昨今コピーライターの仕事は、営業活動から取引のすべてがインターネット上で完結する時代となりました。
これがもし対面で会うのならば、名刺を差し出して挨拶を交わし、背格好や身だしなみ・話し方などから相手の性格や人となりをこっそりと探ってみるもの。
しかし今では、そんな時間を作らずとも仕事を受注できる環境が整っています。
そのため、我々ライターが営業を掛けていく中で最も重要となること、それは“文章だけで最大限に魅せる営業をする”ことに尽きます。
そして営業を掛けるうえで役立つものこそが「ポートフォリオ」です。
本記事では“ポートフォリオの制作が未経験”、“提案営業が通らない”とお悩みの初心者〜中級者ライターに向けて、「そもそもポートフォリオって何?」の説明から重要ポイントを徹底解剖して詳細に説明していきます。
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そもそもポートフォリオとは?
ポートフォリオとは、営業を掛けたいクライアントへ自身を売り込む際に提示する「自己情報」をまとめたもの。
具体的には、
- プロフィール
- 経歴
- 保有スキルや知識
- 成果物
などの詳細事項を集約した資料のことであり、ようするに”(ライターとしての)あなたの履歴書”というわけです。
ライティング業務を外注したいと考える企業にとって、ポートフォリオはあなたを選ぶ際の判断材料となり、あなたにとっては仕事獲得のための重要な足がかりとなります。
このポートフォリオには決まったフォーマットがないため、自由な設計で制作をすることが可能です。
仕事が取れないと悩む初心者ライターや、今より仕事の幅を広げたい中級ライターの方は最後まで熟読していただき、より反響あるポートフォリオを設計していきましょう。
ポートフォリオを作る意味・重要性について
クライアント獲得において、ポートフォリオを企業側に提示することはとても重要です。
なぜならば
営業を掛けにいく = 見ず知らずの相手に対して仕事をもらいにいく
ことになり、コンタクトを取る際は万全な体制で売り込みにいく必要があるからです。
例えばあなたが会社の従業員で、営業先に訪問するとします。
その時、あなたは“手ぶら”で向かいますか?
それとも「商品紹介のパンフレット」や「商品見本」や「会社情報の分かる資料」を持参して、”プレゼンできる体制を整えてから”向かいますか?
もちろん後者ですよね。何も持たぬまま口頭説明だけで営業に挑もうとする人は、まずいないでしょう。
コピーライターの営業活動にも同じことが言え、企業側はあなたのことを何も分からないままに仕事を振ろうとは思いません。
特にコピーライター業は、先述のとおり対面をしなくとも仕事受注が可能な職業です。
お互いの人柄や雰囲気が不明なまま業務委託契約を結ぶことは多々ありますので、
自身の文章 = 商品
ポートフォリオの雰囲気 = 人間性・誠実さ
が相手に伝わるように作成します。
スキルと能力の証明
スキルと能力の証明は、営業活動を行っていくうえで重要なことのひとつです。
ポートフォリオであなたの文章スキルと能力を存分に証明すれば、仕事が割り振られる可能性が各段に近づきます。
例えば、あなたが100を越える実績を持つ評価の高いライターだとします。
もしあなたが「私には100を超える実績があります」と言い放ったとしても、具体的な内容を示さなければそれらを証明することはできません。
その実績を詳細に伝えなければ、クライアントはあなたの裁量を測りかねてしまいます。
あなたの文章スキルと能力を提示して「価値あるライター」だと証明する必要があるのです。
実績の提示
過去の成果物を公開することで、あなたのライティングスキルがどの程度のものかが相手に伝わります。
しかし、ライティングの仕事には大まかなジャンル分けをしても多様にあり、更には記事ごとでテーマやコンセプトが変わるため、構成や文章スタイルもその時々で異なります。
- SEO
- LP
- キャッチコピー
- SNS投稿
- シナリオ
- 雑誌
- コラム
- 新聞
- 小冊子
- 小説
その作品の背景にある構成・文章スタイルの説明を加えることで、あなたの文章スキルをより一層示すことができます。
書き方としてはその記事の「解説」を加えるイメージで執筆すると良いでしょう。
また様々なジャンルの記事を提示できれば、仕事の幅が広いライターであるとの印象を持ってもらえます。
信頼の獲得と差別化
昨今、コピーライターへの転身者が増加しています。
令和2年の国勢調査において、国内のコピーライター人口は30,130人との統計が出ました。
以下は厚生労働省がコピーライターを就業形態別に分けた図で、中でも個人事業やフリーランスで働く人が圧倒的に多いことが分かります。
引用:厚生労働省| job tag
雇われ職員では味わえない、自由な働き方と人生を求めていることが伺い知れますね。
しかし見方を変えれば、
ライターが増える = 競合相手が増える
ことになるのです。
ネット社会の拡大によりライターの需要も増えてはいますが、特に初心者~中級ライターの個々の事情を掘り下げてみると・・・
- 高額案件は実績のあるライターに流れてしまう
- 提案しても他のライターが選ばれるのでビギナーから抜け出せない
- 文字単価を上げたいが、高くても2~3円止まりである
等々の悩みが出ています。
仕事があってもその殆どが、他のコピーライターと競合することになるシビアな世界。
そのため、私たちライターは企業への初回のコンタクトから興味や関心、信頼できる人物であると印象付けることが必須となります。
ポートフォリオは言わば「自由度の高い履歴書・経歴書」「己を現すプレゼン資料」です。
または「私はこういうものです」とうたう「はじめましての挨拶文」とも言えるでしょう。
ポートフォリオを駆使して競合相手との差別化を図ると同時に、信頼できるライターであることを印象づけることが何より重要なのです。
ポートフォリオ作成マニュアル【項目別】
ポートフォリオが営業活動においていかに重要であるかはご認識いただけましたか。
ここからは実際にポートフォリオの書き方を項目ごとで解説していきます。
ぜひご自身のポートフォリオ作りにお役立てください。
- 公開範囲と順序は自由に設計
- 「個人情報」はどこまで開示するかを慎重に決める
- クライアントが安心できる情報を開示
- “会ったこともない正体不明の取引相手”から、“会ったことはないけれど信用できそうだ”と思わせるポートフォリオを作る
目次
例えば、“ペンネームは分かるけれど経歴も素性も不明なライター”に対して「この人なら安心できそうだ、ライティングをお願いしてみようかな」とは誰しも思いません。
クライアントはあなたのことを“信頼して仕事を任せることのできる人物に値するか”を見極めようとしています。
そのため、あなたが公開してもいいと判断できる情報はできる限り載せましょう。
◆ 目次 ◆
1.自己紹介
2.スキルレベル
3.作品紹介
3-1.実績①_SEO
3-2.実績②_LP
3-3.実績③_SNS広告
3-4.実績④_インタビュー記事
4.自己PR
5.ライティングのご依頼・ご相談
<解説>
- 採番すると見やすい
- 各見出しは簡潔にする
自己紹介
読み手は“あなたと契約を結ぼうかと考える企業の採用担当やディレクター”です。
特に冒頭には「挨拶文」となるよう意識して作成しましょう。
名前(ペンネーム)
- 実名で活動していない場合はペンネームでも可
- 読み方に迷う漢字はルビ(読み仮名)をつけると、読み手の負担軽減になる
写真・イラスト
- 生年月日は非公開でも可
- 「年代のみ」公開するなど、どこまで情報を出すかは慎重に決める
職務経歴・社歴
- 過去に働いていた職種・役職・職務内容を記載
- 会社名を公開したくない場合は、業界名を書くと伝わる
特技・趣味
- 特技や趣味を書くことで、そのジャンルに精通していることを印象づける
<解説>
- そのほかでは【家族構成】【飼育しているペット】などを載せるライターもいる
スキルレベル
今やコピーライティングはパソコンやスマートフォンで仕事をすることが殆どです。
ライティングにあたっては、クライアントから指定されたツールを用いて納品することが多いため、操作可能なツールの使用歴や使用頻度を詳細に記載します。
使用可能ツール
- ライティングに役立つ使用可能なツールはすべて書く
▼使用可能ツールと使用歴
・Word:8年
・Excel:8年
・PowerPoint:8年
・Googleドキュメント:2年
・Googleスプレッドシート:2年
・Googleスライド:2年
・Wordpress:1年
★PowerPointやGoogleスライドを使用したグラフ作成・画像編集・図形描写も対応可能です。
<解説>
- 些細なきっかけで仕事が舞い込んでくることもあるため、自身の得意とする操作や対応可能範囲は極力記述する
作品紹介
過去の実績を紹介します。掲載作品数は10〜20案件は出せると良いでしょう。
秘密保持契約を結んでいる作品は、簡単な説明のみに留めて紹介します。
また難易度や企業の知名度に合わせて順当に記載するとより見やすいです。
作品タイトル・ジャンル
- 記事のタイトル名やSEOなどのジャンルを記載
制作年月日・制作時間
- 制作年月日と制作時間を記載すると、納期の目安になる
使用ソフト・アプリ
- 何のソフトやアプリを用いて作成したかを記載
作品の概要・ディスクリプション
- ターゲットやコンセプトなどを詳細に記述することで、その作品がどの程度作り込まれているかが分かる
作品の成果
- 記事を公開したことで得られた具体的な結果や効果を記述
作成時に注力したポイント・エピソード
- 制作過程でのエピソード・工夫をした点などを記載
- 書き方に迷う場合は「5W1H」や「起承転結」に当てはめて記述すると書きやすい
- Who(だれが)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- What(なにを)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
5W1Hは、あらゆるビジネスシーンで活躍するフレームワークです。
今回は「作成時に注力したポイント・エピソード」に用います。
例えば・・・
エピソードとして「物流に関するSEO記事を書いた時のこと」を伝えたい
のであれば、以下の①〜③の手順で書き起こしていきます。
①伝えたいことを箇条書きにする
- 私がこの記事の依頼を受けた時には物流の知識が無かった
- 依頼を受けてから、ニュース・書籍・インターネットで調べた
- 調べた内容は「物流費高騰の原因と物流事業の課題」について
- 高品質なSEO記事となるよう、ひたすらリサーチをした
②これを「5W1H」に当てはめると・・・
Who:私
When:依頼を受けた時
Where:物流の知識が無かった
What:物流に関するSEO記事の依頼を受けた
Why:高品質なSEO記事となるよう、物流についてのニュース・書籍・インターネットでリサーチした
How:「物流費高騰の原因と物流事業の課題」についてリサーチし、その内容を元に作成した
最終的に文章に起こすと・・・
私がこの記事の依頼を受けた時点では物流についての知識がなく、リサーチを一から行う必要がありました。
そこで物流に関するニュースや書籍、インターネットの情報源を活用して「物流費高騰の原因と物流事業の課題」についてリサーチを行いました。
その結果、読者に有益な情報を提供する高品質なSEO記事を執筆することができ、クライアント様から高評価をいただきました。
- 起(導入)物事のはじまりやきっかけ
- 承(展開):問題や状況の展開
- 転(変化):転換点
- 結(締め):結末
起承転結は、エピソードや物語を作成する際に用いられることの多い手法です。
上記の例を起承転結に当てはめてみると・・・
起:私がこの記事の依頼を受けた時点では物流についての知識がなく、
承:リサーチを一から行う必要がありました。
転:そこで物流に関するニュースや書籍、インターネットの情報源を活用して「物流費高騰の原因と
物流事業の課題」についてリサーチを行いました。
結:その結果、読者に有益な情報を提供する高品質なSEO記事を執筆することができ、
クライアント様から高評価をいただきました。
上記を踏まえたうえで、作品紹介の例を見てみましょう。
企業名 | マルバツ商事 様 |
作品タイトル | 【2023年】物流費高騰の原因と打開策、最新の未来予想 |
ジャンル | SEO記事 |
制作年月日 | 2023.1作成 |
制作時間 | 1週間 |
使用ソフト | WordPress、Googleスライド |
作品の概要 | ターゲット :物流事業を行う中小企業の経営者 訴求ポイント ・昨今の物流に関わる費用高騰の「原因」と「未来予想」を詳細に解説 ・打開策は【人件費を削らない立て直し方】 ・具体案として「脱エクセル、フローの最適化、生産性の向上」の3点とその必要性を伝える ・社内システムの導入を行う企業の紹介 |
成果 | サイトのアクセス数が5%上昇。関連記事の閲覧も2%伸びる結果となった。 |
作成時に注力したエピソード | 私がこの記事の依頼を受けた時点では物流についての知識がなく、リサーチを一から行う必要がありました。 そこで物流に関するニュースや書籍・インターネットの情報源を活用し、「物流費高騰の原因と物流事業の課題」についてリサーチを行うことに。 その結果、読者に有益な情報を提供する高品質なSEO記事を執筆することができました。 |
記事URL | https://www.xxx… |
<解説>
- クライアントと秘密保持契約を結んでいる場合は、上記のその他の実績のような形で紹介し、記事URLなどは貼らない
自己PR文
自己PR文は中でも自由度の高い項目ですが、特に人柄が伝わるエピソードや、企業との親和性を踏まえた内容を300~400字程度で記述します。
例として、田中ライターさんの自己PR文を見てみましょう。
私は会社員時代、主に不動産業界でBtoB・CtoBの顧客対応をしていました。特に印象に残っている仕事は、ハウスメーカーで働いていた時のことです。
住宅づくりは、土地探し~間取り決め~インテリアのご提案~住宅完成までをお客様と二人三脚で行い、考えを共有し、時には悩みながらも最善となる道をご提案する仕事です。
そして住宅の完成を間近で見届けることができ、お客様の喜ぶ笑顔を見られること、共に完成の喜びを分かち合えることは、私のキャリアの中でも特に素晴らしい経験として残りました。
コピーライターへの転職を決めた理由のひとつに、今まで培ってきた営業と接客のノウハウが生かせると確信したからです。
企業様の考える記事広告がより良いコピーとなるよう、最善を尽くしてご提案してまいります。
「こんな依頼してもいいのかな」「単価は高く設定できないけれど相談できるかな」などのお悩みも、まずはご相談ください!
企業様にとって「最善となるご提案」を共に考えさせていただきます。
<解説>
- 例では過去のストーリーを交え、コピーライターへの意気込みが伝わる文章となっている
- 「共感を得られる」ストーリーを盛り込むと良い
連絡先
連絡先は仕事用と私用とで必ず分けて使用し、ポートフォリオには仕事用を載せましょう。
メールアドレス
- フリーメール(Gmail、Yahoo!メール、Outlook.comなど)を仕事用に取得するのが好ましい
- 携帯キャリアのメールアドレス(docomo.ne.jp、softbank.ne.jp、au.comなど)は、一般的な傾向として“受信したメールが迷惑メールフォルダに振り分けられる”可能性がある
- 携帯キャリアのメールアドレスを使用する場合は、受信メールのフィルタリング設定を変更することで、迷惑メールフォルダへの振り分けをカスタマイズすることも可能
SNS
- 仕事用アカウントの「アカウント名」や「リンク」を記載し、SNS内のダイレクトメッセージでやり取りをする方法
- Twitterなどの投稿型SNSは、必ず更新している生きたアカウントを掲示し、日頃使用していないアカウントは貼らない
連絡手段となる主なSNSアカウント
・X(旧Twitter)
・Instagram
・Facebook
・LINE
<解説>
- ボタンアイコンにすると、注意を引きやすい
- ボタンの配色は「明るい色」や「淡い色」などで統一すると、まとまりが良く見える
- SNSアイコンは、SNS公式ページからアイコン画像を取得することも可能。使用時には利用規約を必ず確認する
- 自分で作成する場合は、PowerPointやGoogleスライドなどで「図形」素材を使い作ることができる
ポートフォリオを魅力的に感じてもらうためのテクニック3選
ポートフォリオの大まかな作成はご理解いただけたかと思います。
ここでは他のライターとの差別化を図り、あなたのことを魅力的に感じてもらうためのテクニックを3つご紹介します。
ラブレター
ポートフォリオは一種の「ラブレター」とも言えます。
あなたがライティングの仕事に向き合う姿勢は、不思議とポートフォリオの文章だけで伝わるものです。
ただ文字を羅列するのではなく、いかに相手に刺さる文章が書けるかに尽きるのです。
「たったひとりの相手にラブレターを送る」ような気持ちで書いてください。
簡潔で分かりやすく
ただ長文を書き連ねるだけでは、読み手は目で文字を追うことが億劫となり、せっかく作成したポートフォリオも最後まで読んでもらえなくなってしまいます。
そのためどの文章においても「完結で分かりやすく・読みやすい」文章であることを心がけます。
- 「語尾」を変える →「~です。」の次は「~ます。」で終わるように変えると、ストレスなく読み進めることができる
- ひとつの文章ごとで完結させる → 次を読まないと話の流れが分からない文章は、読み手にストレスを与える
- 箇条書きや枠組みの使用 →長文ですべてを説明するより、箇条書きなどを利用して視覚的に負担のかからない構成にする
安心材料を盛り込む
ライターを探す企業が「この人に仕事を頼めば安心して任せられそうだ」と思わせる文言を入れる、それこそが企業側にとっての「安心材料」となります。
悲しいことに、ライターの中には音信不通となって仕事を投げ出してしまう人も多いため、企業は“トラブルを起こさないビジネスマナーの分かる取引相手”を探しているのです。
- プロ講師によるマンツーマンの相談サポートつき!
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- ライターの実情を紐解く『講義動画(全4本)』
- 約14日間の完全無料トライアル
- 参加人数6万人超え ※2024年8月23日現在〜
まとめ:ポートフォリオは名刺以上の価値がある
今回はポートフォリオの重要性と書き方についてご紹介しました。
私たちコピーライターにとって必要不可欠であることは間違いないですが、企業側にとっても良きライターを探すために必要な判断材料となっています。
まだ実績の少ない初心者ライターの方でも大丈夫です。
今までの経歴や経験したこと、得意分野をどんどんアピールしていきましょう。
それに実績が少なくとも、“たったひとつの実績”や“今までの経歴”だけでも仕事が取れることもあるのです。
ポートフォリオは、プロアマ問わず欠かせない営業の要となる必需品です。
今より更にステップアップする為に、より良い未来を過ごすために、あきらめずにぜひポートフォリオの作成・見直しを行ってみてください。