ける場合に使用される文法です。
【~される】【~された】という受け身の状態を表現する際に用いられますが、これはレポートとしてはあまり相応しくない表現です。
・弊社にて開発したソフトがリリースされた。
・このホテルは有名な建築家によって建てられた。
レポートは、あなたが主体となってリサーチを行い様々な角度から論じるものであるため、決して受け身ではないはずです。
また、受動態は第三者的な印象を受ける場合があるため、どこか人ごとのように聞こえたりもします。
このため、受動態は文脈上必要な場合のみ使用し、それ以外は控えるようにしましょう。
④ビジネス用語やカタカナ語を多用しない
適度なビジネス用語・カタカナ語を使用すれば、説得力や専門性のあるレポートに仕上がりますが、多用は避けましょう。
なぜなら過剰な使用は読み手に伝わりにくいため、途中で離脱される恐れがあるからです。
・マネタイズのため開発したユーザーインターフェースがローンチした。
・この案件はフィックスできずペンディングした。
さぁ、いかがですか? 何を言っているか理解できましたか(笑)
(筆者も自分で書いておりながら笑いが出てしまいました)
レポートは読み手に共感や納得してもらう必要があるので、そもそも読み手に理解されないワードの使用はレポートとして相応しくありません。
カタカナ語を使用する場合は、次のことを念頭に置くと良いでしょう。
- 読み手が知っているか
└読み手の知識にばらつきがある場合は日本語を使用した方が無難です。 - あなたが正しく意味を理解しているか
└曖昧な理解のまま使用すると、誤用に繋がる恐れがあります。 - 日本語に言い換えた場合どうなるか
└相当する日本語が曖昧なビジネス用語、カタカナ語もありますので、その場合は注釈などを付けて使用しましょう
また、文化庁ホームページにはビジネス用語、カタカナ語の認知率の統計データが公開されています。
こちらも参考にしてみてください。
参考:文化庁|カタカナ語の認知率・理解率・使用率【使用率順】
⑤一文が長くなりすぎないようにする
適度に文章を区切り、伝わりやすい文を作成しましょう。
一文の目安としては、60文字から80文字以内とされています。
因みに区切りの無い長文は分かりにくいとされていますが、それはなぜでしょうか。
ここで長文が分かりにくいとされる理由を紹介します。
主語と述語のつながりが理解できない
日本語の文章は、主語(~は、~が)から始まり、述語(~です)で完結する構造です。
この構造が崩れてしまうと、文章が把握しにくくなります。
例文で考えてみましょう。
ウォーターサーバーは美味しい水を毎日飲みたいというニーズに応えますが、スペースを取る問題があり、ウォーターサーバー設置を躊躇する家庭が多くある中、需要が蛇口一体型浄水器と二分化しています。
いかがでしょうか。
主語である「ウォーターサーバーは」と述語の「二分化しています。」が繋がっていないため把握しにくい文章になっています。
冗長的な表現で結論が分からない
これは日本語の、結論部分である「述語」が最後に来るという「語順」に起因しています。
これにより、読み手は最後まで読んで初めて結論を知るため、ある意味辛抱しながら読んでいるのです。
こちらも例文を見てみましょう。
私はコピーライターですが本業として別の仕事を持っているため、現在は本業と両立しながら執筆作業を行いつつ、将来的にはコピーライター一本で仕事をしたいと考えているため、今後ライター業の幅を広げる予定です。
いかがでしょうか。
結論の「ライター業の幅を広げる予定です。」に行き着くまで情報が盛り沢山ですよね。
このような結論までの情報過多は、読み手にストレスを与えるのです。
以上の理由から一文を適度に区切り、接続詞を加えながら文章を作成する必要があります。
まとめ:レポートの種類によって文体を使い分けよう

ここまでレポートの文体について、様々な角度から紹介しましたがいかがでしたか。
内容を整理しておきます。
レポートを書く際、「ですます調」と「だである調」の選択は、目的や読み手にあわせて適切に選択しましょう。
「ですます調」は親しみやすさや柔らかさを、「だである調」は専門性や論理的な印象を与えるため、全体の統一感を意識して選ぶことが大切です。
さらに、文体選びだけでなく、表記揺れを避けて一貫性を保つことや、曖昧な表現を使わず主張を明確にすることも大切です。
加えて、受動態を多用せず文章を簡潔にする、カタカナ語を控えて読み手に配慮する、一文を長くしすぎないなど、基本的なルールを守ることで、より伝わりやすいレポートになります。
正しい文体選びと表現の工夫で、分かりやすいレポートを目指しましょう!
「レポート ですます調」を調べている方から【よくある質問】

よくある質問① 大学のレポートの書き方はですます調ですか?
文体はレポートの種類によって使い分ける必要があるため、一概に「ですます調」が相応しいとは言えませんが、特に指定がない場合は『だである調』で書くことを推奨します
また、提出先が文体を指定する場合もありますので、作成ルールを確認のうえ選択してください。
よくある質問②「ですます調」の語尾にはバリエーションがありますか?
「ですます調」の語尾にはいくつかバリエーションがあります。
技法 | 解説 | 例 |
---|---|---|
念押し | 親しみを感じる利点がありますが、多用すると押し付け感が出るのでほどほどに | ~ですよね。 |
体言止め | 文末を名詞で終わらせる表現 リズム感が生まれ黙読でも読みやすい | 誕生日にケーキを手作りした彼。 |
疑問・提案表現 | 読み手に考える機会を与え、読み進めてもらいやすい | ~ではないでしょうか? |
文末表現とも言われるこれらの中でも「体言止め」は『だ・である調』でも活用できるため特に押さえておきましょう。
よくある質問③「ですます調」が適した作成物を教えてください
「ですます調」が適した作成物には以下のようなものが挙げられます。
- ブログ記事やコラム
- 子供向けの教育解説資料
- ユーザガイドやFAQ
- 初心者向け解説書 など
「ですます調」は「読者との距離を縮めたい」「難しい印象を与えたくない」場合に使用すると良いでしょう。
用途に応じて、最適な文体を選択してください。
