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ひがえり小さな店舗のお助けライター

『おいしさそのまま、カロリー50%オフ!』

あなたは、こうしたキャッチコピーに惹かれて思わず商品を買ってしまった経験はありませんか?

実をいうと、このフレーズには「修辞法(レトリック)」のテクニックが隠されています

普段は意識せずに目にしているこうした表現ですが、ちょっとした工夫であなたの書く文章にも応用できるのです。

例えば「こちらの商品は美味しいケーキです」よりも「口どけなめらか、幸せの一口」と書いたほうが、グッと印象に残るという方が多くいらっしゃいます。

そんな「言葉の力」を最大限に引き出すのが修辞法の魅力。

本記事では、初心者でも簡単に使える修辞法の種類や使い方を、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

記事の最後にはさまざまな修辞法の種類と意味を一覧表にまとめました。

ごく短い例文と共にまとめていつでも見やすいようにしていますので、修辞法について振り返りたいときは是非参考にしてください。

さあ、あなたも修辞法の使い方を覚えて、文章が変わる第一歩を踏み出しましょう!

修辞法(レトリック)の基礎知識

まずは「そもそも修辞法って何なの?」と思う方のために、修辞法の基礎知識からお伝えしていきます。

修辞法の存在意義や歴史的背景、表現技法との違いを明らかにすることで、修辞法についての理解が深まります。

修辞法について基礎からしっかり学びたい方は、是非読んで知識を深めてください。

修辞法とは?

修辞法とは、文章に工夫を加え、伝えたい内容をより印象的に伝えるためのテクニックのこと。
かんたんに言うと、言葉のスパイスのようなものです。

感情を豊かに表現したり、文章のリズムを整えたりすることで、読む人の心に響く効果を生み出します。

例えば「今日は楽しい」と伝えるよりも「今日は楽しくて、心が踊るようだ」と表現すれば、その楽しさがより伝わりやすくなりますよね。

修辞法を使うことであなたの文章がより魅力的になり、伝えたいことが相手の心に深く届くようになるのです。

修辞法の歴史

修辞法の歴史は古く、言葉による議論や説得が盛んだった古代ギリシャ時代に生まれました。

現代にも名を残す”アリストテレス”のような哲学者や政治家が、分かりやすく意見を伝え、説得を有利に進めるためのテクニックとして使われていたのです。

その後、修辞法はローマに伝わり、ヨーロッパ全体で発展し、文学やスピーチなど幅広い分野で使われるようになりました。

現代では、広告や文章を書く際にも修辞法は活用され、私たちの表現をより魅力的にしてくれています。

歴史をたどると、修辞法は古代から今に至るまで、言葉の力を引き出す重要な技術であることがわかりますね。

修辞法と表現技法の違い

修辞法と表現技法には似ている点もありますが、実は目的が少し異なります。

修辞法の目的は、聞き手や読み手の注意を引きつけ、感情を動かし、メッセージをより説得力のあるものにすること

言葉に工夫を加えて、伝えたいことをより強く、印象的に伝えるための技術です。

一方、表現技法の目的は、書き手の意図やメッセージを効果的に伝えること
文章の読みやすさや流れを良くするためにも使われます。

つまり表現技法は、文章全体の雰囲気やスタイルを決めるための工夫であり、文章や言葉をどのように構成し、どのように伝えるかという技術です。

具体的な例で言えば…

「強調」や「対比」など、言葉の使い方を工夫するのが修辞法

「文体」や「トーン」など、文章全体の空気を作り上げるのが表現技法

つまり『修辞法』とは、書き手のメッセージを正確に、より効果的に伝えるための手段の1つであると考えると、両者の違いが分かるのではないでしょうか。

修辞法の種類と読み方

修辞法の基礎知識を手に入れたところで、ここからは具体的な修辞法の種類についてわかりやすく解説していきます。

難しい漢字が多いので、読み方と合わせて覚えていきましょう!

比喩:ひゆ

比喩とは、ある物事を他の物事にたとえて表現する技法です。

例えば「彼は心が冷たい」と言うよりも「彼は心が氷のように冷たい」と言ったほうが、読者にわかりやすくイメージを伝えることができ、より印象的になります。

この例文では『冷たい彼の心』を、同じく冷たい『氷』にたとえていますが、これが『比喩』と言われる修辞法の1つです。

『比喩』の中には『直喩・隠喩・換喩・提喩』という一般的によく使われる4つの種類があります。
例文と共に詳しく見てみましょう。

直喩:ちょくゆ

「ような」「みたいな」などを使い、直接何かにたとえる修辞技法です。

【例文】

彼女は猫のようにベッドで丸くなっている

『ベッドで丸くなっている彼女』を『猫のように』という言葉で補い、読んだ人がイメージしやすいように表現しています。

隠喩:いんゆ

「ような」「みたいな」を使わず、暗にたとえる修辞技法です。

【例文】

そのカレーを口に入れた瞬間、口から火を吹いた

『口から火を吹きそうなほどに辛かった』ことを、「ような」「みたいな」といった直接的な言葉を使わず、暗にたとえています。

換喩:かんゆ

あるものを関連する別のものに置き換えて表現する技法です。

【例文】

それでは、この辺りでペンを置きます

手紙や本の最後で『執筆を終える』ことを『ペンを置く』や『筆を置く』といった言葉に置き換えて表現しています。

提喩:ていゆ

全体を部分で表したり、部分で全体を表す技法です。

【例文】

明日、私とお茶しない?

『お茶を飲みながらおしゃべりをする』『直接会って話をする』という行動のことを『お茶する』という部分的な言葉のみで表現しています。

『提喩』という言葉を知らなかったとしても「これなら日常的によく使ってるな・・・」と感じられた方も多いのではないでしょうか?

日常生活の中で多用されるこれらの比喩についてもっと知りたい方は、より詳しく解説した記事も参考にしてみてください。

擬人法:ぎじんほう

擬人法とは、人ではないものをあたかも人であるかのように表現する技法です。

例えば「風がささやく」という表現ならば、強風というよりもそよそよと吹く優しい風のイメージが思い浮かぶでしょう。

擬人法を使うことで、読者に生き生きとしたイメージを伝えやすくなり、文章に感情や動きを持たせることができるのです。

【例文】

私の帰り道を、月が優しく見守っていた

擬人法についても、より詳しく解説した記事がありますので参考にしてください。

擬態法:ぎたいほう

擬態法とは、物事の様子や動きを言葉で表現する技法です。

例えば「すらすら書ける」の「すらすら」は擬態語であり、音がない様子や動きを表現するときに使います。

また「犬がわんわん吠える」の「わんわん」のように、人や動物の声を模倣した言葉が擬声語

「雷がゴロゴロなる」の「ゴロゴロ」のように、音を模倣した言葉が擬音語です。

こういった擬態法を使うことで、読んだ人の目に状況が浮かぶような、生き生きとした表現が可能になるのです。

【例文】

もこもこもこっとタケノコが頭を出し、地面を持ち上げた

擬態語、擬声語、擬音語を総称して「オノマトペ」と言いますが、これについて詳しく解説した記事もありますので、もっと知りたい方は参考にしてください。

誇張法:こちょうほう

誇張法とは、物事をわざと大げさに表現して、伝えたい内容を強調する技法です。

例えば「もう100回は言ったでしょ」や「今日は山ほど宿題がある」という表現は、実際には100回も言っていなかったり、山ほどの量ではなかったりします。

しかし、誇張することでインパクトが生まれ、聞き手や読み手に強く伝わる効果があります

誇張法は、内容を強く印象づけたいときや、面白く伝えたいときに使える便利な技術なので、日常会話や広告でもよく使われています。

【例文】

椅子から飛び上がるほど驚いたよ

体言止め:たいげんどめ

体言止めとは、文章の最後を名詞で終える技法です。

例えば「母の笑顔を久々に見た」という文章の順番を入れ替え「久々に見た。母の笑顔」と名詞で終えることで、読者に余韻を残したり、強く印象づけたりする効果があります。

体言止めを使うと、言葉が簡潔になりつつ、強調したい内容をぐっと引き立てることができるため、広告コピーやキャッチフレーズ、エッセイなどでよく使われるテクニックでもあります。

【例文】

白い雪の中に残された、真っ赤な血痕

反語法:はんごほう

反語法とは、本来の意図とは反対の表現を使って、言いたいことを強調する技法です。

簡単に言うと「わざと逆のことを言って伝える」方法であるとも言えます。

反語法は、読者の意表をつき、皮肉やユーモアを交えて伝えたいときにも効果的

例えば、友人が難しい問題に苦戦しているときに「簡単そうだね」と言うことで、その問題がとても難しいことを強調できます。

あえて逆の表現を使うことで、真意を強く印象づけられる反語法は、広告やスピーチなどでインパクトを与える際に活用される修辞法のひとつです。

【例文】

やれやれ。運動会には最高の天気だね(実際は大雨)

列挙法:れっきょほう

列挙法とは、関連する言葉や事柄を並べることで、内容をわかりやすく伝えたり、強調したりする技法です。

例えば「悲しみ、怒り、絶望、そして・・・希望」といったように、似た意味や反対の意味をもつ言葉を次々と並べることで、感情の変化やシーンの広がりを表現できます。

列挙法は、文章にリズムを持たせたり、伝えたい内容を強調するための効果的なテクニックなので、広告やプレゼンテーションなど、注意を引きたい場面で活用されることが多いです。

【例文】

母は怒りのあまり次々に物を投げつけた。時計、財布、バッグ、口紅、そして一度も外したことがなかった結婚指輪まで・・。

緩叙法:かんじょほう

緩叙法とは、直接的に言わず、わざと遠回しな表現を使うことで、逆に強調したり印象を深めたりする技法です。

例えば「あの弁当は、悪くなかったね」という表現では、実際には「とても良かった」というニュアンスを持っています。

こうすることで、控えめな表現の中に強い意味や感情を込めることができるのです。
(一見すると上から目線にも感じられる表現なので注意が必要ですが…笑)

緩叙法は、場面によって柔らかく伝えたいときや、相手への配慮を見せつつもインパクトを与えたいときに使えるテクニック

直接的な表現よりも、含みのある表現で読む人の心に響かせたいときに効果的です。

【例文】

このパソコンだって、私にとって安くはない買い物だったのだ

反復法:はんぷくほう

反復法とは、同じ言葉やフレーズを繰り返すことで、内容を強調したり、印象を深めたりする技法です。

例えば「暑い、暑い、暑い。肌が焦げ付くような暑さだ」といったように、同じ言葉を繰り返すことで文章にリズムを作り出し、読者の心に強く残る効果を生み出します。

特に重要なメッセージを伝えたいときや、感情の高まりを強調したいときに使うと効果的なので、詩やスピーチ、キャッチコピーなどの文章で多く使われる表現方法だと言えるでしょう。

【例文】

私はこの一件について、調べて、調べて、調べ尽くしたうえで申し上げているのです

対句法:ついくほう

対句法とは、対になる言葉やフレーズを並べることで、内容を対比させたり、リズムを生み出したりする技法です。

例えば「勝者がいれば、敗者もいる」というように、正反対の意味や構造を持つ言葉を対にして使います。

文章にメリハリが生まれ、リズムを整えることで読みやすさやテンポが生まれるので、伝えたいメッセージを強く印象づけることができるのです。

対句法は、感情を伝えるスピーチや詩、キャッチコピーなどで効果的に使われる表現方法。

読む人の心に鮮明なイメージを残すことができます。

【例文】

喜びが大きいほど、悲しみもまた深く刻まれる

省略法:しょうりゃくほう

省略法とは、文章の一部をあえて省略することで表現を簡潔にし、余韻や想像を引き出す技法です。

例えば「明日は、来る」のように、内容の詳細を省くことで「何が来るんだろう?」と読み手に考えさせ、想像力をかきたてる効果があります。

あえて言葉を省き、シンプルな表現の中に深みや強調を持たせているのです。

また、言いたいことをコンパクトにまとめられるため、文章にリズムが生まれ、読者に印象を残しやすくなります。

省略法は、感情を強調したいときや、読み手に余白を残して考えさせたいときに使われる便利なテクニックだと言えるでしょう。

【例文】

大雨の中、彼は必死で駅へと走った。しかし彼女はもう・・・。

頓呼法:とんこほう

頓呼法とは、文中で突然誰かに呼びかけたり、物に語りかけたりする技法です。

例えば「おぉ、神よ。何もかも私が間違っていたとでも言うのか」といったように、急に対象に語りかけることで感情の高ぶりを表現したり、場面を強調したりします。

頓呼法は、詩やスピーチなどで情景を生き生きと描きたいときや、強い感情を表現したいときに効果的

対象に直接呼びかけることで、読者の心に響く印象深い文章を作ることができるのです。

【例文】

あぁ、広大な海よ。いっそこのまま、私と愛する息子を連れ去っておくれ

修辞法の実践的な使い方と例文

歴史を紐解けば古代ギリシャ時代から使われてきた修辞法ですが、現代の生活ではどのように活かされているか意識したことはありますか?

CMのキャッチコピーはもちろん、小説やエッセイ、詩などの文学作品といった身近なところでも修辞法は使われています。

身近にある修辞法に目を向け、自分で気付けるようになれば、あなた自身の文章にもきっと役立てられるようになるでしょう。

このセクションでは日常生活で目にする修辞法の例文を見ながら、実践的な修辞法の使い方を学んでいきましょう。

キャッチコピーで使われている例

まずは誰もがポスターやテレビCMで目にしたことがある有名なキャッチコピーから、実際に使われている修辞法に注目しながらご紹介していきましょう。

そうだ 京都、行こう(東海旅客鉄道)

突然思い立ったような「そうだ 京都、行こう」という呼びかけ。

自分自身のつぶやきのようでもあり、誰かに語りかけているようでもあるこちらのキャッチコピーでは、頓呼法が使われています。

読者がその呼びかけに引き込まれることで、まるで自分が「京都へ行こう」と言われているかのような臨場感が生まれる秀逸な作品です。

やめられない、とまらない(カルビー かっぱえびせん)

かっぱえびせんを見ると誰もが思い浮かんでしまうほど、人の心に残るキャッチコピー。

同じ形式の言葉『やめられない』と『とまらない』を並べることによって良いリズムが生まれ、聞いた人の記憶に残りやすくしています。


『やめられない』と 『とまらない』は、似た意味を持つ言葉の繰り返しであり、反復法の一種といえるでしょう。

心地よいリズムと分かりやすい言葉で、商品の中毒性を見事に強調していますよね。

生きろ。(もののけ姫)

言わずとしれた、映画『もののけ姫』のキャッチコピー。

これほど人々の想像力を掻き立てるキャッチコピーがあるでしょうか?と言いたくなるような、潔いまでの短さ。

この短さこそが、キャッチコピーを印象に残りやすいものにしているとも言えます。

余計なことは何も書かれていない。にも関わらず、心に響いてくる強烈なメッセージ

徹底的な省略法が使われている、シンプルながら秀逸なキャッチコピーと言えるのではないでしょうか。

小説や詩などの作品で使われている例

キャッチコピーだけでなく、みなさんが普段から読む小説や文学作品にも多くの修辞法が使われています。

海外小説、日本の小説、詩とそれぞれご紹介しますので、是非参考にしてみてください。

強くなければ生きていけない、優しくなければ生きている意味がない

この言葉はレイモンド・チャンドラーの小説『プレイバック』に登場する有名なセリフで、ハードボイルド探偵フィリップ・マーロウの言葉。

『強さ』と『優しさ』という相反する価値観を対比させる対句法が用いられています。

深い意味を含んだ印象的な言葉として多くの人の心に残るセリフですね。

吾輩は猫である

明治時代を代表する文学作品と言っても過言ではない、夏目漱石の『吾輩は猫である』。

この作品では、猫が人間の言葉で哲学的な考察や人間社会への批評を行い、猫でありながらまるで人間のようにふるまうという擬人化が作品全体に施されています。

擬人法を使ったことにより、猫の視点から人間社会がユーモラスに描かれ、作品全体を非常に印象深いものにしているのです。

あゝ をとうとよ 君を泣く 君死にたまふことなかれ

これは明治時代の詩人、与謝野晶子が詠んだ詩『君死にたまふことなかれ』の一節です。

「あぁ、弟よ」という呼びかけから始まるこの詩には頓呼法が使われています。

時代は日露戦争の最中。

戦地へおもむく弟を想い「死なずに無事帰ってきて欲しい」という願いをこめた切実な想いが伝わってくるようですね。

百人一首で使われている例

和歌の傑作を集めたとも言える百人一首は、学生の頃に国語の授業で習った方も多いのではないでしょうか?

『5・7・5・7・7』の31音に想いを込める和歌には独自のルールがあり、現代文では使用されない古典特有の修辞法も使われています。

古典の授業のようになってしまっては記事の趣旨からはずれるため、和歌で使われる修辞法については以下の4つだけ簡単に抑えておきましょう。

①枕詞(まくらことば):特定の言葉の前に添えられる定型の修辞表現

②掛詞(かけことば):1つの言葉で2つ以上の意味を持たせる技法

③序詞(じょことば):本文の内容を導くための前置きの言葉

④縁語(えんご):ある言葉と関連する別の言葉を連続して使い、意味の連想や広がりを持たせる技法

これらの修辞法が実際にはどのように使われているか、百人一首の中でも多くの人が知る3首を例に見てみましょう。

ちはやぶる 神代もきかず 龍田川 からくれないに 水くくるとは

(百人一首17番/在原業平)

訳:神々の時代でも聞いたことがない。龍田川が真っ赤な紅葉で流れている水を絞り染めにするなんて

『ちはやぶる』は『神』の前に付く枕詞

龍田川に散った紅葉が川一面を真っ赤に染めた様子をまるで川が絞り染めを行ったかのような、擬人法で表しています。

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

(百人一首9番/小野小町)

訳:花の色はすっかり色あせてしまったわ。むなしく私の身の上に時が過ぎ、物思いにふけっているうちに

自分が年老いたことを色褪せた桜の花に見立てている比喩表現と言えます。

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかもねむ

(百人一首3番/柿本人麻呂)

訳:山鳥の垂れ下がった尾のように長い長い夜を、私はひとり寂しく寝ることになるのだろうか

『あしびきの』は『山』にかかる枕詞。

また、山鳥の垂れ下がった尾の長さと、一人で寝る寂しい夜の長さを掛けています。

修辞法を用いるときの注意点

キャッチコピーや小説や詩など、何にでも便利に使えるように見える修辞法。

しかし、実は使い方を誤ると逆効果になってしまうこともあります。

このセクションでは、誤った修辞法の使い方でせっかくの文章を台無しにしないよう、修辞法を用いるときの注意点についてお伝えしていきます。

乱用・乱発はNG

修辞法は、文章を魅力的にする魔法のような技術に思えますが、使いすぎると逆効果になります。

比喩や誇張表現を乱発すると、読者が疲れてしまい、肝心なメッセージが伝わりにくくなるのです。例文で見てみましょう。

【例文】

彼女のほほえみは冷たい冬の朝に差し込む一筋の太陽の光のようで、その笑顔を見るだけで凍てついた心は炎のように燃え盛り、まるで砂漠に咲く一輪の花のように私を元気づけてくれるのです。

いかがでしょうか?

「彼女のほほえみが私を元気づけてくれる」と言いたいだけなのに、比喩と誇張表現を乱発しすぎて回りくどくなっている例です。

シンプルでわかりやすい表現が求められる場面では、過度な修辞法は控えた方が良いでしょう。

ポイントは「ここぞ!」という場面で使うこと。

必要以上に飾らないことで、修辞法の効果が一層際立ち、伝えたい内容がしっかりと読者の心に響きます。

TPOをわきまえる

修辞法の使うときは、TPO(Time、 Place、 Occasion)を意識することが大切です。

例えば、ビジネス文書では正確で簡潔な表現が重視されるため、あまり比喩や擬人化は使わない方が良いでしょう。

以下の例文のようなメールが取引先から送られてきたら、いかがでしょうか?

【例文】

弊社の新サービスは、まるで太陽のように貴社の業績を明るく照らし、さらなる高みへと導く追い風のような存在となるでしょう!

なんとなく熱意は伝わるものの、説明する際に比喩を使いすぎて内容が抽象的になっている印象が拭えません。

具体的に何がどう役に立つのかといった肝心な部分が伝わらないメールになっています。

このように、ビジネスメールでは『余計な一言』に見える修辞法ですが、物語やエッセイでは情緒や感情を豊かに伝えるのに役立ちます。

修辞法を効果的に使うには、文章の目的や読者のニーズに合わせて、適切な種類と使い方を選ぶことを心がけましょう。

修辞法に頼りすぎない

修辞法は便利ですが、それに頼りすぎると内容の薄い文章になってしまうことがあります。

修辞法はあくまで「引き立て役」であり、主役はあなたが伝えたい「メッセージ」です。

たとえ美しい比喩や巧みな対照法を使っても、伝えるべき内容がぼんやりしていては読者に響きません。

【例文】

彼の笑顔は月のように優しく、太陽のように輝き、星々のようにきらめいていた。その一瞬はまるで永遠に続くかのようで、世界中のすべての幸せを詰め込んだ宝石箱だった。

この例文では比喩や誇張法を用いて『彼の笑顔』を表現しようとしていますが、修辞法に頼りすぎて単に美しい言葉を並べているだけになってしまっています。

まずは伝えたいことをしっかり考え、その上で修辞法を使って表現を豊かにしていきましょう。

そうすれば、修辞法があなたの文章の魅力をさらに高めてくれるはずです。

読者の知識レベルに合わせる

修辞法の中には、文学的な表現や専門用語が含まれるものもあります。

しかし、読者の知識レベルや関心に合わせて使わないと、理解されにくくなったり、読者に「難しい」と感じさせたりすることがあります。

たとえば、初心者向けの記事で難解な比喩や言い回しを使うと、内容が伝わりにくくなる可能性があります。

【例文】

彼の言葉は、深遠なる宇宙の彼方から響くオーボエの調べのごとく、無限の可能性と終わりなき輪廻を包み込んでいた。

このような文章があった場合、まずオーボエの音を知らない人にとってはイメージが湧きにくいですよね。

さらに「深遠なる」「宇宙の彼方」「輪廻」などの難しい漢字がカベとなり、読み進めることすら諦める人も出てくるでしょう。

せっかく修辞法を使って文章を彩るなら、読者の立場に立ってわかりやすい表現を選ぶことが大切です。

まとめ:修辞法を一覧表でわかりやすく

今回の記事では、伝えたい内容をより印象的に伝えるテクニックである『修辞法』について詳しく解説してきました。

キャッチコピーや文学作品、百人一首など、実際に修辞法が使われている例を見て「修辞法って身近なところにたくさんあるんだな」と気がついていただけたでしょうか?

中には「名前は知らなかったけど、今まで自然に使ってた」という修辞法もあったことでしょう。

多くの修辞法をご紹介してきたので、後で振り返りやすいように一覧表でまとめておきました。

あなたの文章をより魅力的に、より伝わりやすいものにしたいと思ったときには是非ご活用ください。

修辞法についてのよくある質問

Q:古典の修辞法とは、現代の修辞法とどのように違いますか?

Answer

古典の修辞法は、現代の修辞法と比べて音の響きやリズム、美しさを重視しています。

和歌では5・7・5・7・7と音数が決まっているため、枕詞や序詞のように音で意味を導く表現が多く使われているのです。

また、掛詞や縁語を用いて一つの言葉に多重の意味を持たせる技法があり、暗示的で読み手の想像力をかきたてます。

古典では情景や感情も自然の描写や季節の言葉を通して間接的に伝えられる一方、現代では、わかりやすく論理的な表現が求められるため、意味を明確に伝える直接的な表現が重視される傾向があります。

Q:修辞法を使って文章を書いた後、見直す際に注意すべきポイントは何ですか?

Answer

まず、修辞法が『本来のメッセージ』を伝えるのに効果的かを確認しましょう。

修辞法を使うことで伝えたい内容が曖昧になったり、読みにくくなったりしていないかを意識することが大切です。

2つ目に、表現が過剰になっていないかどうかも注意しましょう。

同じ修辞法を何度も使ったり、意味が難解な比喩が連続していたりすると、読者は混乱しやすくなります。

3つ目に、読みやすさやリズムもチェックしましょう。

声に出して読んでみて、スムーズに読めるか、リズムに違和感がないかを確認することで、より効果的な修辞法の使い方ができるようになります。

Q:文章の印象を強めるために初心者でも使いやすい修辞法は何ですか?

Answer

印象を強めるために初心者でも使いやすい修辞法としては、まず比喩が挙げられます。

特に「〜のような」「〜みたいな」といった決まり文句を使う直喩は、簡単にイメージを伝えられるうえ、受け手にとっても理解しやすいでしょう。

2つ目のおすすめは、反復法。特定のフレーズや単語を繰り返すだけで、メッセージを強調し、リズムを生み出すことができるからです。

3つ目のおすすめは、体言止め。文の最後を名詞で締めくくり、余韻やインパクトを持たせる効果があります。

一度思いつくままに文章を書いてみた後で「最後を名詞で終わらせるためには、文章をどう並べ替えればいいか」を考えてみるのがコツです。

これらの修辞法は簡単に使える上に、文章の印象を強めることができるのでおすすめです。

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地方の小さな店舗で集客用SEO記事を書いているパートライター|Webライター|ランサーズ認定ランサー|クラウドワークスライター検定3級
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