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nozomiママ×コピーライター

昨年、インボイス制度が始まりましたが、この記事を読んでいる方の中には、

「そもそもインボイス制度ってなに?」
「フリーランスライターに影響はあるの?」
「インボイス制度って登録するべきなの?」

など、まだまだインボイス制度について理解できていない方もいるのではないでしょうか?

そこでこの記事では、インボイス制度に登録しているフリーランスライターの筆者が、インボイス制度の内容やフリーランスライターへの影響などについて詳しく紹介していきます。

インボイス制度に登録しようか迷っているフリーランスライターの方は、是非ご確認ください!

そもそもインボイス制度とは?

インボイス制度の内容自体を理解できていないと、フリーランスライターへの影響や登録有無の判断などが難しいと思いますので、インボイス制度の内容を簡単に説明していきます。

Point

・インボイス制度は「正確な消費税を納めるための制度」
・インボイス制度の導入は「混在する税率の把握」
・インボイス制度の登録件数は「約427万件」
・インボイス制度の影響を受ける者は「フリーランス(個人事業主)を含む事業者全員」
・インボイス制度の対応方法は「課税事業者」と「免税事業者」で異なる

インボイス制度は「正確な消費税を納めるための制度」

インボイス制度について国税庁は、以下のように説明しています。

売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

インボイス制度とは、

<売手側>
 売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
<買手側>
 買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。”

(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

インボイス制度の概要|国税庁

これでは難しいと思うので、この内容をもっと噛み砕いて説明すると、

「これから、正しく消費税を納税してもらうことにしたから、事業者は取引先から正確な消費税が記載されている書類(インボイス1)を受け取り保存しましょう!この公正な取引とインボイスの保存ができている登録事業者のみ仕入れにかかった消費税を今まで通り控除しますね!」ということになります。

要するに、正しく消費税を納めるためにできた公正な取引ルール=「正確な消費税を納めるための制度」をインボイス制度と言います。

1 インボイス:適格請求書。インボイス制度の登録手続きをしないとインボイスを発行することはできません。

インボイス制度の導入背景

前途で説明したインボイス制度は、なぜ導入されることになったのかその背景について説明していきます。

令和元年10月に消費税率が引き上げられたことで、消費税率が8%のものと10%のものと混在するようになり「どの商品・サービスが消費税率8%?10%?」と把握することが困難になってしまいました。

把握が困難になったことで、不正やミスの発生が生じるようになり、正しく税金を納めている事業者が不利になってしまう状況も考えられるように。。。

そこで、インボイス制度を導入し「正しい消費税率で公正な取引をしましょう!」ということになったのです。

参考:令和5年10月からインボイス制度が開始! 事業者間でやり取りされる「消費税」が記載された請求書等の制度です | 政府広報オンライン

インボイス制度の登録件数

令和5年10月1日から始まったインボイス制度ですが、どのくらいの事業者が登録しているのかと言うと、令和5年12月末時点での登録件数は約427万件にもなっており、多くの法人やフリーランス(個人事業主)が登録している状況と言えます。

インボイス登録件数の推移|国税庁

グラフを見てもわかるように、登録件数は増加傾向にあるため、今後もインボイス制度に登録する事業者は増え続けていく可能性が高いと考えられるでしょう。

インボイス制度の影響を受ける対象者

現在多くの事業者が登録しているインボイス制度ですが、どのような職業の人が影響を受けるのでしょうか?

この疑問の答えは「フリーランス(個人事業主)を含む事業者全員」となります。

「え?誰かに報酬を支払わないフリーランスは、消費税の控除とか関係ないでしょ!」

と、このように感じた方もいるかと思います。たしかに外部へ仕事の依頼をしないフリーランスは仕入れの消費税が発生しないため”仕入れで支払った消費税の控除をされるか”どうかに関しては影響がないです。

しかし、フリーランスへ仕事を依頼する事業者は、インボイス制度に登録済みのフリーランスでないと消費税の控除を受けることができません。

そうなると、インボイス制度に登録済みのフリーランスにだけ依頼する事業者も増えてくる可能性があるため、インボイス制度は、仕事をする「フリーランス(個人事業主)を含む事業者全員」に影響があると言えるのです。

「そこまで売上ないし関係ないと思ってた…」
「フリーランスになったばかりだしすぐに登録しなくてもなんとかなると思ってた…」

もしも、このように思っている方がいたら本記事を読み進めてみてくださいね。

【豆知識】課税事業者と免税事業者の違い

インボイス制度について調べ、「課税事業者・免税事業者」という言葉が出てくるのを見たことがある方もいるのではないでしょうか?

課税事業者と免税事業者では、消費税に対する対応の違いがあるので、説明していきます。

  事業者           特徴
課税事業者・課税売上高が1,000万円を超えている事業者
・インボイス制度に登録しているが、課税売上高が1,000万円以下の事業者
・消費税を納税する義務がある
免税事業者・課税売上高が1,000万円以下の事業者
・納税義務が免除されている

課税事業者とは、消費税を納める義務のある事業者のことです。

この消費税を納める義務がある課税事業者は、

・課税売上高が1,000万円を超える課税事業者
・課税売上高が1,000万円を超えていない課税事業者

の2パターンの課税事業者が存在します。

「課税売上高が1,000万円を超える課税事業者」は、消費税を申告・納税する義務があるためインボイス制度に速やかに登録する必要があります。

「課税売上高が1,000万円を超えていない課税事業者」は、もともと課税売上高が1,000万円を超えていないけれど、スムーズな取引をするためなどを理由にインボイス制度に登録して課税事業者となった事業者のことです。

後者の課税事業者になるためには、課税事業者として申告しインボイス制度に登録する必要があります。インボイス制度の登録方法は『コピーライター・Webライターがインボイス登録する方法“>コピーライター・Webライターがインボイス登録する方法』で詳しく説明します。

対して、免税事業者ですが、消費税の納税義務が免除されている事業者のことを指し、課税売上高が1,000万円以下の事業者です。

免税事業者なのでもちろん納税義務はありませんが、今後の仕事に大きく影響するおそれがあるため、免税事業者であっても課税事業者になるかの判断をする必要があります。

参考:インボイス制度とは|国税庁

インボイス制度がコピーライター・Webライターにもたらす影響 

インボイス制度の内容について説明してきましたが、インボイス制度の導入によりフリーランスのコピーライター・Webライターにはどのような影響があるのでしょうか?

筆者と同じようなフリーランスライターの方は、今後の受注状況にも関わってくる内容ですので、是非ご確認くださいね。

Point
  • 信頼性に関わる可能性がある
  • 収入や文字単価2が減る可能性がある
  • 新規案件の獲得が困難になる可能性がある
  • クライアントの都合で案件継続できなくなる可能性がある
  • インボイス制度に登録をしているライターが優遇される可能性がある

それでは、1つ1つ確認していきましょう。

2 文字単価:1文字に対する単価。例)1文字1円の場合、1,000文字執筆すると1,000円。1文字2円の場合、1,000文字執筆すると2,000円。

信頼性に関わる可能性がある

これに関してはかなり抽象的な考えになってしまうのですが、クライアント3にとってインボイス制度に登録をしているフリーランスライターは、

インボイス制度を理解した上で登録(常にアンテナを貼っている)=「しっかりしているライター

という印象を持ってもらえる可能性があります。

実際に、フリーランスライターの筆者もクライアントにインボイス制度の登録有無を必ず確認されるのですが、登録していることを伝えると「良かったです!」「安心しました!」と言われたことも。

これと比較して、インボイス制度に登録をしていないライターは、

なぜ登録していないんだろう?公正なやりとりができるかな?=「依頼することが不安になるライター」

と判断されることもあるかもしれません。

インボイス制度に登録しているフリーランスライターが増えれば増えるほど、信頼性と直結させるクライアントがどんどん出てくる可能性が考えられます。

3 クライアント:依頼者・顧客・取引先などの意味を指す。

収入や文字単価が減る可能性がある

インボイス制度に登録していないと、収入や文字単価に影響が出る可能性があります。。

例えば、クライアントがインボイス制度登録済みのフリーランスライターに記事執筆を依頼した場合は、インボイス(正確な消費税を記載した書類)を受け取り、保存することで支払った消費税の控除を受けることができます。

しかし、インボイス制度に未登録のフリーランスライターに記事執筆の依頼をした時は、消費税の控除が受けられない4ため、

・消費税の値引き
・文字単価の値引き
・月間対応本数の減少

などの対応をされる可能性も考えられ、結果的に収入が減ってしまうかもしれません。

4 免税事業者からインボイス発行事業者となった場合、インボイス制度開始後、6年間は一定割合を控除できる。

参考:インボイス制度が始まります!|国税庁

新規案件の取得が困難になる可能性がある

クライアントは、インボイス制度に登録をしているフリーランスライターなのか確認した上で、依頼するか判断している可能性があるため、インボイス制度に登録していないと新規案件の獲得が困難になることが予想されます。

その理由をフリーランスライターが一度は利用したことがあると思われる、クラウドソーシングサイト5を例に挙げて説明します。

クライアントが、クラウドソーシングサイトを介して仕事を依頼する場合、必ずと言っていいほどフリーランスライター(受注者)のプロフィールを確認してどのフリーランスライターに依頼するか決定します。

このクライアントが必ず確認するプロフィールですが、インボイス制度導入後に、インボイス制度の登録事業者かどうかのチェックマークが設置されるようになったのです。

ランサーズ

つまり、各クライアントは、フリーランスライターがインボイス制度に登録しているかもあわせて確認し依頼するかの判断をしていると言えるでしょう。

そのため、消費税の控除が可能な「インボイス制度登録済みのフリーランスライター」がどうしても選ばれがちになってしまいます。

つまり、インボイス制度の登録有無で新規案件の獲得率が左右される可能性があるのです。

5クラウドソーシングサイト:仕事を依頼したい企業・個人と仕事を受注したい企業・個人を繋ぐサイト。応募や提案をして仕事を受注・発注する。代表的なクラウドソーシングサイトは、ランサーズ・クラウドワークス・ココナラ。

クライアントの都合で案件継続できなくなる可能性がある

何度もお伝えしているように仕入れにかかった消費税の控除は、クライアントの経営に大きく影響します。

そのため、インボイス制度未登録のフリーランスライターと取り引きをやめる方針が決定した場合は、継続案件が打ち切られる可能性があるでしょう。

また、クライアントが新しいフリーランスライターを見つけた場合、インボイス制度未登録のフリーランスライターとの取り引きをやめてインボイス制度登録済みのフリーランスライターに依頼することも考えられます

「新規案件が無理でも継続案件があるから大丈夫!」と思っていても、クライアントの判断次第で継続できなくなる場合もあるため注意が必要です。

インボイス制度に登録をしているライターが優遇される可能性がある

ここまで様々なインボイス制度における影響についてお伝えしてきたので、すでに理解している方も多いと思いますが「インボイス制度登録済みのフリーランスライター」と「インボイス制度未登録のフリーランスライター」を比較した時、

”インボイス制度登録済みのフリーランスライター

が優遇される可能性が高いと想像できるのではないでしょうか。

そのため、インボイス制度未登録のフリーランスライターは、新規案件や継続案件、信頼性を失ってしまうかもしれません。

インボイス制度に登録をしない場合は、このような問題が発生する可能性が高いということを理解しておきましょう。

フリーランスライターはインボイス制度に登録するべき?

インボイス制度が導入されてからフリーランスコピーライター・Webライターは、前途のような影響と向き合っていかなくてはいけません。。。

そうなると結局、フリーランスライターはインボイス制度に登録するべきなのでしょうか?

この問いに対して結論から回答すると、

「フリーランスライターはインボイス制度に登録するべきと言えるでしょう。

「今まで免税事業者(課税売上高が1,000万円以下の事業者)だったのに!登録していないだけで不利になるなんておかしい!」そう感じる方もいると思います。

筆者も同じように思っていましたが、インボイス制度に登録したことで数多くのメリットもあったので、結果としてインボイス制度に登録して良かったと感じています。

そこでここからは、インボイス制度に登録したフリーランスライターの目線からインボイス制度に登録すべき理由を5つ紹介していきます。

Point
  • 心配ごとなく仕事ができる
  • 値引き交渉をされない
  • 新規案件獲得や単価交渉がうまくいく
  • 継続的に仕事を受注できる
  • 結局仕事が受注できずインボイス制度に登録するライターがいる

それでは、1つ1つ確認していきましょう。

心配ごとなく仕事ができる

インボイス制度に未登録のままだと、

「いつ契約を終了されるんだろう?」
「仕事を受注できるだろうか?」
「インボイス制度に登録しなくていいのかな?」

このような悩みや不安をずっと抱えて仕事することになってしまいますが、インボイス制度に登録したことで心配ごとが軽減されストレスなく稼働することができています

ただでさえフリーランスという職業は、収入が安定しているわけではないので、確実に解消できる不安から1つ1つ取り除くことが大切だと考えます。

値引き交渉をされない

インボイス制度に登録しているフリーランスライターに仕事を依頼すれば、クライアントは消費税の控除を受けることができるので、消費税の値引きや文字単価を下げるなど値引き交渉をされることはありません。

値引きによって収入が減ることもないため、安心して仕事をすることが可能です。

新規案件獲得や単価交渉がうまくいく

インボイス制度に未登録のフリーランスライターと比較すると、インボイス制度に登録済みのフリーランスライターに仕事を依頼する方がクライアントにとってもメリットがあり、新規案件の獲得がしやすいと考えられます。

また、クライアントと「円滑なやりとりをする・仕事を丁寧にこなす・NG行動をしない」ということが前提ですが、インボイス制度に未登録のフリーランスライターはまだまだいるため、インボイス制度に登録していることで存在価値が高くなり、単価交渉も比較的スムーズに対応してもらえるかもしれません。

コピーライターのNG行動について確認したい方は、こちらの記事で詳しく紹介しているのであわせて確認してください。

継続的に仕事を受注できる

クライアントが継続的に仕事を依頼する条件として、当たり前ですが自社に不利益がないということが挙げられるでしょう。

この不利益というのは、コピペや虚偽による法的問題やブランドのイメージダウン、利益低下などが考えられます。

インボイス制度に登録済みのフリーランスライターは、利益低下の部分に関して問題がなく依頼できるため、継続的に仕事を受注できるのです。

結局仕事が受注できずインボイス制度に登録するライターがいる

SNS等で、インボイス制度に未登録のフリーランスライターが、

「インボイス制度は、免税事業者だから関係ないと思っていたら関係あるじゃん…」
「クライアントにインボイス制度の登録有無を必ず聞かれて、登録してないと答えるのか気まずい…」
「新規案件が全然獲得できない!インボイス制度に登録してないせいかな…」

などの発信をよく目にするようになり、結局インボイス制度に登録することにしたフリーランスライターが多くいます。

インボイス制度に登録していたら、獲得できていた新規案件や継続できていた案件があるかもしれません。

今一度、お伝えしてきた内容を確認し、インボイス制度に登録するべきかどうかしっかりと判断しましょう。

コピーライター・Webライターがインボイス登録する方法

フリーランスのコピーライター・Webライターは、以下の3つのステップを踏めばインボイス登録ができます。

それでは、確認していきましょう。

①書類の作成

申請書の作成方法は「e-Taxソフト(WEB版・SP版6)」と「書面」の2種類があります。

事前準備として、以下を用意しておきましょう。

・電子証明書(マイナンバーカード等)
・利用者識別番号等7
・e-Taxソフトの環境整備

書面の場合は、申請書をダウンロードする必要がありますが、e-Taxソフト(WEB版・SP版)の場合は、PC・スマホ上で必要な項目に入力すれば完了できるで手間なく簡単にできます。

e-Taxソフト(WEB版)の申請書作成マニュアル
適格請求書発行事業者の登録申請書

6 WEB版:PC(パソコン)。SP版:スマートフォン。
※7 利用者識別番号:e-Taxソフト(WEB版・SP版)で取得することも可能

②納税署へ提出

申請書の提出方法は、e-Taxソフト使用の方は「e-Taxソフト」にて提出し、作成した書面を郵送したい方は「納税地を管轄するインボイス登録センター」に提出します。

郵送による提出先は、以下の案内を確認しましょう。

③インボイス登録番号の確認

登録・提出完了後、約1ヶ月(書面の場合は1.5ヶ月)にインボイス登録番号が発行されます。

インボイス登録番号の確認方法は、以下の4つです。

インボイス登録番号の確認方法
PC(パソコン)受付システムから確認e-Taxソフト(WEB版)から確認
スマートフォンe-Taxソフト(SP版)から確認
書面登録通知データから確認

国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」から登録番号を検索することもできます。

参考:申請手続|国税庁

フリーランスライターはインボイス制度への登録がおすすめ!

この記事では、インボイス制度の内容やフリーランスライターへの影響などについて詳しく紹介してきました。

インボイス制度が導入されてから数ヶ月経ちましたが、

「免税事業者だし大丈夫!」
「インボイス制度って法人だけ?私には関係ないよね?」
「なんのことかよくわからないから一旦待とう…」

と思っていた方は、今回の記事を読み、インボイス制度に登録しないと新規案件や継続案件の獲得が困難になり結果的に収入が減ってしまう可能性があるというこの状況に、衝撃を感じているのではないでしょうか。。。

ただ、インボイス制度に登録すれば問題や心配なく仕事をスムーズ受注することができ、クライアントからの信頼向上や良好な関係に繋がる可能性が高いと言えます。

フリーランスライター(免税事業者)にとって重要なインボイス制度。登録するかしないかは自由ですが、この記事を参考に今後の仕事の状況などを考え判断してくださいね。

この記事を書いたライター
0歳児育児中に「Online ApC Academy」でコピーライティングを習得。フリーランスとして活動開始。『丁寧・迅速・心を込めて』をモットーにライティングスキルに磨きをかけている。
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