webライターの悩みの1つに「今よりも報酬を上げたい」という点があります。
特に、雇われ職員ではないフリーランスや個人事業主のライターは、クライアントが率先して報酬を上げてくれません。
なぜならば、自分の会社の従業員ではないからです。
ですが、報酬が少なければ不安になり
「この案件を続けて意味があるのか。今の状態が続くのであれば別の案件も視野に入れたい」
なんて考えてしまいますよね。
だけど、せっかく慣れてきた案件を手放すのは、もったいない気もするな。
新たなクライアントを探すのも骨が折れるし…
今回は、報酬アップを打診するための【単価交渉術】について筆者の実体験も交え、そのテクニックと作法をお伝えします。
- Webライター・コピーライターが単価を上げるには?
- 単価交渉を成功させる3つのポイント
- 単価交渉をするうえでの注意点
- 筆者の実体験
単価交渉!?今ある取引を手放さずに報酬アップが叶うなら、ぜひテクニックを知りたいな!
受け持つ案件の現状とを照らし合わせて、“単価交渉を狙う時期”を見極めてください。
Webライター・コピーライターが単価を上げるには?
単価とは、『1つの製品やサービスに対する価格』を指します。
そして、文字単価はライター業界ではポピュラーな考え方で『1文字に対する報酬』を意味します。
例) 文字単価1.5円 執筆した文字数10,000字 1.5 × 10,000 = 15,000(報酬額) |
なかには、制作物ごとに金額を設定する形態もありますが、多くは高額な案件なため受託するにはスキルと実績が必要です。
そのため、まずは文字単価が設定された案件をこなし、徐々に文字単価を上げて単価の高い案件に移るといいでしょう。
ここでは、文字単価を上げるために必須なスキルを、ポイントを押さえてご説明します。
文字単価が1円前後で止まっているから、ぜひ単価アップの方法を知りたい!
ライティングスキルに掛け合わせる専門性を養う
ライティングスキル自体は、ネットの情報や教本やコピーライタースクールで習得できます。
ということは・・・ライティングスキルは、皆が分け隔てなく勉強できて持っているスキルになります。
他のライターと差別化を図るためには、プラスアルファのスキルが必要です。
ライティング ✕ 何か
この『プラスアルファの何か』には色々なものが当てはめられます。
ライティング ✕ 1WordPress入稿
ライティング ✕ 専門知識(資格保持など)
ライティング ✕ SEO上位取得の実績 etc…
1 WordPress:ワードプレス。Webコンテンツを作成するためのソフトウェア。サイトを簡単に開設できることから、世界中で利用される。webライターの業務範囲に、WordPressに入稿する作業が含まれる場合がある
受託側であるクライアントの立場になって考えてみてください。
単価交渉だ!
実績や仕事ぶりも申し分ないライターさんだし、上司と検討してみよう。
そう思わせる“何か”があれば、単価交渉がしやすくなります。
このライターに任せたら安心できると思ってもらえるスキルを身につけましょう。
業務領域を広げる
Webライターもコピーライターも、文章が書ければそれでいいと思いますか?
実は、それだけでは勤まらない案件が多いです。
また、ライティングの仕事はジャンルも様々なため、1つでも書けるものが多ければ受託範囲も広がります。
もしライター業で長くやっていくのであれば、対応できる業務は増やしておくと、請け負える仕事が格段に増えます。
以下は、2クラウドソーシングサイトのランサーズのスキル入力画面です。
2 クラウドソーシングサイト:不特定多数に仕事をあっ旋するサイト。ライティングに限らず、マーケティングやデザインなど、多様なジャンルの仕事が外注されている。
【書けるジャンル】
案件をこなしていくなかで書けるジャンルを増やせば、範囲の広いライターと認識されます。
他にも多様なジャンルがあります。
【対応できる業務】
ライター業は、単に文章を提供するだけではありません。
以下の画像は一部ですが、ライティングに関連した業務を請け負えるライターは重宝されます。
引用:ランサーズ
ライティングスキルにプラスの何かがあれば、ライティングしかできないライターよりも重宝されやすく、順応してくれる人からの単価交渉であればクライアントも耳を傾けてくれる可能性が高いです。
もちろん、はじめは何でも未経験です。
未経験からスキルアップを狙う方法として、クラウドソーシングサイトを利用するのがいいでしょう。
クラウドソーシングサイトでは初心者OKの案件がありますので、サイトをうまく活用してスキル上げと経験値を積んでください。
しかし、ノウハウがゼロの状態で仕事に挑むのは、少々勇気が要りますよね。
うまく立ち回れずに、ストレスを感じる時もあるでしょう。
筆者は、コピーライター育成学校のOnlineApCAcademyに入学し、一年コースを受講しました。
在校中は、コピーライティングに必要な文章力やマーケティングの知識、WordPressを使用してみたりと様々な勉強をしつつ、並行して仕事も受注して実践に生かせたので、初心者の時期も何とか乗り越えることができました。
講師とはトライアル期間中でも在学中でもチャットができるので、疑問点や不安事など何でも聞いてもらえます。
そのOnlineApCAcademyでは無料トライアルを実施していますので、興味のある方は覗いてみてください。
ポートフォリオを充実させる
ポートフォリオとは、クライアントへ営業を掛ける際に提示する、自身の実績やスキルなどの自己情報をまとめたものです。
具体的には、以下の内容が含まれている場合が多いです。
- 氏名(またはペンネーム)
- 年齢(または年代)
- 職歴
- 自己PR
- 対応スキル
- 実績(公開可能なものはリンクを貼るなど)
- 実績(ライター非公開なものは、概要を説明)
- 稼働時間
- 問合せ先
ポートフォリオは、言わば履歴書と職務経歴書を掛け合わせたような書類であり、あなたの実績やスキルがひと目で相手に伝わるツールです。
新規案件の獲得で売り込むための営業ツールとなりますし、単価交渉した際の相手方の判断材料・評価基準の1つになります。
なお、注意点として、事実と異なる話は書かないようにしましょう。
嘘を書けば後々トラブルになりかねませんし、相手に対しても不誠実です。
自分の最大限の魅力とスキルが伝わるポートフォリオを作成して、交渉時の判断材料にしてもらいましょう。
ビジネス交渉術を身につける
ビジネス交渉術は、単価交渉に限らずあらゆる場面で必要になるスキルです。
今回の議題である単価交渉であれば、交渉時に気をつけたい点を押さえておかなければ、交渉成立まで漕ぎつけない可能性が出ます。
また、交渉の仕方によっては相手が気を悪くして「このライターとは仕事がしづらいな」と感じてしまうかもしれません。
今回は、ビジネス交渉術で必要なポイントを3つに分けてお伝えします。
交渉のタイミング
交渉のタイミングはとても大事です。
なぜならば、タイミングを見誤るとクライアントからの評価も落ちてしまう可能性があるからです。
交渉を急ぎたい気持ちも分かりますが、とくに以下の状況がひとつでも当てはまれば、交渉は控えるべきだと筆者は考えます。
- 初心者ライターで仕事を請け負って間もない
- 継続して仕事をもらえているが、納品数が少ない
- 契約を開始して間もなく、それほど信頼関係を築けていない
いずれもタイミング的によくない場合がありますので、自身とクライアントとの状況は整理したうえで、今だという時期を見極めてください。
誠実さを心がける
こちらの利益のためだけに単価を上げてくれ、という一方的な交渉をしたら相手は快く思いません。
そもそも、単価交渉はライター側から提案するため、失礼のないように話を持ちかけましょう。
また、クライアントとのやり取り全般は、メールやチャットで行う頻度が多いです。
単価交渉を持ちかける際は、文面からでも誠実さが伝わるよう意識します。
ましてや、子どもっぽい言い回しやフランクな文体などは良くありません。
ビジネスマナーを意識し、取引相手が検討してくれるような、Yesと頷かせる言葉選びをしましょう。
シミュレーション
どんなビジネスにもシミュレーションは必須ですが、単価交渉でも必要です。
単価交渉では以下のようなシミュレーションをして、思った結果と違うからと慌てないように、事前に書き出すのをおすすめします。
Webライター・コピーライターの単価交渉術【成功させる3つのポイント】
実際に単価交渉をするとなると、不安も出てきますよね。
単価交渉なんてできる気がしない
そもそも、単価交渉を切り出してもいいのかな
単価交渉は難しく感じるかもしれませんが、ポイントを押さえて交渉すれば上がることもあります。
今回は、交渉を成功させるための3つのポイントをお伝えします。
ライターとしての価値をアピールする
『ライターとしての価値をアピールする』とは「私、近頃は頑張ってると思うのですが!」のような、自分で自分を評価した感想を伝えるのではありません。
単価交渉において、ライターの評価を行うのは報酬の支払者であるクライアント側です。
もちろん、自身の仕事ぶりを自分で評価することも大事ですが、自らクライアントに頑張っているとアピールするのは控えましょう。
ここで言うアピール方法とは【クライアントに対して自身の価値を提供する】を指します。
クライアント単位で価値の基準は異なりますが、一般的には下記事項は必要だと考えてください。
- 納期を必ず守る
- 返信は即レス
- 的確な受け答え
- 商品(ライティング)のクオリティを保つ
- 制作スピードを上げる
- 制作物の修正がほぼ無い
これらを毎度守れている人は、既に価値をアピールできている可能性が高いです。
逆にできていない人は単価交渉をしても失敗するかもしれません。
基本は1人きりの仕事ですし、評価をしてくれる上司もいないので「自分の価値ってなんだろう」と思い悩む時もあるでしょう。
ですが、あまり難しく考えず、全体のクオリティを上げるために1つずつの業務を的確に効率よくこなしていけば、自ずと価値を示せます。
筆者の場合、初心者時代はライティングに慣れていなくて1案件だけでも悪戦苦闘しましたが、まずは上記の『1〜3』は必ず守りました。
当たり前のことを当たり前のようにこなす、考えて行動する、やり遂げる、高クオリティを目指す。
それらを意識してやり続けられるかどうか。
その姿勢が、ライターの価値に繋がるのだと思います。
希望額を具体的に伝える
ただ「単価を上げてほしい」と連絡をしても、クライアント側は回答に困ってしまいます。
なぜならば、具体的な金額の提示が無いので、ライターの希望額が見えないからです。
希望額を提示すればスムーズな話し合いができますが、回答に困るメッセージでは「どこまで上げたいのか」が見えず、受信者は少なからずストレスを感じます。
単価交渉の場合、具体的な希望単価の表現として、仮に今が単価1円で0.5円アップを希望しているのであれば「希望額は1.5円」とはっきり伝え、やり取りがスムーズになるよう心がけましょう。
もちろん、失礼のない言い回しで連絡することが大前提です。
ここで、筆者が作成した【交渉の例文】を見てみましょう。
交渉の例文
いつもお世話になっております。 (平素よりお世話になっております。) 〇〇です(でございます)。 いつも継続的にお仕事を頂いており、ありがとうございます。 (日頃は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。) さっそくですが、ご相談がありご連絡しました。 実は最近、他社様の案件にて、ライティングのほかにWordPress入稿を請け負っています。 以前に伺った限りでは、御社のオウンドメディアでもWordPressを使用されていたかと思います(存じます)。 そこでご提案なのですが、次回ご依頼分より、私(当方)に入稿までを任せていただけませんでしょうか。 なお、もしご依頼いただけるようでしたら、作業工数を見積りまして、文字単価を0.5円アップさせていただきたく考えております。 ◆受託内容 ・ライティング ・WordPress入稿(追加) ※入稿の作業範囲は別途ご相談させてください ◆文字単価 希望額 現状:1円 作業追加後:1.5円 お役に立てればと思い、ご提案となります。 よろしければご検討ください。 お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。 |
上記はあくまで一例ですが、伝えるべき内容は誰が読んでも分かりやすく書くことを心がけます。
なお、メッセージを作成するにあたり、以下の『構成』も参考にしてください。
メッセージ構成
前述の例文も、以下の構成に当てはまります。
- 挨拶(冒頭)
- 感謝
- 要件
- 具体的な内容・内容の要約
- 挨拶(締め)
挨拶で始まり、挨拶で終わるのね!
注意点
筆者が日頃からクライアントへの連絡時に気をつけている点を『単価交渉だったら』に置き換えてまとめました。
ビジネスメールでの基本的なことや、ありがちな注意点となります。
- フランクな文面は避ける
- 誤った敬語を使用する
- チャットの場合はクライアントと1対1のチャットスペースで連絡する
・・・グループチャットに自身がいる場合は、グループ内での単価交渉は避ける。グループ全体に関係のない個人的な交渉は、自身とクライアントしか閲覧できないチャット画面でやり取りします
- メールの場合は必ず『新規作成』で作成
・・・何かの返信ついでに単価交渉の連絡はしない。交渉の際は新しいメール画面を立ち上げて作成しましょう
- e-mailの場合:以下の画像のように、冒頭と文末の赤枠箇所も忘れずに
自身と仕事をするメリットを提示する
単価交渉はクライアントにとって【単価を上げる=費用を増やす】こととなり、ある意味デメリットを感じさせる行為です。
そのため、単価交渉のポイントとして、相手にもメリットのある取引にする必要があります。
前項で、単価交渉はライター自体の価値や裁量で決まるところが大きいとお話ししました。
ましてや、ライター業は「仕入れ原価が高騰した」や「人員を割いたため人件費がかかる」などの理由で交渉するのとはわけが違うため、『私と仕事をするとこんなメリットがある』と示す必要があるのです。
【現状】
- Wordやドキュメントで文章のみ納品
【交渉内容】
- WordPress入稿ができます
- 構成もお作りします
- 画像選定や画像作成ができます
- グラフや図解の作成ができます
今の仕事にプラスして請け負えます!
そう提案すれば、両者にメリットが生まれてクライアントも検討しやすくなるのです。
もし「業務内容は現状維持で品質も特段変わらずで報酬だけ増やしてください」なんて交渉だと誰しも応じづらいですよね。
単価交渉をするうえでの注意点
ここで、単価交渉をするうえでの注意点を3つご紹介します。
交渉する前に今一度、思い出してもらいたい内容をご紹介します。
基本は”ダメもと”で交渉する気持ち
単価交渉は、取引相手にこちらが『交渉』するのですから、検討するのはクライアント側であり、打診しても通らないことはあります。
また「自分はこれだけ頑張ってるのだから、上げてもらって当たり前」なんて態度でいれば、クライアントに映る姿もよくありません。
あくまで自分はワーカーの立場であること、クライアントは取引相手ですから「手前勝手なお願い」くらいに考えて、一歩引いた交渉を心がけます。
とはいえ、そこまでへりくだる必要はありません。
伝えるべき内容は分かりやすくはっきりと伝え、物腰はやわらかく謙虚な姿勢でいてください。
フリーランスとクライアント、受託者と受注者。両者の立場も考えつつ、交渉のバランス感覚も養っていく必要があります。
1つの仕事(案件)を失う可能性も視野に入れる
もし、単価交渉しようとしてる案件が、唯一の継続案件だったら?
その仕事、失ってしまう可能性があります。
単価交渉が通らず、「今回の仕事で打ち切り」なんて返事がきたら、収入源が断たれてしまいますよね。
仮に、文字単価が上がらないなら受注するメリットはないと判断するならまだしも、失ったら痛手を食うような案件であれば、交渉するか否かはよく検討しましょう。
ライター業は品質・仕事ぶり・工数に対して報酬が支払われますが、残念なことに「単価交渉をするライターは生意気」と思っているクライアントもいるのです。
実績が少ないうちの単価交渉はギャンブル
初心者ライターの文字単価は1円前後が多く、この単価から脱すべく交渉を考える人もいるはずです。
しかし、実績が少ないうちの単価交渉は成功しないと思ってください。
クライアントは実績が少ないライターに対して、今より高額を支払おうとは考えません。
単価は実績を積みスキルを上げていくことで、徐々に上がる傾向にあります。
まだ実績がなく、ようやく掴んだ継続案件であれば交渉を行うのはギャンブルですし、クライアントへの印象も良くはないでしょう。
始めのうちはそれほど稼げないと嘆く時もあるかと思いますが、堅実にスキルを増やして実績を積み上げることが定石です。
筆者が行った単価交渉法と提案するタイミング
ここでは、筆者が実際にクライアントに交渉をした話をご紹介します。
筆者の場合、成功もあれば失敗もあり。思い返せば色々とありましたが、その一部をご紹介します。
いちライターの話ですが、ご参考まで、お付き合いください。
交渉に成功!継続案件での打診
そのクライアント様とは直接契約をしてから4ヶ月ほど、ライティングと画像選定を請け負っていた案件で、WordPress入稿もお受けしたいと打診しました。
すると、有難いことに文字単価の0.5円UPの交渉に成功!
信頼関係を築けているからこそ、交渉に応じていただけたと実感した瞬間でした。
受注前の交渉!「業務が増えるならこの単価で」
ライティングの仕事をあっ旋をしてくれるマッチングサイトでの話です。
サイトの担当者から仕事紹介の連絡が入り、業務内容と文字単価を確認して「受けます」と返信をしました。
すると、しばらくして「業務範囲を増やすことになった」とだけ連絡が入りました。
この時、筆者は悩みました。
募集要項をチェックした時、この業務量ならギリギリの文字単価だなと判断していたのです。
悩んだ末、業務が増えるならばと、単価交渉を決断。
この時の筆者の心情としては「万一、他のライターに仕事が流れても致し方ない」と、見切りをつけていました。
結果、その後は連絡が来なかったので、他のライターへ仕事が流れたということですね。
案件により色々と選択を迫られる場面はありますので、よく検討するのをおすすめします。
再依頼が入った!しかし単価が低い…ダメもとで交渉
以前にお世話になったクライアント様から、再発注の連絡が来た時の話です。
受託範囲はライティングのみで、文字単価が1円を切っていたため、自身の現状も踏まえて正直に
「文字単価1.5円以上ならお受けしているところです。単価アップは可能でしょうか」
と伝えました。
クライアント側も予算設定がありますから、提示された金額以上は望めず、心苦しかったのですがこの時はお取引しないことになりました。
単価交渉はケースバイケースです。
その時のタイミングや状況により、どう切り出すかも重要となります。
まとめ:単価交渉にはあらゆる要素が必要不可欠!
単価交渉では、ビジネス交渉術や日頃の評価も関係してきます。
また、交渉を図るタイミングも重要です。
案件をこなしていくなかで、ライティングやビジネスのスキルがアップすると「今の単価のままでいいのか」と思う時期がやってくると思います。
クライアントとの信頼関係の度合いや、他の業務もできることをアピールして、単価交渉に繋げてみてください。